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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

9時ですが、まだ超早朝のカタルーニャにて

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その9

スペインは、あらゆる意味で大好きな土地なのですが、唯一玉に瑕なのが、時間配分。朝が遅くて宵っ張りなんですよね、いろんなシーンで。
ロマネスク修行旅では、たいてい早起き勝負で駆けずり回るわたし。普段の生活では早起きが苦手なのに、修行旅となると、それが苦でなくなるどころか、早起きして駆けずり回らないと損した気分になる始末。
ところがスペインでは、早起きしたところで、教会が開いていない、ということになってしまいます。朝は、大抵が10時から。ホテルの朝食も、遅かったりするので、素直に合わせればいいものを、特に今回の旅のように短期だと、もったいない病で、つい早起きして、つい早く出発してしまいます。

そんなわけで、当初は、10時からオープンの教会を目指すため、ゆっくり目の出発を予定していたのに、開いてなくても外観が見られればよさそう、という教会を目指すこととしました。無理やり修行しちゃいます。

行き先は、サンタ・エウヘニア・デ・ベルガ村Santa Eugenia de Bergaのサンタ・エウヘニア教会Eglesia de Santa Eugeniaです。




文字通り、村の中心に建っています。後陣側からのアクセスとなりましたが、教会の建物にしては、ずんぐりした鐘楼の存在感と、三つの堂々とした後陣に、圧倒されました。

ファサード側の様子。




場所的に、修道院があったというようなことはないはずですが、右側には、かつて洗礼堂とか付属の建物があって、その跡地がこういうコンプレックスになっているのかな、という様子です。全体は、再建修復が激しくて、ちょっときれいにしすぎ感も漂いますが、村の清潔な雰囲気とマッチしていて、決して嫌味ではありません。
鐘楼のディテール。




本堂の上に聳え立ってしまっているので、三層というのか、二層というのか。定石どおり、天辺の層は三連窓、その下は二連窓。その効果があるのかどうかは分かりませんが、開口部が多く、ローマの鐘楼を髣髴をさせます。石が、黄色い凝灰岩っぽくて、雰囲気は異なりますが。
アーチ装飾のところは、レンガを使って、アクセントにしています。いずれにしても、相当部分、再建かな。

さて、到着したのは、9時くらい。鐘が鳴っていましたが、おそらく9時の鐘だったのでしょう。そして、本堂はもちろん固く閉ざされ、何一つ情報はありませんでした。村の雰囲気からして、9時とはいえ、スペイン的には、超早朝だと思い、鍵を求めて近所の家々を徘徊するのもはばかられますので、ここは、当初の予定通り、外観だけをチェックすることにしました。




ウワ~、言っちゃなんですが、まったく面白味のないファサードです。でも、扉周りには、ちょっとした装飾があります。




地味だけどね。でも、この激しい再建修復を見ると、よくここだけが残ったものだ、と思わされます。

どすこいスタイルの人物フィギュア柱頭。




正面に当たる角っこ以外のフィギュアは、壁に半身めり込んじゃっているというのが、哀しい。柱頭は、他のエレメントと切り離して、そこだけ彫り物して、後から乗っける、というイメージですが、こういう場所の柱頭は、この場で彫りこみしているんでしょうねぇ、やはり。だとすると、石工さんは、相当疲れる作業です。




アーカンサスの間に人の顔。つる草モチーフ。素朴ですが、意外としっかりした彫り物です。顔なんて、髭の一本一本が繊細に表されています。アーキボルトも、それぞれ繊細に装飾彫り物がぎっしりです。




一番内側の部分には、お干菓子状モチーフが適度な間隔で並んでいて、これはかわいらしいです。




一番凝ったアーキボルトの彫り物は、この層かな。




うまい彫り物ですよね。村の石工というよりは、ちゃんと修行した石工さんの仕事と見ました。この辺りは、本当に小さい地域に教会や修道院がひしめいているから、建築関連の職人さんも数多く活躍していたのだと思います。
地味な教会ですが、やはり見るべきものはあったし、すきま時間に訪ねたのはベストな選択でした。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2015/03/18(水) 07:32:02|
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