ミラノ、フオリサローネ2015 その1
今週ご無沙汰していたのは、サローネ週間だったためです。
14日から、会社帰りに、おなじみフオリサローネめぐり、していました。
それにしても、例年に増して、訪問者が多いようです。景気が回復しているということなのかしら?だとしたら、喜ばしいことです。
商売の人も、観光客も、外人がすごく多いし、これまでは余り人が来なかった展示会場でも、訪問者が増えているような。
わたしが、積極的にフオリサローネめぐりをし始めて、5年ほどに過ぎませんが、5年前と比べても、確実に訪問数が増えていると思います。
サローネは、商業都市ミラノの見本市でも最も重要度の高いインテリアの展示会ですが、わたしがミラノに住み始めたころは、見本市としては、一般に膾炙しやすいファッションの方が有名で(特に、わたしを含む日本人には)、わたしなど、サローネの存在すら知りませんでした。
暮らすうちに、ミラノがインダストリアル・デザインで非常に重要な町であることを知り、デザイン・コンクールであるコンパッソ・ドーロの展覧会を訪問などしていく過程で、ファッションより何より、ミラノはサローネなんだ、と認識した次第。
何でもそうでしょうけれど、しかし、実際に触れないことには、存在しないも同然。サローネが、展示会場だけで閉ざされた展示会であったとしたら、そういう意味では、一般的には、「自分的には存在しない」イベントであり続けたはず。
見本市を飛び出した展示を、フオリサローネという形で纏め上げた主催者のアイディア、そして、それを訪問しやすいように冊子にまとめたインテルニという雑誌社の功績は多大だと思います。
とまぁ、初心に戻りながら、今回は、フオリサローネの中心地であるトルトーナ地域にも行こうと思っていたのですが、結局マイナーな地域をさらりと歩くだけでおしまいにしてしまいました。どこに行っても、人出がすごいこと。それに、パンフレットを見ても、あまりそそられるものがなかったこと。そんなわけで、地味な回遊です。
まずは、いつもどおり、インテルニ本拠地の大学へ。テーマは、Energy for Creativity。
メイン・エントランスですが、普段とあまり変わらないたたずまいです。でも、中庭に入ると、全体がハレというか、ひどく盛り上がったテンションの高い空気に変わります。
最初に目に入るのは、回廊の真ん中に置かれた銀色のオブジェ。全面が鏡張りとなった銀色部分が、リングになって、周囲の風景を映しこむようになっています。
置かれた場所からいって、バランス的には、全体にもうちょっと大きければ、かなりインパクトが違ったように思いました。オブジェが、プロポーション的に芝生部分に負けていて、そそらないんですよね。だから、人々も、遠くから見て終わっちゃう。本当は、近くに行かないと、面白さが分からないんです。
鏡の間には、背景の建物が入り込み、間から、子供が姿を現し、撮影するわたしの姿とともに、複数映し出され、鏡の生み出す増幅の面白さ。
そして、空と建物を写しこんで、何か違うものとなっていく形。
わたしが訪ねた夕方の時間帯、最もにぎわっていたのは、こちらかも。
黄色がシンボル・カラーのシャンペン・ボトル。ヴーヴ・クリコです。
この黄色、というだけで分かるんですから、さすがおフランス、マーケティングに優れていますよね~。
この、檻のようになっているボトルの中は、バー・カウンターとなっています。そして、この時間、黄色のシャンパン・グラスが並べられ、カクテルの準備中。
というわけで、この周囲の訪問者はみな、「もしかして、ヴーヴ・クリコ、飲ませてくれるの?」という期待感でわくわくして、なんとなく離れがたく、そこに集まっていた、というわけです。でももちろん、こういうカクテルは、招待客に限るわけで、その後テープが張られ、招待客だけが中に入って優雅にカクテルを楽しみ、一般人は、テープのこちら側で物欲しげに眺める、という格差社会的な風景が出現した次第。
こういうカクテルは、建物内で行っていたことはあったけれど、すべての人が行きかう場所で、というのは初めてでした。ヴーヴ・クリコのほかにももう一ヶ所、同じような時間に、やはり招待客限定カクテルをやっていました。ちょっと寂しい。
何の招待状も持たない人々には、こちらのかわいらしい屋台で、ザクロとブルーベリーのジュースが、ちょっぴり(二口くらい)、提供されていました。
もちろんわたしもいただきました。多分自然のままのジュースなのでしょうけれど、ひどくぼんやりした味で、ちょっぴりでよかった、と思うような代物でした。
ちなみに、この屋台もジュースも、みな展示品です。
シャンパン・ボトルの手前にあった、土管状のオブジェ。
タイトルが、「Vitruvius in Quarantine隔離されたウィトルウィウス」。かたっぽの端に、ウィトルウィウス的人体図、もう片方には、亡命者の生活を映したビデオが流されているというもの。
なんてこともないのだけど、中に入れる作品って、なぜかわくわくしてしまいます。
入れる、と言えば、これもそういうカテゴリーかな。
これも鏡張り。あれ、クリエーティブというには、鏡って、ちょっと古いっていうか、レトロ感を狙っているのかしら。
とか何とかいいながら、入ってみると、ただ一本の柱が迷宮を作る面白さ。
反対側の、もっと小さなスペースでも、ちょっとした色彩が増幅して、あら不思議、な万華鏡的楽しさ。やっぱり、実際にアイディアを形にする人たちって偉いね。
それにしても、見るのは一瞬だけど、こうしてまとめるのは結構大変。誰のためでもなく、記憶力に優れない自分自身のためとは言え、なんだかご苦労。
ということで、休憩。
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- 2015/04/19(日) 20:57:53|
- ミラノ・フオリサローネ
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| コメント:2
> ガビィさん
ふふ、ご参考に、商売でもやりますか。
考えたら、昔、ぴあとかの情報誌できたときって、そういう感じですよね。イタリアではそういうのできる前に、インターネットになっちゃったけど、紙の情報って、全体を眺められるから分かりやすくて、好きです。
- 2015/04/20(月) 22:10:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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