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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

サムソン・ラブ!

カタルーニャ・ロマネスクめぐり、その29

旅の終着駅、バルセロナに行く前、最後に訪ねたのは、サン・クガット・デ・ヴァリェスSan Cugat de Vallesのサンタ・マリア修道院Monaestir de Santa Mariaです。

結構大きな町だったのに、意外と簡単に駐車場を発見。日曜日で無料だったので、ちょっと嬉しく、歩いて5分ほどで目的地に到着。




びっくりしました。全然ロマネスクじゃないじゃん。ということで。いかに事前に、きちんと学習していないかが分かる展開です。
教会では、ちょうどミサの真っ最中だったので、この写真の左側に入った場所にある、ガラス張りのインフォメーション・センターへ。
とてもしっかりとしたインフォで、でもその割りに紙もの資料はほとんどなく、町の地図だけもらって、博物館となっている修道院の一部に向かいます。

そう、修道院の最も重要な遺構は、現在とっても整備された博物館になっているんです。

これが、修道院全貌。




教会の左側、つまり北側にある回廊部分が、博物館になっています。有料だったと思うのですが、記録がないから、もしかして日曜日の恩恵で、無料だったのかな。記憶無し。

では早速。




広い~。もう、ロマネスクの遺構的ひなびたような空気はゼロですね。二階部分は、もちろん後代の増設でしょう。目的は、一階部分に並ぶ、円柱の柱頭です。
さすが博物館にしただけあって、きちんと整理されているのは、感心しました。
柱頭の内容が、一部ですが、ちゃんと記載されているのは、初めてだったような。




柱の下の方に、小さいプレートが掲げられているんです。
小さなひなびた田舎の回廊で、こんなことされちゃうと、ちょっと興ざめかもしれないけれど、これだけの大きな、それも博物館化している回廊なら、全然オウケイ、というより、実際、有意義な気がしました。

しかし、こんなにちゃんとした場所なのに、適当な紙もの資料が、全然なかったのは驚き。いや、すごく大判の立派な写真集とかはあったんですけれど、そして実際購入しようかどうしようか迷ったんですが、カタラン語だけしかない、と言われて、すっぱり諦めが付きました。でも、小さいガイド本があれば、絶対買ったのにな。

旅が終わってから、ネットで、検索したら、この修道院のサイトがあり、柱頭についても、詳しく掲載されていました。でもわたしはアナログ人間なので、紙の本が好きなんですよね。大体、自宅にはプリンターもないし。

柱頭を、一部、紹介します。

例によって、どこから見学すればよいか、まったくわからないままに、一番最初に撮影した柱頭は、これ。




サムソンですよねぇ。ハンサムさんに表現されることが多いので、大好きなモチーフ。やっぱり呼ばれちゃうのかしら?
それにしても、時代もちょっと下るのでしょうし、かなり繊細な彫り物です。ちょっとルシヨン地方との共通性などを感じたりしたのですが、考えたら、ピレネーをはさんで、ルシヨンはすぐそこなのですから、石工さんも行ったり来たりしていたかもしれないし、共通性があるのも当たり前ですね。

デザイン化された植物モチーフに、人や動物のフィギュアが彫りこまれるタイプが多数。




こんな感じ。




「ジムで、重いもの持ち上げのマシン(なんというマシンか知りません)に座っている人」状態ですよね。

正統派植物シリーズ、葡萄蔓に葡萄房。




この時代に表される葡萄房は、松ぼっくりかパイナップルの方が近いと思うことが多いのですけれど、なぜでしょうか。今、葡萄房を描くとすると、上の方が広い逆三角形だと思うのですが、この当時は、たいてい縦長の楕円。葡萄の形が違っていたとしか思えません。

ライオン君たちも、植物の陰で仲良し。




それにしても、このライオンの不細工なことったら。カベスタニーの鋭いライオンたちとはえらい違い。人のフィギュアは、顔も含めて均整が取れているのに、なんだか不思議です。動物苦手な石工さんがいたようですね。なら、ライオンなんて彫るなよ、と思いますが。

動物と言えば、ふと目に付いた円柱の根元。




このお尻はかわいいです。

いつものロマネスクは、以下でどうぞ。
ロマネスクのおと

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  1. 2015/05/07(木) 05:54:01|
  2. カタルーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

可愛いお尻~(≧∇≦)!
素敵な彫刻ですね。
ライオンの表情、私は好きです^_^。
  1. 2015/05/07(木) 00:00:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

おもしろいとおもってよくみたおしり。

犬がなぜ挟まっている?と思ったのですが

どうやら悪魔を踏み潰しているんじゃないかと思いました。
  1. 2015/05/07(木) 01:41:00 |
  2. URL |
  3. ガビィ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 洋吉ちゃん
わたしも、このライオン好きですよ。なんとも情けない表情っていうか。
こういう配置だと、かなりすごくシンメトリーなのに、全然アシンメトリーだったりね。石工さん、よく、こんな仕事させてもらえたな、とか思ったりすると、ますます楽しくなります。
  1. 2015/05/07(木) 20:54:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> ガビィさん
悪魔という発想、ナイスと思うんですが、よく見ると、横の方に飛び出している頭はライオンなんですよ。
ライオンは、悪人を恐れさせるために、教会入り口などにおかれるわけだから、どっちかと言うと、善の方の力のシンボルかと思うんですけれど、つぶされちゃってます。どこにでもちゃんといて、お前を監視してるぜ!って言うことかしら。
  1. 2015/05/07(木) 20:57:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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