グラッパ合宿、2015年秋、ピエモンテ編、その1
またまた寄り道となってしまいますが、秋の合宿レポート開始です。
今回も、前回同様、カステッジョという町の駐車場で、ボローニャからやってきたグラッパ倶楽部の仲間と合流。そこから、彼らの車に同乗して、ピエモンテ方面を目指します。
昨年は、荷物の入れ替えの際に、自分の車のトランクに鍵をさしたまま(わたしの車のトランクは、鍵をささないと開かないようになっています)、すっかり忘れて出発して、1時間近くも走ったところで気付いて、引き返すというハプニングがあったので、今回は、慎重に、何度も指差し確認をした上で、出発しました。
最初に目指す蒸留所は、途上でネット検索して場所を確認。検索で最初に出てきたのは、なんと瓶のフタの製造所。それは違うだろう、と改めて検索すると、一応蒸留所の情報も出てきました。
目指す住所にたどり着くも、看板も何もない地味な倉庫のような建物があるだけ。疑問に思いながら敷地内に乗り入れると、おお。
ガラス張りの建物なので、写真ではよく見えませんが、中には巨大な蒸留器械が見えるんです。
Distilleria San Tommaso S.r.l. - San Salvatore Monferrato (AL)
倉庫のような建物に入ると、事務所があり、その前はタンクがずらり。同時に、コルクやプラスチックのフタを作るラインもありました。検索で最初に出てきたフタ工場も、やっぱりここだったんです!
お忙しそうだったのに、上品な女性が対応してくれて、工場を案内してくれました。
最初に見たガラス張りの建物が、やはり蒸留所。
中に入ると、工場そのもの。
いろいろなタイプの蒸留器が並んでいて、壮観です。
工場萌えの人の気持ち、よくわかります。工業系の器械や建物って、実用第一のはずなのに、その無機質なはずの実用の単純さが美を生むんですよねぇ。
器械に見られる製造元のラベルも、レトロでオサレ~!
ミラノに工場があったんですね。多分、今はもうないんじゃないのかな。
こっちはパリの工場製。
オサレさ的には、ミラノの勝ち。
案内の女性は、オーナーさんだったことがあとでわかりましたが、「わたしはグラッパそのものについては、あまり詳しくないので」と、日本酒で言えば杜氏のおじさんが登場。
最初に蒸留したアルコール度70度くらいという原酒のようなものを、ラインから直接注いで、試飲させてくれました。こっちの反応を楽しみにしているような様子で、嬉しそうに、グラスになみなみと注いでくれちゃって。このとき、午前中11時半。そして、なんといっても原酒ですからね、がぶがぶ飲めるものでも飲むもんでもないんですけどね。
なめただけですが、でも、実際、70度もあるとは思えないさらり感でした。意外とそんなもんです。量は飲めなくても、味は。
非連続法の器械類。
製造過程のお話を聞いて、せめて単語をちゃんと覚えないと、連続法や非連続法、湯煎法など、いろいろな過程についても、ちゃんと整理しないと、と、いつも同様、反省。同じ話を、半年に少なくとも一回は聞くのに、覚えないって、どういうことでしょうねぇ。情けない我が海馬です。
一通り見せていただいた後、倉庫の方に移動します。
その裏側に、葡萄かす処理の現場がありました。
発酵した葡萄かすをジュワーッと絞ったあとの、更なるかすが、器械から吐き出されます。湯気がもうもうとして、一帯は葡萄とアルコールの香りで一杯。お酒に弱い人だと、これだけで酔っちゃうかも。
この時期に訪ねる楽しさは、現場の人には申し訳ないところもあるのですが、まさに作業中なので、こういう香りを味わえること、作業の様子を見ることが出来ること。
こちらは器械投入前のマスカット葡萄かす。
軸もなんもかも一緒くたですが、マスカットは、これで大丈夫なんだそうです。
ちなみに、マスカット(モスカート)のグラッパ、ピエモンテの特産で、特にバリックしたタイプは、万人受けする飲みやすさ、おいしさですよ。
そして、お楽しみの試飲。
実はこちらの蒸留所、ほとんどのグラッパは、液体のまま、他の業者さんに売ってしまうということで、自社で瓶詰めして販売している量は、かなり少ないとのことでした。特にベネト方面に出荷しているということなので、どっかの製造業者の名前で売られているグラッパの中身が、実はこちらのグラッパかも知れないということです。
主力ということで試飲させていただいた三種類は、マルヴァジアMalvasiaのビアンコ、ガヴィGaviのビアンコとリゼルバ。
これは発見でした。マルヴァジアもガヴィも、ワインとして好きな葡萄種ですが、これまで出会ったことがなかったのです。
