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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ライオンに守られた(脅される?)洗礼盤、再び。サントーニャ。

カンタブリア・ロマネスク、その27

バレージョBareyoのあと、エスカランテEscalanteという村にあるはずの礼拝所のような教会を探したのですが、どうにも見つからなかったのであきらめ、向かったのは、サントーニャSantona。

だめなときは本当にだめ。特に町はずれにあるような礼拝所などは、道路標識が頼りになることが多いので、その土地でいかに大切にされているか、ということが、見つかるか見つけられないかの差になったりしますねぇ。
あとは、自分のやる気にもかかっていますけれど。このときは、もう旅の終盤(最終日の前日)だったため、疲れもピークで、執着に弱気が見えていました。あきらめも早いわけです。

さて、サントーニャですが、これは結構な町のはずれにある、結構立派な町の教会でした。サンタ・マリア・デル・プエルト教会Iglesia de Santa Maria de Puerto、または、ノストラ・セニョーラ・デル・プエルト教会Iglesia Nuestra Senora de la Virgen de Puerto。




見るからにゴシックが主という感じですが、一個見逃して、はるばる来た感もあり、期待したいところです。
周囲は柵で囲まれた広い敷地となっています。門が開いていただけでも、満足すべきなのかも。
どうやら、かつては、9世紀初期創建の修道院があったようです。とは言え、今ある教会は、13世紀に建てられたもの。やはりゴシック入っているわけです。

いやん、ポルタイユも、ゴシック臭ぷんぷん!




アーチの先っぽがちょっととがっているだけで、なんかだめーと思ってしまう、この感覚、何とかならないですかね。千年以前の雄大な話をしている中で、100年くらいの違いがなんだろうと思うんですが、この違いが無限に大きいというのは不思議なものです。

でも、ところどころ、名残がありますね。




実はたどり着いたとき、大清掃中で、もうしばらくで終わるから、と中には入れてくれなかったのです。というわけで、近所のバールでカフェを飲んだり、清掃中の人の犬と遊んだりして時間をつぶす羽目になりました。

一応周囲は見て回ったのですが、ほんの一部しか、ロマネスク見所はありませんで、時間をもてあましてしまいました。
その一部は、たとえば南側にある扉周辺の装飾とか。




シンプルながら、古い彫り物があります。残念ながら、磨耗が激しい。




でも、扉も半円アーチだし、こちらはロマネスクが残っています。




さらに地味な名残としては、軒下に並んだ、お干菓子系超浅彫り。




超シンプルだけど、シンボリックな単純なモチーフが横並び。深読みすれば、これなど性器にも見えたりするんですが、どうでっしゃろ?




さすがに待ちくたびれたので、催促すると、まだ床がぬれているから、滑らないように気をつけてくれれば、ということで、入場できました。




こんな感じなので、一瞬腰が引けますが、いやいや、せっかく30分近くも待ったのだから、と気を取り直して、ディテールの観察に入ります。

ゴシック・テイストが若干入りますが、なかなか面白い柱頭がたくさんあります。




つるつるした質感そのままの彫り物と、やけに細かい手の込んだタイプと、色々。テーマも様々です。




そして、バレージョに続いてここでも、面白い洗礼盤がありました。




すごい~、立派!正面。




ここも、足のところは、ライオンが二頭です。バレージョのライオンよりもお茶目な感じ。
水盤周りは、ただ装飾的なものですね。勿論、このあみあみ組紐系が永遠などを表しているシンボリックな装飾だとは思いますが。

後ろ側。




尻尾を巻いたライオンのお知りに挟まれて、人物フィギュア。なんでしょうねぇ。
念のため、もう一度ライオンのアップ。




ちょっと爬虫類っぽい。石が黒いのもあいまって、ぬめぬめ系っていうか。
それにしても、ライオンのいる洗礼盤。やはり試されるってことですかねぇ。

ということで、この教会は、入れないと、ほとんど訪ねる意味がないかもです。特に、鉄柵が閉まってしまうと、教会にすら近寄ることも出来ないので、こういうロケーションって、要注意。
ということで、重要なアクセス情報も貼っておきますね~。




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  1. 2016/02/11(木) 06:37:28|
  2. カンタブリア・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

バレージョでもそう感じたのですが、 洗礼盤の上下、 別者の上にのっけたのでは? という感じがするのですが、どうでしょうか?また バレージョの顔顔顔、 サン・パンタレオン・ロサ(拙HP カステーリャ・イ・レオン6日目)を彷彿とさせます。
  1. 2016/02/11(木) 03:24:00 |
  2. URL |
  3. nytmoaaa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

知識が無いので、野外の所為か材質の所為かは判断の仕様がありませんが・・・・

軒下に並んだ、お干菓子系超浅彫りと言われる物は、経年劣化が激しく、相当な時間的経過を経た古い物と思われますが、如何な物でしょうか?
  1. 2016/02/11(木) 07:02:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

YKさん
バレージョでもらった解説パンフに、もう一度目を通してみたのですが、ライオンについては、やはり教会扉口にあるライオンと同じような意味を持つことが記されているだけで、洗礼盤と別々だったような記述はないと思います。スペイン語なので、見逃しはないとは言えまえんが。
そう感じられる唐突な感じって、どちらの洗礼盤についても、わかるような気もしますが、実際に見ると、そんなにばらばら感はないです。

ところで、貴サイト、急ぎ足でお邪魔しました。タン・パンタレオンってロケーションのすごさばかり気になっていましたが、装飾も、面白いんですね!ココの顔シリーズと共通するもの、確かにあります!すっごく行きたくなりました。
この夏の候補のひとつです。有難うございます。
  1. 2016/02/11(木) 22:47:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
ご明察ですよ、この干菓子は、相当古いものだと思います。劣化は進んでいますが、でも、新品のときも、さほど繊細な彫りではないので、状況はあまり今と変わらないかも、笑、です。
こういうおおらかな装飾、大好きなんですよ。
  1. 2016/02/11(木) 22:48:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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