グラッパ合宿、2015年秋、ピエモンテ編、その2
ランチのあと、超大手の蒸留所を訪ねました。
イタリア中のスーパーマーケットで廉価なグラッパを売っているような、大量生産のメーカーさんです。
大量生産で、きっちりと儲けを出せる分、いいものを作るための投資も出来る可能性があるので、決して見下してはいけない、という考えで、今回のグラッパ倶楽部は、そういうところも、とりあえず行ってみることとしたのです。
マッツェッティ・ダルタヴィッラ蒸留所since 1846
Mazzetti d'Altavilla - Distilleria dal 1846
Viale Unita' d'Italia 2, Altavilla Monferrato (AL)
かつて修道院だった建物を再利用しているというお話でしたが、非常に立派な門構えで、地下に販売所を有する広々とした事務所棟。お庭も広大です。
実に整然とした地下の販売所。
グラッパ以外に、お菓子や塩辛い系の瓶詰めから、バルサミコなどまで販売していました。
樽で熟成したタイプもあり、相当いいお値段がついていました。
ざっと見回ったところ、スーパーで販売しているようなものはなく、全体に、普通の蒸留所のような値付け(20ユーロ超)で、安い感はまったくなし。何か、狐につままれたような気分です。
せっかくなので、試飲をさせていただくことにしました。
ガイドをしてくださった女性は、大変感じよかったし、説明もよかったのですが、残念だったのは、試飲の量…。
上の写真の一番手前に置かれた、プラスチックの小さいカップが試飲用なんですけどね、これがそもそも、既に寂しい。
普通の蒸留所は、ちゃんとガラスの試飲用グラスを出してくれます。勿論、試飲のシステムがないよりはあった方がいいので、団体客なども対応するだろう大手では、使い捨てのプラスチック・カップも仕方ないことと納得はします。
でも、なんといっても量が…。
我々倶楽部は3名なのですが、蒸留所さんにも悪いので、遠慮して、一種類につきグラスひとつでいいです、と申し出ます。蒸留所さんによっては、遠慮することない、と3人分グラスを用意しようとしてくださるところもありますし、さらに辞退すると、せめてなみなみと注いでくれるものです。
それが、こちらでは、この、風邪薬シロップをなめるような小さなカップに、信じられないくらいぽっちりしか注いでくれなくて、なんだかみみっちい気分満載になりました。身体にはいいかもしれないけど、なんか。
それぞれ、それなりにおいしかったのですが、とにかく金額が高い。量産で儲けているなら、手をかけて作っているラインにしても、もう少し勉強できると思うのだけど、そういう文化はまったくないようです。他と値段が変わらないなら、何もここで買うことはないだろう、と思ってしまいました。ドイツから来る人たちなどは、量産ラインの存在など知らないだろうから、そういう見方はしないのでしょうけれども。
結局、わたしは、お買い得値段になっていたマロン・グラッセを購入したのみ。少なくとも買えるものがあって、よかった!
実はあまり時間がなかったのですが、ガイドさんは、熟成の部屋だけはどうしても見ていってほしい、と言うので、そこまで言われるなら、と見せていただくことにしました。
確かに印象的な、素敵なスペースでした。大小さまざまな樽が、これでもか、という圧倒的な量で、並んでいます。
でも、これだけ作ってるなら、もうちょっとお値段考えてもいいんじゃないか、とつい思ってしまいました。
素敵なスペースですが、床が興ざめ。勿論見た目を重視しているわけじゃないでしょうが、なんか熟成スペースには、こんなタイル敷きは似合わないような。というより、温度管理など考えると、石面とかの方がよさそうな気がするんですけれど、どうなんでしょうねぇ。
ちなみにこのアルタヴィッラ・ディ・モンフェッラートという村には、蒸留所が三つほどひしめいている蒸留所銀座的な村です。他二つは、以前訪ねています。
時間がなかったのは、実はこのあと、今回の目玉、と考えていた蒸留所訪問に、アポを取っていたからです。これまで二回ふられている、超有名蒸留所。
ドメニコ・シボーナ蒸留所
Antica Distilleria Domenico Sibona S.p.A.