というのも、この蒸留所、ピエモンテでは東の端っこ、ロンバルディアとも近い位置となり、ガヴィの町にも近いし、おそらくピエモンテでは多く作られることのないマルヴァジアが作られている地域なんだと思います。
これまでの経験から、わたしの味覚は、ワインが好みでない葡萄種の方が、グラッパとしては好き、ということが多かったのですが、マルヴァジアとガヴィに関しては、当てはまりませんでした。
「ワイン苦手グラッパ好み」の方式は、赤に限る?いや、アルネイスは白だしな。
何はともあれ、おいしいというのは嬉しい。それも、お値段、超お得。
で、今回こそ購入を控える、という目標が、一軒目にして崩れ、早くも3本お持ち帰りとなりました。つまり、試飲したものを、そのまま購入してしまいました。トホホ。
この蒸留所、かつては、コンクールで賞なども獲得しているクオリティの高いグラッパを製造しているのですが、製造に情熱を注いでいたオーナーさん、今のオーナーさんの旦那さんですが、その彼が数年前に亡くなってしまって、それでコンクール参加も、今はしていないということでした。おそらくおしどり夫婦というようなカップルだったんだと思うんですけれど、後を継いだ奥さんは、なんだか今でもちょっと辛そうな様子で旦那さんのお話をされていました。
おそらく息子さんではないか、というような方もいらっしゃったので、おそらく後継も問題ないと見受けられました。せっかくのクオリティ、是非絶やさずに、将来はまたコンクールにも参加されればいいなぁ、と思いました。だって、本当においしいんですよ。
さて、ちょっと早いけれど、ランチの時間も近いので、レストラン情報を尋ねたところ、お隣がお勧めということなので、迷いなく、直行。樹木の塀の向こうで、ほとんど地続きのようなホテル・レストランです。
Locanda dell'Arzente
Reg.Guatrasone 100 (Squarzolo), San Salvatore Monferrato (AL)
www.locanda-arzente.it
とても大きな窓が切られていて、遠くの丘に、おそらくサン・サルバトーレ・モンフェッラートの町が見張らせる、素晴らしいロケーション。実に気持ちのよいレストランです。
しばらくすると、先ほどお世話になった蒸留所の方々も、ランチに来ていました。まるで昔からの知り合いのように挨拶してくださって、こういうのって嬉しいですよね。
合宿最初のランチは、大抵充実するのですが、ここのお皿もよかったです。
前菜の盛り合わせ。
大好きな生肉!今ではピエモンテに来たときしか、いただかないです。だって、ここでいただくのが、圧倒的においしいんです。
これもおいしかったです。さっぱりしていて、それでいてお肉の生臭さをすっかりとそぎ落とす絶妙な味付けなんですよね。
右側のアイスクリームみたいなのは、ヤギ系のフレッシュチーズを数種類あわせたクリームです。ヤギのチーズは、熟成してないやつなら大好きなんで、これもおいしかった。胡桃と蜂蜜が載っています。
こういうお皿をいただくと、ピエモンテに来た~!と実感します。
前菜もうひとつ、暖かいのが来ました。
これもチーズで、とろりと溶けます。でもこういうのは重いんで、この半分を、同じお皿に盛ってくれたらよかったなという感じでした。
メインは、パスタで。
トマトソースのタヤリン。手打ちの細麺。おいちかった~!かなりのボリュームでしたが、完食。
ということは、最初は調子よく、量もしっかりいただけます。あ、だからいつも最初のご飯は充実するのかな。段々、胃腸が疲れてきて(グラッパでただれてきて?)、後半は、量がいけなくなります…。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/11/13(金) 07:14:16|
- グラッパ
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いやァ、実に羨ましい生活をしておられる!
が、“特にベネト方面に出荷…”? う~む、ひょっとするとバッサーノ・デル・グラッパなんかで地元産として売られてるヤツがここから出荷された品かも…。
- 2015/11/13(金) 15:09:00 |
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- gio**nni_xx*v #79D/WHSg
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