カンタブリア・ロマネスク、その19
信じられないくらい、マイナーで小さな教会が続きます。 カンポ・デ・エブロCampo de Ebroにある、教区教会サン・ミジャンIglesia Parroquial de San Millan。
幹線沿いに住宅があり、斜面になった岩の上に建っている小さな教会です。上の写真で、教会の後ろ側に見える住宅が道沿いという状態なので、道から本当にわずか入っただけの立ち位置。
小さな鐘楼にアクセスする階段構造は、ちょっと前の記事に載せた、やはり同じエブロ川地域の教会(アレニリャスArenillas)とそっくりですね。
ちなみに、これだけの村です。
それなのに、教会としては、それなりに立派。そして、建っているのは、こんなすごい岩の上。
土地全般が岩盤、ということなんでしょうかね。なんか、すごいですよ。
こんな風になっています。岩の合間の土地に家を建ててるって感じなんですが、何もそんなところに、ってつい思っちゃいますねぇ。
昨日の記事同様に、とにかく小さいところが続きます。地図で見てもらえるとわかると思うのですが、実に狭い地域にひしめいていますから、ちょっと走っては、駐車して降りて見学して、また運転して、という繰り返し。運転と駐車と再発進まで合わせて15分くらいで同じ行動を繰り返していると、なんだかどんどん訳がわからなくなってくる感じ。
次もそんな感じで、モンテシッリョMontecilloサン・マルコス教会Iglesia de San Marcos。
同じような立ち位置にある教会で、村を登っていったどん詰まり。 ここでは、ちょっとだけ、装飾に見るべきものがあります。
とてもシンプルな扉。アーチがなんだかいい感じ。 その上には、教会の大きさに比すと、若干大きめな感じもする軒送りの彫り物が並んでいます。 一番端っこにあったこいつは、おっぱいでしょうか。
手足など、身体の一部の彫り物は、結構あるモチーフですが、おっぱいひとつはないか? シンプルなお顔。
顔の下にあるものが、翼のように見えて、セラフィム?と思わないでもないのですが、でも、顔は頭巾を被った聖職者にも、巡礼にも見えます。 こちらは、どちらも動物に見えます。
それにしても稚拙というか、土台が結構大きいのに、モチーフはちんまりで、その辺もちょっとプロっぽくない作品ですねぇ。
でも、なんか、たたずまいのかわいらしい教会です。 そういえば、ここは、鐘楼アクセスの外外段はありませんが、中に、螺旋階段があるようでした。
勿論、登れないようになっていましたが、こういうのが垣間見えると、わくわくしますね。
村はずれに、こんなかわいらしい、風見鶏ならぬ風見牛のついた道標がありました。これに従って、Sobrepenaという村を目指してもよかったのですが、そろそろ、宿泊場所の方に移動しようと考え、ナビゲーターをセットして走り出しました。 このモンテシッリョで、長いエブロ川沿いのロマネスクめぐり終了して、レイノーザ方面への幹線道路に戻る感じです。
しかし、これがえらいことになりました。多分ナビがおかしくなったんです。かなりの山道を登ったり下ったり、なぜ、こんな道を?と途中から泣きそうになりました。 その上、トイレにも行きたくなるし、自分がどこに向かっているのかもわからない始末です。 やっと、ナビが「到着しました」と告げた場所は、丘というよりは山間の、小さな村でした。 とりあえず目に付いたバールに飛び込み、トイレをお借りして、まずはほっとしましたが、ここは、どこ? お店の人は、男性二人で、仲良くご飯を食べていました。もうすぐ17時という夕方なんですが、スペインですから、いわゆるおやつの時間になるんでしょうか。二人とも大変親切で、もう水もカフェも何もほしくないので、注文もなくトイレを借りたわたしを疎んじることなく、親切に道を教えてくれました。 50分ほども、訳わからず山道を走ってきて、人に出会っただけで安堵する状況で、親切は身に沁みます。
さて、目指したはずの教会は、まさにそのバールのお隣に建つ、どうやらこれ。
オルミゲラHormigueraサン・フリアン教会Iglesia de San Julian。 絶対、これじゃないだろう、と思ったんですが、現地で求めていたカンタブリア・ロマネスクの本を見ると、確かにこれ。 正面の門が、後に閉ざされてしまったのですが、「今でも建設当時のアーキボルトの跡が見られる」。 ええ~!それだけのために、オレ、こんなに走ってきたのか~!
事前の調査で記したメモには「ポルタイユ、柱頭」と書き込んでいたんだけど、それがこういうレベルだったとは~! よくあることですが、それにしてもここの衝撃はすごかったわ。疲れてたし。 でも、同時に、これでは終われない!というやる気が湧いてきました。 この日、朝から駆けずり回って、ここで14箇所目。かなり疲れているところに活が入った、というところ。修行モード、われながら恐ろしい~!
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2015/12/21(月) 02:52:50 |
カンタブリア・ロマネスク
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私は大きな煌びやかな教会より、萎びた村の小さい教会が愛おしい。
人が住む所に教会在り!と言う事なのですね?
日本の鎮守の森の神様と同じなのでしょうね。
日本は鎮守の森も少くなりました。
2015/12/21(月) 03:10:00 |
URL |
古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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山下さん
わたしも、こういうひっそりと時間や歴史を閉じ込めたような小さな教会が好みです。
確かにこういう教会は、鎮守の森やお社やお地蔵さんのような、そういう土地に生きる感じが強くて、権威の象徴のような、町の教会などとは、ありようが違うように思います。
そして、土地の人々に守られて、愛されている様子が、またいいんですよね。
カンタブリアの、特にこのあたりでは、そういう愛しい教会にたくさん出会えました。
2015/12/21(月) 22:34:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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