ベネチア・ビエンナーレ2015その2
まずは、メイン会場であるジャルディーニです。
半端な形の彫像が、ずらりと並んでいました。インドのグループの作品で、ファイバーグラス製の像。入り口のオブジェって言うのは、小粒でも、それなりにわくわく感を高めてほしいものなんですが、このスタイルが、ちょっと陳腐って言うか、古臭いっていうか、え~、こんな感じ~?もしかして、今回だめかも~?と、わくわく感とは正反対の感覚を抱いてしまいました。
そんな感覚を抱きつつ、取り急ぎ、とっつきにあるスイス館から。
あれ?なんかきれいだし、いつもとちょっと違う感じ?
これ、わかんないでしょうねぇ。かなり大きなスペースに、なんと液体が満たされているんです。ゆらゆらプカプカっていう雰囲気。
Pamela Rosenkranz - Our Product
「我々の製品」って言われても、なんのこっちゃなんですけどね~。
スイス館は、会場のとっつきにあるので、大体いつも最初に立ち寄って、そして、大体いつも、インパクトがなかったりします。でも、これは意外と面白くて、説明フライヤーをもらったんですが、読むの、めんどくさ! 現代美術って、シンボリズムとか、深遠な意味とか、本人だったりキュレーターだったり、批評家だったりが多く語っちゃったりすることが多いですが、どうもそういうの、苦手。主に、人工的で人に何らかの作用を及ぼすような物質を通して語る作者が、パビリオンへの訪問者をそういったものそのものの中に取り込む的なことが、ずらずらと書かれておりまして、しゃらくせーって感じ。
わたしは、批評家でもなく批評をするつもりもないので、面白いかどうか、がすべてで、面白いものを見るために、毎年せっせと通っているわけで、面白ければ、それでよし。 という基準で見て、これは結構面白かったんです。 意外と狭い緑の通路の突き当たりに、ひたひたのプールっていう予想外の展開もよかった(どっちも、好きなアイテムというか状況です、自分でも変だと思うけど)。 狭い場所から覗き込むというスタイルは、数年前に訪ねたエトルリアの地下墳墓を髣髴とさせられて、自分の中での経験が結びつく面白さを味わいました。 ひたひたの水っていうのは、たとえば数年前のフランスの田舎の運河とか、ミラノ郊外の運河とか、ベネチアの運河もそうですが、人工的な縁に水がぎりぎりひたひたという状況、自分にとってはひどく魅力的でゾクゾクするんですよね~。 こういう作品は、実際にその場で見ないと、絶対に分からないっていうのも、どうでもいいんだけど、ちょっと得した気分、みたいな。
ロシア館。
こんな色でしたかね?白と渋い青、ロシアっぽくて素敵。ここは、割と面白いことが多いので、期待して、まずは地上階の入り口から入りますが、あれ? 真っ暗で、周囲には、様々な映像。そして、天井の一部がガラス張りで、上階を歩く人が見えます。
何だろう。意味不明。 では、上階の入り口に。入って、びっくり。
巨大ガスマスクで、ちゃんと人が入っています。 映像で、動いているんで、度肝抜かれました。だって、大きいんですよ、これ。でも縮尺をものともせず、人が!と思ってしまうその落差がね、人の視覚って言うのも面白いもんだと思いました。
下の階にあったガラスの床のある部屋は真っ暗で、その先はいきなりこんな部屋。
目がつぶれそうにサイケで派手な色で、早々に退散。ここは、フライヤーも何もなく、意味不明。何だろう、ロシアって分かりやすいときと、分かりにくいときの落差が激しい~。
そして、今回ちょっと期待の日本館へ。
赤い~!鮮やか~!なんか知らんが、超インパクト!
