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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

崖っぷちから、屋根装飾観察

カポディポンテCapo di Ponteその2

カポディポンテは、ヴァルカモニカ、カモニカの谷にある小さな町ですが、町の規模を考えるとびっくりするくらい立派な教会が二つもあります。
そのひとつが、このロンゴバルド起源のサン・シーロ教会Chiesa di San Siro。




駅前から旧市街への道沿いに車を停めたのですが、その道の先に、すぐ姿が認められて、びっくりしました。一瞬、目を疑い、ズーム。




間違いなく、ロマネスクの後陣です。
事前に、ロケーションなど調べていましたが、ここまでドラマチックな様子であることは、想像もできませんでした。

町を通り抜けて近づいていくと、川があり、その小さな橋からも、実に美しい姿を眺めることが出来ます。




通り抜けていく町は、鉄道が通ってから出来たのではないか、というような新しい町並みですが、橋を渡った先は、古い山間に村のたたずまいが、そのまま残っています。




急坂の石畳の両側は、覆いかぶさるような石の住居。外壁などは新しくしていますが、構造は古そうで、石と木の混ざった、山によく見られる建築です。
そういえば、教会のたたずまいにしても、なんとなくスイス中部の中世の村を彷彿とします。ジョルニコとか、イメージ的に似ているような。

建物のあちこちに、とても立派なサイズの祭壇(こういうのってなんて呼ぶのでしょうか。お社というか、日本だったらお地蔵様感覚で、マリア様などが祭られているものです)が置かれているのも印象的でした。




この急坂の先の右手に、さらに急な階段があります。




階段を無視して先に行くと、丘を大回りするように、なだらかな坂道でアクセスできる道もあるようなのですが、やはり本来の道を行きたかったので、階段にアクセスしました。階段でなければ、絶対に上れないような急角度の土地です。
幸い、階段部分はわずかで、すぐに、美しい緑のなだらかな坂になります。




これはまた、うっとりするくらい美しい道です。教会にアクセスする道は数あれど、これほど美しい道は、そうないのではないでしょうか。

もうすぐに、緑の合間に、教会の姿が見え隠れし始めるのですが、その手前に、古い城壁があります。




中世にあったお城の跡のようです。北からまっすぐミラノに向かう道ですから、ここは交通の要衝でもあり、防御的には重要な拠点だったのだと思われます。今では、こんなわずかな痕跡しか残っていません。
そして、この城壁の先に、いよいよサン・シーロ教会が見えてきます。

階段を登ってきた道をまっすぐ行けば、そのまま南壁に出るのですが、あえて、城壁の方に回りこんでみました。




登り道になっています。教会が下になっていきます。
びっくり。15世紀に建てられたという鐘楼の基部に出ました。
この写真で、サン・シーロが、いかにとんでもない土地に建てられたかが、よくわかると思います。この場所は、本来なら西側ファサードが作られる場所ですが、スペースがなく、岩山に、建物がドッキングしている状態なのです。教会のスペースはもちろん平地ですが、おそらく岩山を相当削って作られた平地なのではないでしょうか。崖状態の岩山に、これだけの平らなスペースがあるとは、考えにくいんです。
それにしても、西側は、こうやって崖と接触していて、東の後陣側は、崖の上という立地で、どうやって工事が行われたのやら。大規模な重機もなかった中世初期の工事だと思うと、呆然とする立地です。




上から近づいたので、軒送りにある垂れ下がりアーチの装飾をよく見ることが出来ました。




アーチの先には、人の顔や動物の顔などのシンプルでデザイン的な彫り物装飾がおかれています。とてもすっきりしたスタイリッシュな彫り物で、泥臭さがなく、新しい時代のものみたい。扉口の装飾や、本堂内の柱頭彫刻とは、かなり感じが異なります。




でも、崖状態の上にいるので、実はびくびくしていました。教会のある地面からの高さは結構なものだし、ちょっと足を踏み外したらまっさかさまです。ドキドキ。




それにしても、美しい景色。お天気も上々で、気持ちのよい午後でした。
続きます。

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  1. 2015/08/27(木) 05:16:51|
  2. ロンバルディア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

私は高所恐怖症だと思っています。

cup&markへのコメント有難う御座居ます。
  1. 2015/08/27(木) 00:52:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

いやーん、お尻がゾワゾワします。高い場所は苦手なんで、トム クルーズの映画は見れません(≧∇≦)。
この彫り物、すごく素敵ですが、どんな人物がどうやってこの場所においたのでしょうね?
大変な重さなのでこの場所で掘り進めたのかしら?
住宅のドアが素敵です。
  1. 2015/08/27(木) 06:11:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 山下亭さん
高所恐怖症だと、この場所はちょっと引けるかもしれませんね~。たいしたことはないんですが、柵とかないと、気持ちがびくびくしますよね~。
  1. 2015/08/28(金) 17:33:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 洋吉ちゃん
こんな場所で建設して、ほんと、どうやって、という疑問ばかり。
宗教の力って、すごいものがあります。あと、職人さんの腕というかやる気というか、やっぱりなんか気合が違いますよね。

住宅のドアって、木製の扉の部分かしら。いいですよね。こんなドアの家に住みたいものだとよく思います。
  1. 2015/08/28(金) 17:36:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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