カンタブリア・ロマネスク、その22
たまには、地図を張って見ます。 レイノサReinosaの町は、縮尺があまり細かくない地図でも見られると思うので、指標にはなるかな。
誰でも、グーグルから取ってきて、印付きのわかりやすい地図を簡単にアップできるようですが、どうもそういう技術に疎くて、こういうところ、いつまでたってもアナログ。 実際、旅のお供には、紙の地図は欠かせず、最近は毎回旅の計画段階で、ミシュランの20万または25万分の1の地方ごとになっている地図を、わざわざ購入しています。紙の地図のよいところは、全体がつかめるということ。ざっとした距離感も把握しやすいし、ルートも考えやすいんですよね。デジタルには、決してかなわない優れた点があると思います。 デジタルは、何らかの事情でGPSが機能しないと終わってしまいますが、紙にはそういうリスクがない点も、いざというとき本当に役立つものです。
というわけで、前回紹介したビリャカンティドVillacantidの次に向かったのは、ボルミールBolmirのシプリアーノ教会Iglesia de San Ciprianoです。
田舎の町中の、いたって普通の住宅街にあり、撮影泣かせなのが、周囲をぐるりと取り巻く、結構背の高い塀。なかなかにかわいらしい外観なのに、どんなにがんばっても、外観全体を捉えることは、これ以上出来ませんでした。
この、塀が閉ざされている危険も一瞬感じましたが、とりあえず、塀の中に入ることは出来ました。
このあたりによくあるスタイルの教会で、鐘楼も簡易型。全体の雰囲気、とってもよいのです。事前調査では、中もよいとなっていましたが、残念ながら、ここは基本的にしまっている教会のようでした。 でも、軒送りの面白そうな様子は既に目にしていますから、ここまでアクセスできれば、とりあえず、ラッキーな気持ちになります。 だって、これ!
鈴なりというか、たわわというか、もうそういう表現しか出てこないです。びっしりと実ってますわ~! この、建物のサイズに比して、彫刻がでかい、というのが、たまりません。
既におなじみ化しているモチーフやフィギュアが続々。 唐突に、変なフィギュアがぺたんと貼られていたり。
正面扉の右上に開けられた小さな窓の装飾も、なんとも愛らしいです。
後陣。
扉上部に比べて、感覚に余裕があるので、すっきり。 見ての通り、この教会のある一帯は、きれいに整備されて、公園のようになっています。憩いの場。だから、塀で閉ざすということはなかったのですね。よかったよ~。 こちらの方は、ちょっとセルバトス系、つまり、セクシャルなモチーフがあります。
反対側の壁上部にも、ちゃんと軒送り台が全部ついていますが、彫刻はほとんどなくなっています。もしかすると、こちらの側は、手抜きで、全部はなかったのかもしれませんが。 ぐるりと回って、また正面に戻り、上の方の一連の彫刻。
ケロヨンがいたり、このクルリンは意味不明だし。見ても見ても面白いですよねぇ。堪能だ~!
そして、先の地図で、ここからちょっと南下したレトリリョRetrilloへ、移動しました。車でほんの5分ほどの距離です。
サンタ・マリア教会Iglesia de Santa Maria。 ここは、ちゃんとオープン時間も明記され、係員がいて入場料も取っていますが、この看板の、どれだけ胡散臭いことか。下の方に、手書き(それも汚い)で、「月曜はクローズ、一人1ユーロ」とあります。 確かに若い娘がいて、入場料を聴取しているのですが、本当にそういう人なの?自分の財布に入れてないよね?と、考えちゃうくらい、友達とのおしゃべりに余念がなく、悪いけど、迷惑でした。 でも、教会は面白いです。入れるっていうのは、やはり嬉しいですしね。
午前中なので、複数ある開口部から日が差して、美しさが際立つ時間に訪ねたのは大正解です。アーチが二重になっていて、手前側には、壁に埋め込みアーチ。
柱頭も、アーチも、アーチの上も、繊細な感じの彫り装飾で、優美です。 左側の方は、苔むしていました。苔は美しいですが、ほうっておいていいものなのか、ちょっと気になりました。 その苔部分にある柱頭。
かわいい…!ライオンが胸を押さえていますが、これはどういう意味だったですかね。
ペアの鳥が、背中向きってのも、珍しいような。苔ですよね?装飾化してしまっているのかしら?
向かいにある柱頭。
面白い~!邪悪にも見えるし、理知的にも見える顔をした獣が、抱き合っているんですよねぇ。角っこに顔を置いて、顔共通の身体二つっていうモチーフは、普通、対照に同じように彫りますよね。アシンメトリーに抱き合っているって、珍しい気がします、これも。
背中向きの鳥の向かいには、ライオンのペアが、やはり背中向きって言うか、お尻合わせって言うか、面白い構図です。
いきなり彫りも細かくて、時代が下る感じの、柱頭。十字軍風。
いきなり後陣装飾に引き寄せられてしまって、ディテールにはまってしまいましたが、この教会、全体構造は、かなり変えられてしまっていて、だから、新しめの柱頭などもあるのだと思います。 後陣側から、本来の入り口を見た様子。
左側にあるのが、今の入り口ですが、本来は、木製のバルコニーの下に見える明かりのある場所が、入り口でした。 その部分、今は閉ざされたナルテックスみたいなスペースになっています。 その、本来の入り口側から、教会本堂を見た様子。
入ってすぐのところに、素朴な洗礼槽が見えます。上部の視界を閉ざしているのは、間違いなく後代に付け足された合唱席かマトロネオ。
写真多すぎなので、続きにします。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2015/12/24(木) 07:48:30 |
カンタブリア・ロマネスク
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矢張り私も地図は地図帳愛用派です。
英国内移動には「A to Z」と言う地図の全国版を愛用していました。
その地図帳は現在では素敵な記念品の思い出と為って、現在も我が家に有り古代遺跡の場所確認などに役に立っていますよ!
2015/12/24(木) 01:01:00 |
URL |
古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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Buon Natale!
corsaさん、グーグルマップはプリントスクリーンでコピー&ペースト出来るので覚えてしまえば簡単です。
ただこういった画像は複製物に該当するので、フリーといわれても、私としては自分の日記等への掲載は、つい控えています。
現在は、グーグル派ですね。最大の理由は老眼で、紙ベースの物は見えないから。
特に地図はポイントが小さいので、旅行中は本当に難儀です。
これは、経験談ですが、ただ若いうちに地図を読む癖がついてますので、グーグル任せの若い人たちとは違って、見方はかなり上達していると感じました。
今、モリーゼの日記をアップ中ですので、よろしかったらどうぞ。
2015/12/25(金) 23:06:00 |
URL |
クリス #79D/WHSg
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山下さん
A to Zというのは、なんだか懐かしいですねぇ。
紙の地図はやっぱりいいですよね。
イタリアも、ツーリング・クラブという会社が、あるのですが、やはり品揃えではミシュランにはかないません。あらためてミシュランのすごさを感じているのですが、でも、現実には、紙の地図をわざわざ購入する人は、ほんとに少ないんだろうな、と想像しています。
2015/12/25(金) 23:30:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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クリスさん、そうだった、写真ページをお持ちでしたよね。遊びに行きます~!
モリーゼに行かれていたんですか。渋いところを選ばれましたね、さすがです!
2015/12/25(金) 23:31:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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