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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

金魚の泳ぐモザイクのクリプタ

夏休み旅その8、ラベンナ6

ラベンナ、今更ですが、モザイクにかかわる建造物が、この規模の町にこれだけぎっしりつまっているというのは、まさに奇跡。おそらく、発展しすぎることもなく、かといって極端に衰退することもなく、現代まで、常にそこそこの規模を保ってきた町だったことが、幸いしているのでしょうねぇ。

次に訪ねた教会については、これまで、まったく気付いていなかった場所。今回、直前に慌てて、最低限訪ねるべき場所を調べていて、これは絶対に行かねば、とチェックを入れた教会です。
サン・フランチェスコ教会Basilica di San Francesco。




サン・フランチェスコが世に出たのは13世紀になってから。ということは、サン・フランチェスコに捧げられた教会というのは、当然さらに後の時代のものとなりますから、どうしてもわたしの興味の対象より、ずいぶんとあとの歴史になってしまうのです。
そのため、サン・フランチェスコに捧げられた教会は、とりあえずすっ飛ばすことが多いのですが、中には、ここラベンナのサン・フランチェスコのように、もっと古い時代の神殿や教会の上に、あとから建てられた教会や、後代にサン・フランチェスコに捧げられるようになった教会も多いので、なかなか難しいものです。

それにしても、1285年ごろ生まれたというのに、そして遊び人をやっていたというのに、宗教にのめりこんだら一直線で、あれよあれよという間に、教皇にも一目置かれる存在となってしまって、13世紀には、既に各地の教会が捧げられたというわけですから、フランチェスコとは、まったくもってすごい人ではありますね。
彼に盲目的に従ったキアラとともに、映画になったりするくらい、その壮絶な人生というか、あまりにもドラマな人生が、いつの時代にも人々の胸を打つ何かがあるというのは、今更、心に留まりました。

話がそれました。
さて、ラベンナのサン・フランチェスコ教会ですが、今ある教会建物外観は、修復も激しく、かなり新しい雰囲気となっている中、鐘楼だけが、古い時代の名残をそのまま残しているもの。
その鐘楼は、ラベンナ特有の円筒ではなく、ローマ風の、辺が大きいどっしりとした四角形です。今ある建物のどっしり感と、調和していますが、10世紀頃の古いものです。




後陣側からアクセスしましたが、後陣もすっかり新しいレンガになっていて、周囲の近代的な建物と並んで、妙にしっくりとなじんでいました。

さて、この教会で気になっていたのは、古い時代の教会後陣が、クリプタとして残っていて、床面モザイクのあるそのクリプタが、金魚の泳ぐ池になっているというからです。

後陣脇の入り口から本堂に入り、内陣付近に誰もいないことを目にするや、一直線に突進しました。




これです、これこれ!事前に写真で見ていましたが、どういう構造になっているのか、いまひとつ分からなかったんですが、なるほど!

ちょいと説明しますと、これが、ファサード側から見た後陣方向。




かなり大き目のバジリカ様式で、壁は漆喰で真っ白。木製の天井が、かろうじて当時の雰囲気を残している感じで、風情はなくなっています。
正面の内陣部分が、かなり持ち上がっているのが分かるでしょうか。




祭壇の前が、両脇から降りる階段になっています。そして、その階段の下に、小窓が開けられていて、そこから、今の後陣部分の真下になるクリプタの様子が見えるようになっているのです。




結構小さな窓なので、人が多かったら大変なことになります。
窓の脇に、有料の明かりがあり、小銭を入れて点灯するシステム。それがないと、ほとんど暗闇です。

先に書いたように、誰もいなかったので、突進して、すぐに明かりをつけたわけです。
最初は、ただ興奮して、全体の雰囲気を捉えることに捉われてしまいましたが、しばらくして、透明な水の下のモザイクが目に入ってきました。




文字は、ギリシャ語とラテン語があるそうです。上の写真は、小窓の正面にありますが、左にはずれた方に、別の文字が。




この辺りから、我々に気付いて、やってくる人々がいました。それも子供連れ…。遠慮がちな人々でしたが、子供にはかなわず、前に出てくるよう譲らざるを得ない雰囲気となり…。
それでも、明かりが、結構いつまでも続くので、貧乏根性で、完全に立ち去ることが出来ないわたし。




子供と一緒になって、金魚に喜んだり、しつこく堪能しました。




それにしても、美しいクリプタ。水の効果も素晴らしいです。ただ、柱頭とアーチも素晴らしく魅力的なので、実際に足を踏み入れることが出来たら、また違った見え方がするだろうし、やはり上から眺めるよりは、柱頭の間を歩いてみたい気持ちの方が強いです。
でも、踏みしめ可能だったら、もしかすると、モザイクは、これほど美しく保たれていなかったかも知れないです。この水がいつからあるか分からないのですが、こういう構造になっている以上、そしてその構造が、さほど新しいとは思えない以上、結構な昔からこうなってしまったのでしょう。
クリプタはそもそも地下ですから、水が入り込んじゃうケースというのは、割とあるのですが、それで訪問不可能な場所もあることを考えると、ここは、珍しくも、それが幸いした稀有なケースなのかもしれません。

正面入り口に向かいながら、本堂も見学。
柱も柱頭も、おそらくローマのものの再利用と見受けました。




入り口近くの片隅には、ローマっぽい石棺なども置かれていました。




憎いほどのハイ・レベルな浮き彫り。ローマの技術は、しみじみすごいものがありますね。
でも、わたしの好みは、こっちの方かな。




中世の浮き彫りが、いくつか壁にかけられていました。

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  1. 2015/09/24(木) 05:55:43|
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