夏休み旅その15、ラベンナ13
次に訪ねたのは、現地でチラシをもらって、初めて知った場所です。サンテウフェミアという18世紀の教会の地下に隠された、6世紀の床モザイク、床モザイクの邸宅Domus dei Tappeti di pietraです。
いただいたパンフによれば、オープンしたのは2002年10月30日とありました。直近で訪ねたときには、既に開いていたはずですが、滞在時間が短かったので、知る暇もなく、その前に訪ねたときには、まだ整備中とかそういう状態だったのでしょう。
土地が土地だけに、何かの工事とか、修復とか、そういう機会に、結構ざくざくと見つかってしまうのだと思います。
今では、地面から3メートルも地下という状態ですが、もともとは、ビザンチン時代の貴族のお屋敷の床装飾のようです。
発掘されただけでも相当の広いスペースに渡っていますので、さぞや羽振りのよいご一家の邸宅だったのでしょう。
よき羊飼いの図。
ハイソックス状の編み上げ靴が、とっても愛らしいのです。ビザンチン・モザイクなので、図像的にも表現的にも、ローマとは異なっているということで、そういえば、よき羊飼いって、普通羊を抱え込んだり肩車したりしていますね。この人は、羊飼いって言うより、なんかポーズしちゃっているし。
モザイクのほとんどは、幾何学モチーフや植物モチーフ。
その中に、上の羊飼いさんと、そしてもうひとつ具象の目玉として、こちら。
”輪になって踊っている季節の神々”。
全体が見えにくいので、縦置きのレプリカ。
と思ったら、実は床に置かれているのがレプリカで、縦置きが本物でした。床の方が、色あせた感じなのですが、それは、修復も相当入っている、周囲のモザイクにあわせた色なのかな。
こうやって輪になって踊っている図、絵的にはマチスを想起しつつ、現実的にはカタルーニャのサルダーナを思い出しました。今でも、みんなで踊っていますよね、本当にこういう感じで。これは神様たちだけど、きっと当時、こうやって踊っていたんだろうな、と想像できるし、庶民がしていることを、神様に置き換えちゃうところが、なんかいいなぁ、と。
季節の神々ということは、一人ひとりが四季を表しているんでしょうねぇ。一人かけちゃっているのが残念ですが、なんとも言えずかわいい。両性具有的でもあり、普通の人々風でもあり。
頭が虫みたいになってる人が、やはり冬ですかねぇ。寒さ対策的マントだし?
4ユーロ、高いなぁ、と思いましたが、でも、これだけの発掘して、こういう施設作ったら、お金かかりますから、仕方ないかも。普通のモザイク・ルートにはのっていないので、観光客は大変少ない上に、4ユーロで、引き換えしちゃう人もいました。気持ちは分かります。
さて、最後の訪問地は、福音書家サン・ジョバンニ教会Basilica di San Giovanni Evangelista。四福音書家の一人、ヨハネに捧げられていますが、ラベンナで最も古いビザンチン時代の教会で、ガッラ・プラチディアが創設したと言われているそうです。
とても立派な教会ですが、何というか、縁のない教会だったみたいです。
まず、立地が、宿泊していたホテルから徒歩3分程度という近さで、他への観光のために、何度も脇を通っていました。その上、訪ねるべき教会、として、事前にチェックしていたのにもかかわらず、それがこの教会であると、最初は認識していませんでした。
ローマ風の立派なバジリカで、修復も激しくなされているため、後陣側など、かなり新しい教会風になっていたのも原因とは言え、われながら情けないことです。
一日の終わりに、最後にここを見ていこう、と立ち寄ったのですが、教会に近づくと、スピーカーからミサのお説教が流れています。まさか、と思い覗き込むと、まさにお説教中。
参加者は、3人ほど。すっごい広い本堂ですから、スカスカです。司祭様は立派なご衣装で、立派なミサっぽかったですが、寂しさはありましたねぇ。
15分ほど、門の外で一服して時間をつぶしましたが、スピーカーからのミサは、終わりそうにもありません。あきらめました。
翌日、ラベンナを立ち去るにあたって、なんせホテルから3分ですから、出発前に行ってみたところ、なんと!またもやスピーカーからお説教が!
司祭様には申し訳ありませんが、爆笑してしまいました。我々の運のなさ、というか、もしかしたらミサに参加しろと強要されているような状態に。
信者さんは、またもや3人ほどでしたので、なんか、やるせないって言うか。
この教会も、実は後陣のモザイクは、16世紀に失われてしまっています。
こんなのがあったらしい。でもそんなことはまったく知らないし、ないものを探しに来たわけではなく、壁モザイクはない代わりに、床モザイクがたくさん展示されている、というのに、興味があったのです。それも、結構好きな白黒での様々なモチーフで、写真で見ると、かわいいのがたっくさん。
残念でしたが、今回、これ以外は、見たいものすべてクリアしたと思いますので、もしかすると次回のために、一つくらいは、残すべきということだったのかもしれません。
スピーカーから流れてくる、時々咳き混じりのお説教を聞きながら、中世の名残を探しました。そしたら、やっぱり何かしらはあるんですねぇ。
教会前にある門のリュネッタ。ゴシック時代のもののようですが。
もうちょっとわたし好みの時代のものは、その脇の上部にありました。
普通足元にいるライオンが、ここでは上にいました。ライオンは写実的で怖いんですが、子羊、かわいい…。
よく見ると、門柱にラベンナ風の透かし彫りがありました。
ビザンチンではなく、それ風なんだと思いますけれどもね。
というわけで、最後はちょっと地味なレポートですが、ラベンナ編、終了です。
フィレンツェに移動しつつ、お食事話題などは次回。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/10/22(木) 06:00:12|
- エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
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