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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ここは、アメリカと決定~!

グラッパ合宿、2015年秋、ピエモンテ編、その6

午後一で訪ねたのは、超有名ベルタ。




Distilleria Berta Srl
Via Guasti 34/36, Fraz.Casalotto, Mombaruzzo
www.ditilleriaberta.it

一昨年は話にならず(相手にされず)、だったのだけど、昨年はよい人に当たって、しっかりと試飲をさせてもらえたので、二本ほど購入。有名だけあって、いいものを作っているし、なかなかのコスパ、と思わされたのですが、さて、今年はいかに。

上の写真の部分は、昨年工事中だった新築部分。すっかり完成している様子ですから、中を見るのが楽しみでした。




その、新しいスペースは、巨大な試飲ルーム、というか、イベント・スペースになっていました。
駐車場の反対側は谷底に向いているのですが、そちらにテラスが設けられ、美しい丘と谷の風景を眺められるようになっています。




そういえば、過日、ベルタのフェースブックで、何かのイベントの食事会が、このスペースで盛大に行われている写真がアップされていました。

折りよく、これから、ガイド・ツアーがあると誘われたので、参加することにしました。
グラッパ博物館めいた様々な器具の並ぶ、このスペースからツアー開始です。




グラッパ蒸留所は、どこでも意外とこじんまりとしていることに驚かされます。
このベルタでも、実際の製造現場は、かなりこじんまり。これでも量産しているんだから、グラッパ全体の量産レベルって、やはりかなり小さい。




裏の方に積まれていた、この青いドラム缶状のもの。中には葡萄粕がつまっていて、発酵を促すものなのだそうですが、他の蒸留所では、お目にかかったことがありません。普通は、むき出しで、または発酵を促すために布等で覆われて、屋外に積まれているだけ。
ただのプラスティックの容器みたいですが、意外とすごい新兵器なのかな。




ガイドは、ここでも若いお嬢さんで、立て板に水で説明はうまいのですが、プロのガイドみたいで、なんか違和感もあります。違う方向性の情熱というか。まぁ、この人の仕事は、このガイドをすることなんでしょうけれども。
大好きなベッカリスのキアラさんなどは、自分もグラッパが大好きだから、どうしても人にも勧めたいっていう人ですが、そういう人は本当に少ないですね。こうやって接客をしている方々、ちゃんと飲んでますか?と、時々正したくなります。




外に出ます。びっくり。




敷地が広大で、公園化しています。
まだすべての地域を、開発してはいないようなのですが、かなり壮大な計画を持って、徐々に実現しているようですよ。フランス的な戦略っていうか、呆然でした。

丘をちょっと降りたところにあるのは、ビスケット工場。




ベルタ蒸留所がある地域は、アマレットという独特のビスケット特産地。どの蒸留所でも、お茶請け、いや、グラッパ受けに用意しているのは、このアマレットなんです。
ミラノなどだと、アマレットというお菓子は、いわば蕎麦ぼおろ的なタイプのビスケットで、乾燥してカシャカシャした口当たりのものが主流なのではないかと思います。それ、好きじゃなかったので、わたしの中では、「アマレットは嫌い」でした。

ところが、この地の蒸留所を回る中でいただいたアマレットは、ソフトなタイプで、まったりとしながらしつこさがない上品なお菓子。すっかり好きになってしまいました。

特に、このモンバルッツォの町にあるアマレットは、包み紙もフェミニンですっごくかわいい上においしいので、ベルタで購入して以来、ファンです。が、ミラノでは見たことがありません。
その、お菓子工場らしいです。どうやら、わたしの好きなアマレットは、ベルタが出資している会社のもののようでした。だから、直売所でも、大袋でお安く提供しているんでしょう。

その先は、バラ満開の花壇つきの、見晴らしのよい公園となり、通り過ぎると、自動的にクラシック音楽が鳴り出すという演出つき。




こうなると、フランスというよりは、アメリカのナパ・ヴァレーとか、カリフォルニアの巨大大量生産ワイン農家のようなイメージ(噴水からワインが噴出している、的な)。
ここで録音された音楽を流す演出、必要ですかね?
そういうものが好きなのって、アメリカのお登りさんくらいじゃないのか?
なんだか、馬鹿にされているような気がしてきました。

さらに坂道を下っていくと、畑が。




時期が時期だけにさえない色合いですが、これ、ラベンダー。
南仏を意識してるのか?おいおいって感じのところで、ガイドさん、待ってましたとばかりに、スパ・ホテルを建設するという今後の計画を語ってくれましたよ。ラベンダーもアロマ・テラピーなんかに使おうっていうんですかね。
そりゃ、こういう斜面にラベンダーが咲く季節は、素晴らしくフォト・ジェニックな風景が広がりそうですが、やらせっていうか、なんていうか、こういうどこまでも人口的なオサレ感覚って、イタリアっぽくはないですな。

