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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

金色モザイク的に、ラベンナ > パレルモ

夏休み旅その3、ラベンナ1

今回のラベンナ、最初に訪ねたモザイクは、郊外クラッセにあるこちら。




サンタポッリナーレ・イン・クラッセ教会Basilica di Sant'Apollinare in Classe。
ここは、比較的最近訪ねた場所なので、駐車場とかのシステムもばっちり学習済みで、スムーズにアクセスできました。
ファサードは、超つまらないんですが、モザイクの美しさは、何度見ても、見るたびに、毎度同じようにうっとり出来ます。




バジリカ式のがらんとしたスペースの奥、正面から入ったら、当然ながら、まっすぐに目に入る大伽藍の緑のモザイク。
今は残念ながら、正面扉は閉ざされて、北側の入り口から入るので、この後陣まで一呼吸入ってしまうのが、大変惜しいことだと思います。

わくわくしながら、モザイクに少しずつ近づいていく時の嬉しさ。これは、本当にいつも同じわくわく。




何があるか分かっていても、この美しさの前では、新鮮な気持ちになれます。
どのモザイクも、スペースを考慮したモチーフやデザイン性が感じられて、そのすべてのオリジナリティが、異常に高い。




ビザンチンのモザイクは、イスタンブールでちょっと見たことがあるだけで、他を知らないのですが、そういうわたしの経験値から言えば、ラベンナのモザイクは、総合的な面白さで、イタリア半島で見られるビザンチン起源のモザイクの中で、圧倒的に群を抜いています。




金色を背景にするのでも、全部何でもかんでも、というのではなく、ここでも、後陣を見たとき、最初に印象付けられるのは、黄緑系のとても明るい緑で、上の方が、こんなに金色というのは、近づくまで目に入ってこないと思うんです。
金色という、派手でプレステージも高い色彩が、他の色と、完全に調和して、浮き上がっていないという感じが、多分好きなのかな。

勝利のアーチ部分には、中央に祝福するキリスト、そして両脇に、四福音書家が、有翼のフィギュアで表されています。




この部分の背景色、紺色地にオレンジや黄色を使う組み合わせは、ローマのサンティ・コジモ・エ・ダミアーノとか、サンタ・チェチリアでもおなじみの組み合わせですね。図像学的に色彩にも意味があるのか、単に流行った配色なのか、ちょっと面白いです。

同じ金色を強調するにしても、シチリアでは、普通のエピソードの背景色に、何でもかんでも金色を使い、ベネチアでは、聖母を強調するために、ただ金色だけの背景を使い、そして、ラベンナでは、他との色合いで使っています。ローマは、系統としてはラベンナ系だと思っているんですけど、どうでしょうね。

真ん中にいるキリスト。




憎いんだよな~、この配色の妙。
薄いピンクのような色が後光的な効果をあげていて、アップでも、あっ、という感じだし、遠めでも、キリストが浮き上がって見えるんですよね。金色を使うよりも、絶対に効果的なんです。
ラベンナには、すっごく色彩感覚に優れた職人さんがいたに違いないと思います。ガラスは、光などの要素も大きく影響するという意味で、他の素材とは大いに違うでしょうから、普通の感覚では、完成図って描きにくいと思うし。

モザイク以外にも、ここには、7世紀とか8世紀頃の遺構がたくさんあって、今回もいちいち、ちゃんと確認。ほぼ、指差し確認状態です。
古いチボリオ。




浅浮き彫りも、ぐるぐるの彫りこまれた円柱も、とってもよいのです。今は、隅っこに置かれているのが、ちょっと寂しいですが。

そして、時代をまたいだ石棺がたくさん並んでいて、どの腹にも、楽しくなっちゃうような彫り物が多数。これまた、しっかり全部確認。




結局、いつも忘れちゃうしね。




こういう風に彫りこまれた昔の文字って、実に味があります。

実は、この教会、本堂外観には見るべきものがないのですが、ラベンナ特有の円筒の鐘楼は、見て楽しいものなんです。でも、訪れた夕暮れ時、今にも雨が落ちてきそうな様相だったのと、モザイクを堪能してしまったことで、すっかり忘れてしまいました。

それなのに、教会前の草原にあった、こんなものは、しっかり撮影していました。




水牛?かなり大型で、本当の水牛くらいありそうなサイズ。唐突に並んでいたんですが、前回来たときは、まったく気付かなかったか、ホンの最近おかれたものなのか。草原に合っていないことはないですが、でも唐突。

というわけで、ソフト・ランディング、ラベンナ・モザイク、一個目。眼福。

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  1. 2015/09/16(水) 06:13:49|
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