Via Castellero 5, Piobesi d'Alba (CN)
最初に訪ねたのは日曜日だったので、クローズも納得。
二度目は確か土曜日で、人はいたのですが、門扉は固く閉ざされており、インタフォンで尋ねたところ、事前のアポでのみ見学受付、とにべもない返答だったんです。
なんてタカビなんだ!と若干憤ったのですが、でも、上記マッツェッティ同様、大手も無視してはいけない、という信念の下、今回は、同行者が事前にアポを取ってくれた次第。
ちなみに、週末は閉める蒸留所さんも多いのですが、10月以降、仕込が始まると、どうせ常に誰かがいますから、あけているところが多いのです。それなのにここは土日とも、一般の人には、完全に門扉を閉ざしています。うーん。
ともかく、今回はアポがあります。時間ぴったりに到着して、3回目にして、扉が開きました。
他にも人がいるのかと思っていたら、意外にも我々だけで、ツアー出発です。
まさに作業中の蒸留所に、お邪魔します。
ここでも、葡萄とアルコール臭が漂っています。
赤は、納品前に発酵しているけれど、白は、納品されてから発酵する必要があるということで、こちら、白の発酵中。
さすが大手、すべてが整然と清潔で、狂いのない感じ。
蒸留所内部も、整然。スペースにも余裕がある工場で、淡々と製造されている感じ。何だろう、やっぱり家内制手工業的な蒸留所とは、何か空気が違います。
で、いよいよ試飲。
意外にも、近所の酒屋さん的な、こじんまりした試飲スペースでした(ベルタ的な大規模スペースを想像していたので、え?でした)。
ガイドのお嬢さん、いろいろな説明が通り一片なんだけど、試飲については半端なく、各種満遍なく、それもたっぷりと飲ませてくれました。
ビアンコ三種。
リゼルバ三種。あ~、説明を既に忘れちゃってます。XOは、ブランデー並みに熟成させたものだけにつけられる名称とかそういうのじゃなかったかな~。手前二つは、熟成の時に、ポルト酒の樽、マデイラ酒の樽を使ったので、それぞれの香りがついているというタイプ。この、熟成に他のお酒の樽を使うって言うのは、以前にも聞いたことがありましたが、今回やけに流行っていたようです。香りが独特で、ちょっと面白いんですよ。
さらに熟成の進んだタイプ三種。真剣に注いでいますが、注ぎすぎって言うか、飲ませてくれすぎ。笑。
びっくりしたのは、リゼルバ系がいまひとつ、ぴんと来なかったこと。ビアンコはおいしいし、コスパがいいんです。意外と安い。リゼルバも、高くないんだけど、普通にバリックしたものは、固くて、リゼルバのよさがあまりないって言うか、飲んだときに期待する驚きがないって言うか、そういう感じ。
というわけで、わたしは、昨年他の蒸留所で購入して気に入ったアルネイスのビアンコと、マデイラ酒の樽で熟成させたリゼルバを購入。
そういえば、この、シボーナ独特のボトルの形状の理由を訪ねたのですが、お嬢さんはちゃんとこたえてくれなかったな。いや、どうだったかな?試飲でかなり酔っ払いになっていますので、実はこの辺りから記憶があやふや。笑。
試飲の後に、熟成室に案内してくれました。蒸留作業所や事務棟と離れた独立した倉庫があります。
かなり広いスペースに、多くの樽がびっしりで、これまたびっくりでした。生産量多いよ!だから日本にも輸出しているわけだよ!
わたしが購入したマデイラ樽とか、その他ポルト樽、スコッチ樽などがずらりと並んでいました。
でもなぁ、リゼルバがいまひとつって言うのは、寂しい驚きでした。シボーナ、3年越しで来たけど、リピートするかというと、微妙な感じです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2015/11/14(土) 07:13:42|
- グラッパ
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行ってきましたよ、ボローニャ。レンジ値歩け歩け、 時差ボケで良く眠れない中、夕方にはヨロヨロしながら歩きました。残念な見落としもあったのですが、ブレシア。サン・ゼノ・ゼノや ポンポーザ、ヴィゴロ・マルケーゼなど行けて幸せでした。ラベンナやフェッラーラで書きになっていた🍴をさがす余裕はなく(スケジュールが一杯)その辺ですませ、夕食がついていないので 夜はお部屋でカップ麺(食の町のはずなのに)でつましく、それも食べながら椅子から落っこちそうになるほど疲れて。でも念願のものをいくつもみられて しあわせでした。サン・フランシスコ教会クリプタの金魚(勿論モザイクも)みましたよ! highlightをブログ緑の風に、詳細はじっくり時間をかけて 旅路はるか に書いていくつもりです。とりあえず帰国のご報告まで
- 2015/11/15(日) 08:13:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
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削除用パスワードを忘れてしまいタイプミスを訂正できませんでした。
レンジ値 ではなく 連日です。 失礼しました。
- 2015/11/15(日) 08:21:00 |
- URL |
- yk #79D/WHSg
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ykさん、お帰りなさい!
残念な見落とし、どこでしょうね。でもそれは、またいらっしゃい、ということなので、そういうものがあった方がいいですよ(と、いつも言い聞かせます)。笑。
椅子から落っこちそうになるまで、歩き回ったのですね!状況、よくわかります!
ブログ、およびサイトでのレポート、楽しみにしていますね~!
- 2015/11/15(日) 16:50:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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