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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

戦う柱頭

カンタブリア・ロマネスク、その4

サンティジャーナ・デル・マルSantillana del Mar、サンタ・フリアナ参事会教会la Colegiata de Santa Julianaの続き、いよいよ回廊です。




以前記しましたが、サンティジャーナの町は、いまや一大観光地と化し、小さな村はどこもかしこも観光客であふれていますが、このサンタ・フリアナへの入場口の辺りなど、中心部を一歩外れると、意外にもシーンとしています。そして、教会への入場者も実に少なくて、びっくりするくらい静かに、中世に浸れるスポットとなっています。これは、予想外でした。

ただ芝生がしいてあるだけのシンプルな内庭を囲むのは、二連の小円柱とそれぞれの柱頭。通常二連の柱だと、ほっそりとして優美な雰囲気がありますが、ここのは、ちょっと太めな感じでびっしり、重量感があります。柱頭の雰囲気も含め、どっしり。




ぐるぐる装飾系は、時代が若干違うのか、石が違うのか、たまたま保存がよかったのか、再建も混じっているのか、よい状態です。




でも、再建を示すRマークは入っていないので、やはりオリジナルなんでしょうかね。




一方で、聖書エピソードや寓話系のストーリー性のある柱頭は、全体に傷みが激しいです。

こちらは、比較的状態のよいもので、ライオンの穴のダニエルさん。わたしの好きなエピソードですが、ダニエルさんが、ちょいとおばさん風だし、ライオンの腰に尻尾がまきついてくびれていて、変に怖い。




ライオンつながりで、わたしの好みと来たら、欠かせないのが、こちら。ちょっと珍しい後ろ向き。




前の方からの撮影は、ほとんど失敗。




小雨だったので、レンズが汚れている上に逆光。
回廊柱頭の撮影は、結構難しいものです。ここは、位置が低めなので、最低の望遠で撮影できる分、ましだと思うのですが、内庭には入れないために、結構無理な角度にならざるを得なかったり。
ちなみにこれは、ライオンと戦う、ダビデまたはサムソン。長髪なので、サムソンぽいのですが、ワイルド感が薄いのでダビデかも?

ドラゴンと対峙する天使。




ってことは、ミカエル?解説では、そういうことでもなさそうです。黙示録系なのかしら?
こちらでは、騎士もドラゴンと戦っています。




このドラゴン、結構えぐいです。




結構怪獣系というか、容赦がない姿かたちして、柱頭に巻きついている意匠が、なかなかの迫力。戦い系が好みだったんですかね、誰かの。

こっちでも、ケンタウルスとバシリスクが、怪しい森でどろどろやってます。




で、ちゃんと天国がある。




回廊は、東西南北に意味もあるし、なるべく順番にきちんと撮影して入るのですが、それでも、回る方向を間違えたり、いろいろあります。それにしてもこちらの柱頭の内容は、新旧約聖書、植物モチーフや寓話など、かなり混ざっているようにも思えますが、そんなはずもないので、きちんと調べないといけないと思っています。解説本がスペイン語なので、時間がかかって(昨日と同じ愚痴…)。

回廊には、軒送り彫刻もいくつか並べてありました。回廊と、教会をつなぐ扉装飾の一部らしいです。どれも愛らしい。





その扉は、今も健在です。




こういう屋根の付いた扉の上にまで、軒送りプラス彫刻装飾をするって、この軒送りへのこだわりは、すごいですね。
アーキボルトは市松モチーフ。大好きです。これも、スペイン全土にわたり、相当好まれたモチーフなのですね。

改めて写真を見ていると、この教会、実に装飾的で楽しい発見がたくさんあることが実感できます。町の立派な様子、それもおそらく中世期から既にそうだったと考えられることから、修道院の権威や経済力など、容易に想像できます。

観光客の増加に伴い、高速道路から直接町にアクセスする国道も出来(わたしのナビでは出てこなかったので、少なくともこの5年内に作られたもののはず)、もしかすると中世期以来、どっちかといえば衰退して縮小さえしていたかもしれない村が、今、発展をしつつあるような、そんな気もしました。

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  1. 2015/08/19(水) 00:05:06|
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