いやぁ、よかったですよぉ。トム・ウェイツ!
最初から最後まで、かっこよい。いい加減じいさんなのに、やっぱりスターのオーラってすごいですね。特にこういう、なんか時代も関係なく自分を生きちゃっていて、それでいてしっかり居場所を見つけてしまっているタイプの人のオーラって、当然のことながらすごいものがあります。
さすがイタリアというのか、いつもどこでもこうなのか(いや、日本では絶対ありえない!)、9時開始のはずが9時45分。客席の盛り上がりはすごかったです。つまり遅れるのは戦略?いやでも盛り上がりますもんねぇ。
ジーンズにジレとジャケット、山高帽のトム、登場。もうもう、いきなりあの低音でシャウト…、ゾクゾクです。それも前から7列目ど真ん中で、トムとは20メートルほど隔ててそのまま向き合う状態。もうちょっと近かったら、照れちゃいそうなので、ちょうどよい距離感だったかも。ドラム、ウッド・ベース、サックス、キーボードの編成で、舞台は、ちょっと場末のキャバレー的な、いまどきはやんないよね~って感じで、いかにもトム・ウェイツ。
飛ばしまくりで数曲。そのあとは、ウッド・ベースと彼のピアノ弾き語り。イタリア語もちょっとだけ交えたMCも入り、まさにCDで聴いたことのあるコンサートそのもの。でも声の迫力が全然違います。しびれる、ひたすらしびれます!
その後はまたバンドに戻って、飛ばしまくって終演。アンコール1回。時計を見たらちょっきり予定通りの2時間、さすがプロ、と感心しました。
それにしても、本当にすごい。とにかくすべてがドラマ。すべての曲がドラマで、実際知らない曲でもドラマが見えちゃって、なんかしんみりしてみたり、泣きたくなるんですよね~。なんなんでしょう。すごい人です。
一つおまけ。トム・ウェイツのような雰囲気があることからひかれたイタリアのアーティストがいます。Vinicio Caposellaという人なんですけど、その人が来ていて、わたしの目の前の席に座りました。周囲が、Vinicio!Vinicio!と拍手で迎えなければ、わたしなんて勿論気がつかないけれど、帽子なんてかぶっちゃって、やっぱりフツーの人とは違うオーラのある人でした。オペラグラスを離さずに一生懸命見ていたので、やはりこの人、トム・ウェイツ意識してるよなぁ、と思いました。
帰りも、多くの人が寄ってきたので、わたしはなかなか席から出られず大変でした。多くの人が写真を撮っていましたが、背景になぞの東洋人が写っていることでしょう。
そうそう、写真といえば、コンサート中、写真撮影OKなんですねぇ。すごくたくさんの人が携帯電話や、デジカメで、パシャパシャ撮りまくりで、不快でした。特に隣の人がすごくて、いったいあなたはその写真をどうするのか、たずねてみたいくらいでした。自慢?せっかくのライブなんだから、とにかく舞台を肉眼で見ろよ!といいたいですねぇ。全くもう。そういう人種は日本人に限ると思っていたのに、イタリア人も全く俗物というか。
とにかく!幸せな一夜でした。俗物イタリア人をかき分けて、お土産にポスターを買ってきました。わたしもしっかり俗物です。
Author:Notaromanica
ミラノ在住で、ロマネスクが大好きで、主にイタリア、フランス、スペインを回っています。