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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

古けりゃいいってもんでもないけれど。

夏休み旅その9、ラベンナ7

次に向かったのは、サンタガタ・マッジョーレ教会Basilica di Sant'Agata Maggiore。ここは、前回来たときに入れなかったので、気になっていた教会のひとつです。




背の低い円筒形の鐘楼が、教会前面に建っています。そういえば、サンタッポリナーレ・ヌオボ教会でも、同じような位置に鐘楼があります。鐘楼の位置というのも、いろいろです。
他の土地で見た、同じような位置関係の鐘楼も、別に地形の都合というようなこともなかったと思うので、何か宗教的な都合があるのではないか等と想像すると、ちょっと面白いですね。今後は、忘れず気にしてみようと思います。

ちなみにこの鐘楼は、16世紀頃の再建のようです。

さて、この教会。今回は、無事中に入ることが出来ました。




小ぶりのバジリカ様式で、建てられた当時の雰囲気は残っているものの、漆喰塗りが残念です。そして、正面の後陣部分にあったはずはモザイクは、残念ながら、見事に失われてしまったということが、分かりました。




後陣は、こんな感じのモザイクで、覆われていたようなんですよ。
教会守らしいおじさんがいたので、お話を聞いたのですが、17世紀後半にあった地震で崩れたということでした。ラベンナでは、その地震で、他でも失われたモザイクがありましたので、結構な規模だったと思われます。
イタリア中部は、最近地震が続いていますので、地震周期が300年から350年程ということなんでしょうかねぇ。怖いな。

なぜ、絵で再現できているかというと、17世紀という時代ですから、当時の絵画などに、様子が残されていたようです。記録はありがたいものですね。そして、本当にわずかですが、証拠も残っています。




窓枠の部分に、一部、彩色も美しい幾何学モチーフの装飾的なモザイクが見られました。
本当に残念なことですが、人災ではないのが救われます。

後陣の下のほうには、おそらくロマネスク時代頃のフレスコ画の後が見られます。




これは、人災的に失われたものと思います。

教会建物は、幸い、構造はそのまま、柱や柱頭は、しっかりと古い時代のものが残されています。




ローマ時代のマテリアル再利用の様子です。




古いものは、やはり美しいと思います。漆喰の塗られてしまった壁の寂しいこと。

とは言え、明らかに古そうながら、若干胡散臭いと思いつつ、一応撮影しといたこちら。




大きな柱をぶった切って、説教壇ぽい感じにしつらえた?とか勝手に考えていたのですが、そうではなくて、ちゃんと6世紀頃の説教壇だったらしいんです。
なんか、教会全体が新しい雰囲気になっているのに惑わされて、置かれているものに正当な評価が出来なかったかも。
あとから図面を見ていたら、他にもチェックすべきものを発見して、反省しました。

ちょっとね、この子が気になっちゃって…。




まるで、作り物のようにじっとしていたのに、いきなり動いたからびっくりの猫ちゃん。どうやら教会守のおじさんの子だったみたいなんですが、教会内部で猫がいるのは初めてだったかも。持込が許されているのがすごいですね。タマ駅長のような存在なのか?

教会前には、大型の石棺がごろごろ。




多分土地柄、やたら出てきちゃったでしょうから、数に合わせて、普通にごろごろしていますね。石棺を研究している人には、天国みたいな町かも。

ラベンナでは、モザイク的にマイナーな教会をもうひとつ。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会Basilica di Santa Maria Maggiore。




超観光スポットであるサン・ヴィターレ教会の脇にあって、観光客からはあまり相手にされていない教会ですが、見た感じは、まさに古いバジリカ様式だし、鐘楼も典型的なので、ちょっとだけ立ち寄りました。




中はバジリカ様式だったけど、実は、再建でした。6世紀の教会の上に、16世紀頃、今の教会が建てられてもので、鐘楼だけが9世紀から10世紀頃の古いものということで、上に紹介したサンタガタと反対の状況でした。
6世紀の教会には、間違いなくモザイクがあったのでしょう。

現存するモザイクだけでも、かなりの数であり、そして質はすごいものです。地震等の天災、破壊などの人災がなく、オリジナルのモザイクがすべて残っていたとしたら、一体どれだけのものがあったことでしょう。
これまでは、観光的に有名なモザイクだけをなぞる旅だったので、失われたモザイクのことまで考えたこともなかったし、モザイクがなくても現存している教会を訪ねたことすらありませんでした。往時のラベンナ、ひいてはローマ帝国を想像するためには、こういう場所をも訪ねる必要があるように思いました。

そして、こういう教会でも、ちゃんと開いているべき時間に開いている、というのが、観光都市としての素晴らしさ。教会を訪ねる旅で、これほどスムーズにすべての扉が開かれているということはめったにないと思います。

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  1. 2015/09/26(土) 02:23:56|
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コメント

No title

三枚目の写真、地震で崩壊前のスケッチ?を拝見して・・・・

私は何故か「タロットカード」を連想してしまいました。
何枚目と言う事は出来ないのですが、一目見て「TARO]カードだ!
と思いました。

変な連想が思い浮かんだ物ですね?
カバラの秘法はキリスト教には余り関係無いと思うのですが・・・・
  1. 2015/09/25(金) 23:55:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 山下亭さん
タロットカードですか!
そういわれれば、モチーフとか全体の感じが、意味ありげなものにも見えてきますね。絵のテイストが新しすぎて、オリジナルのモザイク画とはまったく違う感じだし。
タロットカードのオリジナルって、いつ頃のものなんですか?
  1. 2015/09/27(日) 18:15:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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