ミラノ万博、その2
日本館、入り口からは一番遠いところにあり、入場して、結構わき目もふらずに向かっても、確実に30分はかかってしまいます。
それでも、行列をしないために、朝一番で向かったのですが、到着したときには既に長蛇の列。
なんと、既にして1時間10分待ちでした。
でも、さすが、おもてなしの国。
行列の並び口に、待ち時間が啓示されており、どういう状況かコンパニオンが説明してくれます。そして、行列も、日陰→日向→日陰となるように工夫して、列を作るようになっています。こういう細やかなサービスをしているパヴィリオンは、他にはありません。
それにしても、コンパニオンの制服は、確か著名デザイナーのものだと思うのですが、相変わらずダサい。
日本には、世界レベルのファッションデザイナーがたくさんいるのに、オリンピックとかこういう世界レベルのイベント絡みになると、とんでもなくダサいものが採用される傾向は、今でもあるんですねぇ。
日本館は、ヒノキ作りで、なんと釘を一本も使わずに、外壁を作っています。宮大工の世界ですねぇ。自分がやったわけでもないのに、自慢したくなります。
こういう技術、決して絶やさずに伝えていってほしいものです。技術といえば、こちらも。
メインストリートに向いた正面入り口に積み上げられた、色とりどりの酒樽ですが、酒樽も、いまや片手で数えられるほどしか製造所がないそうなんです。
そういえば、イタリアでは、もうずいぶん昔に製造者がいなくなっているのではなかったでしょうか。樽を必要とするものはたくさんあるのに、ワインもバルサミコも、いまやフランス産の樽を使わざるを得ない、悲しい現実。
外の行列が終わっても、実は建物入った時点で、やっと半分です。夜に行ったとき、さほどの行列じゃなかったのに入れなかったのは、そういう理由だったのです。
中に入ると、木の棒がずらりとさがったパーティションで通路が作られています。
棒はさがっているだけなので、動きます。みんなつい触るのですが、木と木が触れ合うと、相当うるさい音がします。拍子木なんですね、音的には。それが、ずらりと並んで、拍子木が何百組とある状態ですから、いかにうるさいか、想像していただけると思います。時々コンパニオンの方が、うるさいので、どうぞ鳴らさないでください、と言うんですけど、触りたい、という誘惑に勝つのは、なかなか大変。で、いつもうるさいです。
むくの木なので、香りが立ち上っています。ヒノキ風呂気分。
やっと最初の部屋に入ります。グループ・ツアーとなり、一回100人程度でしょうか。
外の暑さが嘘のように、ひんやりした暗闇。漢字交じりの日本語がつるされていて、ライトアップ。なんだか、中国テイストで、え?これ?と、少々戸惑いました。
全員が入った時点で、奥の壁に映像が映し出されました。
なんか、全体にやっぱり中国テイストが否めない。うーん。
その上、空気を読めない風の日本人らしき若者が、遠慮なくスクリーン前に立って、映像が隠れるので、集中できない。しゃがむなり、後ろに下がるなりしてもらおうと声をかけようとしたら、他の人が注意してくれて、ほっとしました。まったく、恥ずかしい。
作品は、チームラボというグループの製作らしいのですが、このグループ、最近、東京で「踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」というイベント的展覧会をやっていたんです。あまりの人気に、会期が延長されたというそのイベントを取り上げた記事を読んだところ、ひどく面白そうだったので、この日本館の展示に興味を持ったというわけです。
次の部屋に移動すると、ここも暗闇で、光が怪しい雰囲気を醸し出しています。
狭い通路を進むけれど、なんせ人も多いので、途中で立ち止まるしかない。そうしたら、壁に向けて映像が始まりました。
こちらは、田んぼの四季。
苗を植えて、緑になって、稲穂が実って収穫祭。
踊っている農民が映し出されています。
とても美しい演出でした。
そして、鳥居のような通路を辿り、次の部屋。
これは、最初に目に入ったときのインパクトはなかなか素敵だったのですが、内容は、何というか、がっかり感が勝つというか、意味不明って言うか。
SF映画とかのイメージ拝借って言うところですかね。水の流れの中に、日本食の写真が流れてきて、触ると止まるので、よく見ることが出来たり、スマホに取り込むと、レシピとか他の写真も引っ張ってこられるシステムになっているのだそうです。でも、これは、生まれながらのデジタル世代でないわたしなどには、どうしようもない話し出し、そもそも、日本食の写真をもらっても仕方ないので、ほぉほぉ、とコンパニオンさんのお話を聞いておりました。
そして次の展示に写る前に、通路に、おなじみ合羽橋製の食品サンプルがびっしり!
これはやっぱり楽しいです。本当に素晴らしい出来栄えだし。
そしてミニ・シアター。
ここでは、地球の温暖化や水不足を解消するための話を、文化祭的にまじめに話す映像が流されておりました。椅子が並べられていたので、多くの人が、一休みしていたのが現実と思います。映像の主人公は、愛知万博のキャラクターですね。
部屋の周囲にめぐらされたジオラマがきれいでした。
さすがにもうおしまいだろうと思ったら、次の部屋が最後にして一番の出し物的な?びっくりでした。さほど大きいとは思えないパヴィリオンなのに、うまく作ったものです。
その部屋に入り前、ロビーみたいな場所で、映像を見て、お勉強。フューチャー・レストラン。
入場。
着席させられてしまうので、全体の写真が取れなかったのですが、中央にステージが置かれた円形のスペースで、我々は、ステージを取り囲むように並べられた、ファミレスのような大きな6人掛けのテーブルに付かせられます。
テーブルの真ん中には大きな映像がおかれ、各自の前にも映像、そしてお箸がおかれています。
映像には、「是非、会話をしましょう」なんて書いてあるのですが、みんなお箸や部屋の観察に一所懸命で、そんな余裕なし。余裕ある日本人としては、同じテーブルの人に話しかけてみたんですが、思いっきり無視されました。
ステージでは、この人、一体どういう経歴でどこから湧いたの?という感じの日本人女性が出てきて、イタリア語でトークしながら、くるくる飛び回ります。
そして、イタリア人男性が加わると、なんだかNHKの、すごくお金をかけて、半分冗談みたいなことをまじめにやっているテレビ番組的なのりになっていきます。
歌ったり踊ったり、ちょっとこっちが恥ずかしくなるような演出で、他の人たちも、若干呆然としている様子で、盛り上がっているとも思えませんが、音楽とライトアップとで、なんとなく無理やりに盛り上がっている状態の演出。うむむ。何だろう。ちょっと馬鹿にされているような気分にもなりつつ。
でも、手元に展開される映像は美しいし、それなりに楽しさはありました。日本人以外の人にとっては、もっと目新しかっただろうし。
ただ、とにかく早すぎでめまぐるしくて、展開についていけない人も多かったと思います。
これで、終了。
1時間近くかな。いやはや、ご苦労様です。
期待していたものかと言うと、どうだろう、というところはありますが、ここまでがんばっているパヴィリオンはほとんどないという意味では、確かに人気があるのもうなずけます。日本人って、本当にがんばっちゃう人たちなんだな、と思います。
それにしても、特訓したに違いないイタリア語を駆使して、歌って踊ってトークする「歌のお姉さん」のような人は、一体誰なんだろう。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/06/19(金) 06:08:14|
- ミラノ徒然
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