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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

パステル・カラーのヘタウマ系。「知られざる」レベルもすごい。

カンタブリア・ロマネスク、その20

一日の終わりに近くなったところで、またやる気は出たものの、このあとも迷いまくりです。ロマネスクの教会は、町中にある場合はともかく、郊外にあるケースは、住所もないことが多いので、時として、探し当てるのは大変難しかったりします。
そういう場合は、結局口語的な道順の説明がベストだし、町に、表示が出ているだけでもずいぶん助かります。しかし、表示って、助かった!と喜んで従っていくと、いきなり途中でなくなっちゃったりして、これまた運転勘の鈍いわたしには、かえって迷惑なことも結構あります。どうせ表示を出してくれるなら、けちけちせずに、もう少しだけ、数を増やしてくれるとありがたいんですけどねぇ。




このときは、そういう感じで、どうやっても目的地がわからない。なだらかな丘が続くので、見通しも聞かないし、人も歩いていない田舎だし。
既に名前もわからない(ナビをつけていて、紙の地図も手元にあるのに、既に自分の居場所がわからなくなっていました)村で、やっと道を歩いている人に出会い、「古い教会なら先にあるよ」と言われて、なんとなく道を辿ってみたんですけどね、そしたら、確かにちょっと古そうな教会が、丘の上に建っていました。




確かに、新しい教会ではなさそうだけど、でも若干想像と違う感じもするんです。
車を降りて、周囲を見ていると、車で乗り付けてきたオヤジがいました。なんと、先ほど道を尋ねたオヤジでした。
「用事があるから、今鍵を開けるよ。よかったら中を見て行きなさいよ。」と親切に言ってくださるので、同行しました。

目指していたのは、オヨスHoyosのサンタ・マリア教会Iglesia de Santa Mariaなんですが、これは、サンタ・マリア・ラ・レアル教会Iglesia de Santa Maria la Realで、今更ネットで調べたところ、ラス・エネストロサス・デ・ラス・キンタニージャスLas Henestrosas de las Quintanillasというとんでもなく長い名前の村の外れだったらしいことが判明。
これね、25万分の1の地図では、でていない規模の村でした。それじゃわかるわけないですね。ほとんど、カンタブリアとパレンシアの州境です。
目指しても、なかなかいける場所じゃないかもね。

近づいたら、なかなか立派にロマネスクじゃないですか。




本堂の割には、重厚な数層重ねのアーキボルトの迫力はなかなかのものです。シンプルな装飾だけど、重厚感があるし、石の色合いと装飾の感じが、とてもマッチしていて、好みです。背の低さも、なんかいい感じ。

後陣の方も、ちょっと余計な付け足しに囲まれちゃってますが、ちゃんと装飾も残っていて、素敵でした。




軒送りや、窓の側柱の柱頭彫刻は、かなり磨耗していました。軒送りの上の帯は、チェッカー市松じゃなくて、蜂の巣状。




彫り物のテイスト的には、若干時代が下るかなという印象です。




さて、めったに入れそうにもない本堂に入る幸運を得たのは、ちょっと嬉しく、わくわくしながら中に入ります。
しかし!




スペインに多くみられる黄金の祭壇。勿論ロマネスクのずっと後のものですね。これが、本来の装飾を隠しちゃうことも覆いのですが、たいていの場合、地元の誇りだったりするわけで、ちょっと複雑な気持ちになります。

壁の多くを覆うフレスコは、やはり時代の下ったもので、かなり修復できれいになっていました。わたしには、同じく興味の薄いものですが、修復したことについては、感心しましたし、やはり地元のほこりなのだろうなぁ、と思います。だって、とても小さな村なんですから。




わたしにとって嬉しかったのは、いくつかの柱頭です。再建や行き過ぎた修復感も若干あったけど、でも、想定外の教会で出会う想定外の柱頭ですからね~!




それで、大好きなサムソンなんかあったりすると、そりゃ嬉しいです。
べろーんとした舌が、情けなさを醸し出すライオン。いいなぁ。
サムソンは、ちょっとオヤジ入ってますが、たなびくふさふさの髪の毛が、ステキ!

こっちはまた、モダンな感じの彫り物。




ヨーダ的な顔もあり。




全体にもうゴシックがかなり入っているのですが、でも長い時代が閉じ込められている教会ですね。よかったです。

オヤジにお礼を言って、またこのような田舎道に戻るわたし。次はどこにたどり着けるかな。




ちょっとドキドキしながら走り出したのですが、半時間ほどで、次の場所に到着できました。結構飛ばしている幹線沿いの奥まったところにある小さな小さな教会というか、礼拝所ですが、道に看板が出ていたので、助かりました。

オレアOleaサン・ミゲル隠遁所Ermitado de San Miguel。




Ermitadaというので、もともとは孤高の中で隠遁生活を送った聖職者が、一人で祈りながら暮らした場所が、礼拝所になったというようなものなんだと思います。いかにもそういう感じ。
農家が2軒か3軒固まっている真ん中にぽつんとあります。

農家のわき道を、ちょいとごめんなさいよ~、と入り込む感じ。




話し声がしたので、声をかけさしてもらい、鍵をお願いしたら、面倒くさそうだったけれども、開けてくださいました。
辛い思いが、次々報われる感じですよねぇ。この礼拝所、実によかったのです。外観見るだけでも、何かほっとするかわいらしい場所ですが、中に入るか入れないかで、記憶もずいぶんと変わった気がします。

だって!
これ!




信じられない~!かわいすぎ~!

そして、これ!




ありえない、かわいさぁ!興奮でしたわ~!
モチーフも信じられないくらいかわいい上に、なんでしょうね、このパステルの彩色は?こんなの見たことないし!
馬に乗っている人たちのフィギュアは、トスカーナの田舎の柱頭をちょっと髣髴とさせますが、それにしても、ヤギっぽい行列の上に、アヒルっぽい帯。これはないですよ~。ズギューン、やられた!っていうか。




小さな後陣を仕切るアーチを支える柱頭です。
装飾はこのくらいで、あとは何もないし、西側は、ほとんど後代に変えられちゃっているし、多分、納屋とか家畜小屋に使われていた時代が絶対にあっただろうと思われるんですけどね。それにしても、この二つの柱頭、よく残ったもんです。

いや~、辛い時間があったけど、やる気が出てよかった、と本当に嬉しい教会が二つ続きました。人間、あきらめちゃいけないってことですね。
って、別にまとめることもないんだけどね。

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  1. 2015/12/22(火) 06:31:41|
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