チューリヒ、週末旅行その3
前回は、ショーのレポートでしたが、今回は、ちょっとだけ、感じたことを書いてみます。
行く前に、ネット検索等で、このショーが、主催者側の認識として、「世界最高峰」であり、そして「常に世界最高峰であることを目指している」というショーである、ということを知りましたので、わくわく感がいや増すばかりでした。
そのためもあるとは思いますが、端的に言えば、ショーとしての内容には、がっかりしたんです。
アイスショーって、初めてですから、アイスショーの本来のあり方というものを知らないわけで、だから、ある意味とても無知な、でも、素直な感想として、そういうことになります。
ちなみに、イベント系では、モダン・ダンスや現代もの、クラシック・バレーすべて含むダンス系の舞台公演や、ミラノ・スカラ座中心のオペラ公演については、ある時期、一生分に当たるくらいの数を見て来ました。もちろん、まったく違う世界と言ったらそれまでですが、ショーのあり方のベースについては、まったく何も知らないこともないと思っています。
そういう観点から言えば、今回のショーって、かなり半端で、何を目指しているのか、よくわからない内容だったように思えました。
まず、なんといっても、歌が中心で、スケートが添え物的な扱いだったこと。
リンクの一辺が舞台となっているのですが、そこにスクリーンが置かれ、舞台で、歌手の熱唱、脇の方では生バンド、という構成。そして、スケーターでもないダンサーが多数、歌手の脇でくねくねダンスをしていたりします。
あまつさえ!
歌手のいる舞台は可動式で、リンク中央まで動いていくというシステム。
リンクの片隅での歌や演奏なら、とりあえずリンクを見ていれば視界に入らないけれど、リンク中央に出て来られては、もうどうしようもありません。
スケーターたちは、その際どうしているかと言うと、舞台を避けて、周りですべるしかないわけです。歌に合わせて…。バック・ダンサー…。
え~?これって、コンサートだったの?
とまぁ、ずっとそういう感じが強くて、アイスショート銘打つのは間違っている、と思いました。
その上、観客の多くは、そういう形のイベントを見に来ている様子が明らかで、歌手に熱狂こそすれ、スケーターにはかなりクール。なんなんだ?
大体、いくら有名歌手でも、本来アイスショーであれば、歌手の方こそ添え物であるべきだと思うんですけれどねぇ。
初めから終りまで、大音響で、うるさくて、演奏のメリハリもなし。
たまには、エッジが氷を削る音だって聞きたいし、カロリーナには、しっとりと踊ってほしかったし。歌も演奏もありだとは思うけれど、ずっと同じ調子の音楽では、コンサートとしての完成度もどうかと思いました。
そして、美術的観点からは、同じようにむかついたのが照明。
一言で言えば、ダサい。
まぁ、基本すべてがダサいスイスですから(と言って、スイスを馬鹿にしているわけじゃないので、誤解なきよう。よく、おじさんが着用しているチロリアン・モチーフのサスペンダーとか、ダサいけど、かわいいですもん)、ある程度は目をつむるとしても、それにしてもダサイ。多色使えばいいってもんじゃないだろう!
それに、リンクの縁の明かりが辺にまぶしくて、言ってみたら、車のヘッドライトを真正面に向けているので、嫌でも目に突き刺さってくる状態。時々、逆光状態で、滑っている選手が見えない…。目に超悪い…。
すっごく上の方の席だったら、きっと気にならないでしょうけれど、もうちょっとなんとかならんかね?目が痛い照明なんて、おかしいだろう?
とにかく、全体に安っぽいんですよね。
ネリー・フルタード(発音はあってるのかな)が、スケーターのいないリンクに向かって歌っている際、虚しく照らされたハデハデの赤い照明で、空っぽのリンクが、場末の温泉宿のがらがらの宴会場に見えました。温泉宿でリハ中…、みたいな…。笑。
生演奏でのスケートは、踊りと演奏のバトルみたいなところがあるから、演出によっては、本来、もっと緊張感があり、なおかつ楽しめるものになるはず、と思うだけに、がっかりです。
前回も書きましたが、とにかく観客がさめているのも、がっかりでした。せっかくのイベント、盛り上がりたいのに、拍手すらしない人多数。ブラーヴォの声をかける人は完全な少数派。叫ぶこっちをちらちら見ては、何か揶揄したそうな表情の人複数。
何のために、君たちは来てるんだ~!来たくても、遠かったり、チケットが高すぎたりして来られない人たちが、たくさんいるんだぞ~!と叫びたくなりました。
おそらく、照明も演出も、それなりの人を使っているんだと思いますけれど、でも、もしかしてショービジネス、かなり不得意なんじゃないか。人材いないんじゃないか。
または、アイスショーというイベントそのものが、ショーとして、スタイルが確立していないのではないか。
有名歌手を招聘するくらいなら、もっと舞台の完成度を高めるために、舞台の基本である照明や演出に投資すべきだと思うけどね。
というわけで、いくら大ちゃんが見たくとも、このアート・オン・アイスにもう一度行くことはないと思います。
で、ミラノ戻ってから、日本のアイスショーの映像を、ユーチューブでちょっとだけ見たのですが、照明は、やっぱり余り洗練されているとは言えなかった。そういうことなのかな。
ナマ大ちゃんを見られただけで、出かけた甲斐は大いにありますけれど、もっと、スケートにフューチャーしたアイスショーでの大ちゃんを見てみたい。イタリアでやらないかな~。スケート、結構人気あるのにな~。きっと盛り上がるのにな~。
ということで、ほとんどの人に関係のない、がっかり話でした。なんか、ダサさも含めて、既に懐かしいよ。今、ローザンヌ、巡業中かな。
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- 2015/02/12(木) 06:22:01|
- 海外旅行
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| コメント:2
アイススケート、私は安藤美姫さんに続けていただきたかったんで、本当に引退が残念で残念で泣きました。
日本ではいろいろバッシングもあるんですが、何でスポーツ選手のプライベートにやんややんや騒ぐのかも個人的によく分からん。安藤美姫さんは天才肌でしたんで、彼女が引退ってのは残念でした。
大ちゃんはアーティストですよね。衣装も良いし。
私もよくチケット頂いたりして昔見に行って腹立つ舞台結構ありました。有名人使ってまあひどい舞台なんだ、これが。
名もなきダンサーのフラメンコなんかのほうが素晴らしかったりしますよね!
ミラノでアイススケートのショーがあったら是非UPして下さい!
- 2015/02/12(木) 04:32:00 |
- URL |
- はなさん #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> 洋吉ちゃん
プライベートは関係ないですよね、確かに。でも日本人は、本当にスキャンダルが好きだと思います。悪口も大好きだしね。
その一方で、萌えまくって追っかけもすごいから、ある意味一貫性はあるのかもしれないけど。だって、こっちでは、大人が追っかけ、って言う発想がないし、それはそれで、寂しい人たちだな、と思います。
そうそう、有名だからいいってことは絶対にないよね。フラメンコなんて、結構そういうとこ、あるんじゃないのかな。
- 2015/02/12(木) 22:33:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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