カンタブリア・ロマネスク、その1
まさか、一年もたってしまうとは…。アップの遅さに呆然としておりますが、ちょうど一年前の、スペイン北部、アストゥリアスと一緒に訪ねたカンタブリアの方向となります。地味な場所だけに、ご興味のある方も結構いらっしゃったりして、楽しみにされている方もいらっしゃったりして、それなのに、一年…。
そもそも、自分の記憶が薄れてしまうのを、少しでも食い止めるべく、ブログをはじめたというのに、これでは、元の木阿弥…。
まぁ、過ぎてしまったものは仕方ないですね。
というわけで、2014年7月半ばに訪ねた、スペインはカンタブリアの旅の記録を、今更のように、書いてみたいと思います。
旅は、ミラノからダイレクトにサンタンデール・インで始まりました。前半は、アストゥリアスに移動したので、カンタブリアは、後半四泊五日の旅となります。
まずは、かなりの観光地でもあるサンティジャーナ・デル・マルSantillana del Marです。
目的は、上写真の奥に見える、サンタ・フリアナ参事会教会Colegiata de Santa Julianだったのですが、同時に、二十年近くも前に一度訪ねた土地を辿ってみたい気持ちもありました。
いやはや、いきなり度肝を抜かれました。
呆然として、町の風景は、あまり写真に撮っていないのですが、その観光客の多さに、まず呆然としたんです。当時もそれなりに観光客は来ていたし、既にパラドールもあったのですが、でも、旧市街を出た途端に、”やっと舗装してあるけれど”程度の道路に、点々と家が建っている程度で、ホテルも、数えるほどだったんです。夕方旧市街をぶらぶらしていると、放牧を終えた牛の群れが、堂々と上の広場を闊歩しているような村だったんです。
旧市街のすぐ外にあるホテルに泊まった記憶があったので、必至に探したところ、どうやら面影のあったのが、このホテル。
当時、かなりしょぼい道沿いに、このホテルが佇んでいるだけという印象だったのですが、いまや、ここから旧市街の反対側の奥には、ホテルがぎっしりと立ち並び、あまつさえ、巨大な有料駐車場が設けられているんです。その上、駐車場には、常に車が一杯になるくらいの観光客が押し寄せています。
ここの観光資源は、わたしの目的でもある参事会教会。そして、村の郊外にあるアルタミラの洞窟です。
到着した日、夕方に時間があったので、せっかくだから、とアルタミラの洞窟博物館に行ってみることにしました。アルタミラ、世界史の教科書に必ず出てくる、古代の壁画が残っている洞窟です。
これがまた!
以前は、まだ免許すら持っていない時代に来ていますので、アルタミラへも、村のバスで行ったように記憶しています。草木がぼうぼうとした中、洞窟脇に、プレハブ小屋のようなものがあり、それが博物館でした。
当時、既に、洞窟へは一般人は入れなくなっていたので、掘っ立て小屋の博物館で勉強して、確かマドリッドに、結構ちゃんとした岩絵のレプリカがあったのを、後日見た記憶があります。それでも、それなりに感動したのですが、今は、まったくすごいことになっていました。
巨大な駐車場。整然とした展示館。そして、洞窟を再現した大掛かりなレプリカがあります。
どれも興味深かったのですが、それでも、本当の洞窟の場所は既に分かりにくくなっているし、なんだか、現実感が薄れているような感じで、かつての素朴な姿を懐かしく想いました。
なんせ、観光客、ひっきりなし。いやはや。
それに、周辺一体が整備されていて、このサンティジャーナの村も、高速からのアクセスがずいぶんと楽になるような、新しい国道が整備されていました。わたしの、5年ほど前に購入して以来アップデートしていないナビが、認識しなかったので、新しい道は、5年以上はたっていないものと思われます。実際に、とてもよい道だったので、そうなんだろうと思います。
ということは、この辺りは、まだまだ発展する余地があるということなのでしょうね。
若干複雑な気持ちを抱えながら、村に戻りましたが、なんだかんだいっても、ここが中世の面影を見事に残す、美しい村であることに、変わりはありません。
確かに、ホテルもお土産屋もレストランも、確実に増えたけれど、観光地化が進む過程で、中世の町並みの整備は、逆に進んだ部分もあるのかもしれません。
かつてスケッチした紋章たちも健在です。
スペインの古い町では、かつての立派なお屋敷跡風の建物に、たいていこういった石彫りの紋章が残されています。どれも立派で、細かい彫りが楽しいです。
紋章については多くを知らないのですが、各家にシンボルがあって、結婚すると両者のシンボルが組み合わされて、というような方式になっているのだったと思います。だから由緒正しい、長い歴史が辿れる家系ほど、内容が細かく立派になるのだったかな。紋章のシンボルを辿ることで、地域の家系が辿れるとか、そういう話。
この紋章、確かにスケッチした記憶があります。
絵を描くという作業は、風景を目に焼き付けるには、最高の手段ですね。スケッチした場所というのは、対象が何であれ、なかなか忘れません。
写真も、フィルム時代は、ある程度考えて撮影したために、若干似たような作用があったものですが、デジタルになったら、数で記憶をとどめるようになってしまったので、本来脳が持つ記憶中枢につながらなくなってしまいました。こうやって、人の五感は衰えていくのですねぇ。
という辺りで、実はいきなり停電で、全部飛んでしまいました。
あまりに暑いミラノで(連日35度超)、クーラーとか電気の使いすぎかもしれません。
一度書いたものを繰り返すのも、なんだか鬱陶しいので、プロローグはこの辺として、次回から、サンタ・フリアナ訪問を開始します。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/07/09(木) 03:01:50|
- カンタブリア・ロマネスク
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> 山下亭さん
スコットランドやイングランドは、紋章の宝庫という印象があります。大陸では、スペインかな~、と思うのですけど、どうなんでしょうか、ちなみに、イタリアでは、メディチ家とかの簡単な紋章は結構地域的に見られても、各家系の細かい紋章は、こういう石彫りでは、あまり見ないように思うんですよ。
- 2015/07/10(金) 22:05:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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