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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

手間賃を惜しむと…。

ミラノ、フオリサローネ2015 その5

久しぶりに訪ねた、ペルマネンテ美術館Museo Permanente。




以前は、職場が近かったし、美術館の活動自体がもっと盛んだったので、よく展覧会を見に来たものですが、いまや、職場は郊外に移転、そして美術館は、ほとんどイベントにしか使用されなくなったので、本当に久しぶりです。

実はこの日、ドゥオモの屋上展示に行く予定にしていました。
かなり注目度高いんじゃないか?と目をつけたイベントFabbrica del Duomo di Milanoが、この日だけ、一般公開、となっていたのです。現代美術が、ドゥオモの屋上で展示というイベントとしては、10月末までの開催らしいのですが、フオリサローネの基本は、「入場無料」なので、わざわざ行こうと思った次第。
行列を予想して、徒歩での上り口にアクセスしたところ、数人が入場を待っているだけ、その上、入り口付近は、柵が立てられて入れないようにされています。柵を並べている人に尋ねると、「今日はもうクローズ。」とただ一言、取り付くしまもなし。
なんなんだ?
いずれにしても、無料ではなかったので、それなら、もっと人のいない時期に来ればいいだけの話です。納得できないけど。
というわけで、プランBとして、地下鉄で二駅の、この美術館に移動したというわけです。

とは言え、ここの展示も興味はありました。
NENDOという、日本人のデザイナー集団の展示で、彼らは、数年前から、フオリサローネのあちこちの展示で活躍しているんです。たとえば、隈研吾さんや吉岡徳仁さん、その世界では有名でも、わたし程度の、一般的なミーハー・アート・ラバーにはなかなか近づくことのない活動をされている方々。今「いけてる」デザイナーが露出するフオリサローネだからこそ、その作品に触れることができ、大好きになって、という経験をしてきましたから、そういう点で、気になっていた人たちなのです。

前置き、長すぎ。




展示内容は、とても堅実。基本的には、実際にやった仕事、つまり実績を並べています。企業名が出ているのもあり、ないのもあり。
ガラスとか、鏡とか、強化プラスティックとか、すける素材、反射する素材、そういうものがテーマだったみたいです。

この部屋に展示されていたのは、多分強化プラスティック素材の、テーブルや椅子、棚など。




ミニマリズムが好きな人には、とても受けそうな。わたしのようなクラシック好きには、まったく食指の動かない家具です。椅子は座り心地悪そうだし、棚はほこりの汚れが目立ちそうだし、テーブルは、しょっちゅう、角にすねをぶつけそうだし。




色目の異なる素材を組み合わせた棚。照明で、床に映る色がまた素敵なんですが、これ、正しい位置に、正しい高度の照明がないとこうならないわけで、庶民の家には無理。
まぁ、端から庶民は想定してないでしょうけど。

こちらは、言ってみたら几帳みたいな、役割の家具。




几帳って、言わないか。ついたて?現代語だとなんていうんですかね。
鏡が面白いモザイク効果を出していて、映りこむ人の姿も面白ければ、床に反射する模様も素敵。庶民のウサギ小屋には、まったくそぐわないけど…。

2階の入り口にあったこちらは、とってもきれいでした。




インテリア。ガラス瓶に、レシンのような素材が入っていて、いろいろな雨を表現しているんです。
左は五月雨。右は樹雨(きさめ)。
樹雨とは、木の葉や枝からたれる雨粒のことらしいですが、本当にある言葉なんでしょうかね。日本語は、雨を表す単語がとても豊富だと聞いたことはありますが、ここに並んだ雨の表現の半分くらいは知らない単語だったかも。





それにしても、とってもきれいなのに、照明もスタディしてると思うんだけど、目線からだと、なんか半端な絵になってしまって、それなら、台をもっと高くすればいいのに、とか、なんとなく納得できない感じ。

あ、デザイナーっていろいろやるんだね、という感じで、割と普通に食器などもありました。




よく見るとかわいい、桜または梅のお箸。実用としてどうなのかは不明。先端が見えなかったので。でも、これはちょっと欲しいと思いました。

こちらは、みな企業名が付されている作品群。皮革、木、プラスティック、様々な素材の様々な品。




ハーゲンダッツの展示品とか。




本当にいろんなことを請け負うんですね、インダストリアル・デザイナーって。

マテリアルで面白いと思ったのが、タイル並べ。









同じような素材が、並べ方ひとつで、まったく違うイメージになってしまうんです。当たり前のことなんですけれど、こうやって眺めると、びっくりします。
低予算だと、どうしても、職人さんの手間賃を節約するために、同じタイルをただ並べるだけ、となってしまうんですが、そういえば、手間賃を惜しまなければ、同じ素材でもすごく個性的になったりするんですよね。
自宅の内装をしたとき、インテリア・デザイナーさんに頼めるくらい予算に余裕があれば、と思ったんです。やっぱり、お金をかける、手間隙をかけるって、意味があるんですね。
なんかな~。せめてバスルームだけでも、改装したいなぁ。まだ、ローンの繰上げ返済の方が、プライオリティ高いのが残念。
NENDOの人たちも、こういうリアクションは予想外かも。あ、でもインテリアの見本市であるサローネの、王道的なリアクションではあるのか。笑。

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  1. 2015/04/26(日) 00:37:18|
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