いよいよ熟成室に到着。またまた唖然としました。




なんなんだ?この色彩は?
照明の色が刻々と変わっていくんですよ。




ガイドさんいわく、「照明はLEDなので、温度等の問題はありません」。いや、そういうこと聞きたいわけじゃなく、なぜ照明がいるのか?
決定~!ここは、アメリカ・マーケティング村です。

さらに奥には、バリック(小樽)用の部屋。




色、氾濫。なぜここまで?




インパクトはありますが、見ていて、こっぱずかしいです、個人的には。温泉宿的なスペクタクル感、とでも言ったらいいのか。洗練されたオサレ感はなく、見た目のインパクトだけだし、時代遅れっていうか、アートにもなってない…。




薄闇に、ただ樽が並んでいるだけの方が、よほど訴えるものがあると思うんですけれどねぇ。

最後に案内された、2015年5月に落成した最新のスペースSOLOPERGIANも、ほぼ同様。




最近亡くなられたジャンさんの思い出のために作られたスペースということでしたが、なんか。

何だろう。
ガイド・ツアーって、普通は楽しいんですが、どっと疲れてしまいました。
このツアーのあとは、勿論楽しい試飲タイムのはずですが、そこのところは、まったく組織化されておらず、対応も最悪。何とか二種類くらい試飲できたのですが、接客も何もなしです。ガイド・ツアーに参加した人たちが、てんでんばらばらに、アレをこれを、というのに対応するのに、カウンターにいるたった二人のスタッフは精一杯で、一人ひとりに説明する状態でもないのはわかりますが、それもまた、訪問者を馬鹿にしているというのか。
ここまで来たんだから、試飲しなくたって何かしら買うんでしょ、どうせ、くらいに思っているのか、または試飲したって、どうせわかりゃしないでしょ、とか馬鹿にしているのか。
いずれにしても、気持ちのよい状況ではありません。

せっかく組織的なツアーをしたなら、そのまま、試飲も組織化して、ビアンコとリゼルバと、誰にも同じように2,3種をいっせいに飲ませれば済む話と思うんですけれどもね。

そうこうするうちに、別途団体がやってきて、その誰もが、信じられない勢いでボトルを何本も抱えてレジに並んでいます。
わたしは、せめてアマレットの大袋を購入したかったのですが、長蛇の列に並ぶ元気はなく、勿論グラッパ購入する気持ちもなく、我々グラッパ倶楽部、すごすごと退場。

ここのグラッパ、おいしいし、値段も悪くないですよ。でも、団体で訪ねるための対応しかとっていない、ということがわかりました。ベルタは、基本、多くの酒屋さんで購入することが出来ますから、もう行くことはないかな~。

このまま、宿に帰る気持ちにもなれず、ちょっと寄り道しました。




ブドウ畑の丘々の遠くに見える町、バルバレスコ。




村の中心にある元教会使用のエノテカ。毎度のことながら、雰囲気があります。




ここでも、グラッパを試飲。知らない製造者さんのものでした。




毎年来ていても、まだまだ知らない製造者さんがいると思うと、嬉しいものです。毎回必ず面白い出会いがあるしね。

市のスペースで、大好きなエマヌエレ・ルッツァーティさんの、小さな作品展が開かれていました。




初めて、イタリアに長期滞在で来て以来、好きな画家さん。あの頃、一枚でも買っておけば、と毎回何はなし、悔しい気持ちになります。当時も、既に有名な方でしたが、でも版画が多いし、なくなられた今では考えられないくらいの値段で、入手できたんだろうと思うんですよね。先見の明がないよ、オレ。

でもなんか、ルッツァーティさんの絵で、ベルタで疲れた気持ちが洗われたよ。

ということで、長くなりましたが、もう一回続きます。

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  1. 2015/11/20(金) 07:24:07|
  2. グラッパ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

なるほどぉ!
と思いながら楽しく読ませていただきました。

下のポスターの絵とてもすきだわ
有名な方なのですか。
  1. 2015/11/20(金) 09:27:00 |
  2. URL |
  3. ガビィ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ガヴィさん
ルッツァーティさんは、聖書のエピソードの絵もたくさん描かれていて、とっても素敵なんですよ。絵本多数あるんで、日本にも入っているのではないかと。
このポスターも、ご生誕の絵ですね。とっても素敵なので、本物、みていただきたいわ~!
  1. 2015/11/22(日) 00:15:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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