床に古いボートが二艘。それぞれのボートから天井まで、赤い糸です。そして、無数にぶら下がっているのは。
鍵!それも古いタイプの鍵ばかり。そういえば鍵がテーマだったわ。
Chiharu Shiota - The Key in the Hand(掌の鍵)
ベルリン在住の若いアーティストの作品。鍵は、個人の財産を守るもの。家を出るときはいつも手にしているもので、常に身に着けているもので、人の記憶ともつながっているもの、とか何とか。ほぉほぉ。
赤い糸が、印象的。わたしは、手まりが思い浮かび、やっぱりちょっと伝統的日本風味なのかと思ったり。もっと斬新に、日本風からはずれた方が、もっと面白かったのでは、という意味で…。
それにしても、鍵、18万個とか。
どれも相当古び感を出しているし、そもそも形も古いんですが、わざわざ作った?それとも、鍵集めプロジェクトでもやった?
もうひとつ、建物地下の部分で、ビデオを流していました。
幼稚園とかで、子供たちに、記憶を語らせているのです。先を急ぐので、5分ほど見ただけですが、これ、面白かった!生まれたときどんなだったか、語るんだけど、ぐるぐるしてね、ぱっと明るくなってね、みたいな具体的な話を、確信的にしてる、3,4歳の子供たち。そういえば、産道を通って生れ落ちたときの記憶があるという話をしている作家さんがいたような。 もしかして、人って、本当にそのときの記憶が、どこかにしまいこまれているのかしらね。普段、忘れちゃっているけど、何かのきっかけで、ふふふっと記憶がよみがえったりするのかしらん。
このビデオも含めて、テーマに沿っているのかな。でも、未来というより、過去の感じ。
日本館のすぐお隣の韓国館は、ビデオ作品でした。
大型スクリーン二つで、同じ時間軸の同じストーリーを角度を変えて撮影しているというシチュエーション。ぱっと見、なんていうか、これ、ミラノ・サローネのサムソン展示?と見まごうような、そういう雰囲気なんです。 白い女の子が、頭にアンテナ立てて、超未来的な家で、一人引きこもりの未来生活しているらしい様子を延々と撮っているの。
ちょっと前の近未来映画的な映像ばっかりで、やっぱりサムソン系。 アートと全然関係なく、これほしい!と思ったのが、ランニングマシン。ハムスター用の回転するわっか、アレを人間サイズにして、回転枠の内側は森林設定とかで、まるで外で走っているようなんです。で、距離だったり、平均時速だったり、心拍数だったりも表示される。
あ~、やっぱりサムソン。作りそうでしょ、こういうの。 とか何とか考えながら、つい引き込まれて、結構しっかりと見ちゃったです、このビデオ。
この辺りで、入り口でもらったパンフレットを、初めてちゃんと見て、今回のテーマ、All the World's Futureというのを知りました。 そんなことも知らずに見てたけど、実は、この辺りまでは、テーマはともかくとして、面白くて、普段はアルセナーレのインパクトに負ける各国パビリオンが、今回は勝ち?と思っていました。日本も韓国も、わたし的には高得点。スイスもまぁまぁ。
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2015/09/29(火) 05:55:15 |
ヴェネチア・ビエンナーレ
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でんろくねこです。先日はブログにコメントありがとうございます。
サムソンっぽいに笑いました。
Moon Kyungwon & Jeon Joonhoの作品だと思いますが、ソウルのサムソン美術館で同じ作家の作品を見たことがあります。
http://ameblo.jp/denrokuneko/entry-11950157009.html 確かに近未来的な映像でした。
ヴェネツィア・ビエンナーレに行くことを検討していろいろ調べていて結局行かなかったのですが、レポートを楽しみにしています。
2015/10/03(土) 02:00:00 |
URL |
dkd*k00 #79D/WHSg
[ 編集 ]
> でんろくねこさん
お運び、有難うございます。
記事中に記載していませんでしたが、おっしゃるとおりの方の作品で、The ways of folding space and flyingというのがタイトルみたいです。ちなみに、サムソンも、一応スポンサーになっていました。笑。
非常にいい加減なコメントの連続で、見苦しい記事かもしれませんが、ビエンナーレの情報の一端程度ということで、お許しくださいね。
2015/10/03(土) 21:51:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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