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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

お買い物前にちょいと展覧会。ハンガー・ビコッカ。

車で買い物に出た際、ちょいと近所の美術館に寄り道する気になりました。




以前にも何度か記事にしたことのあるハンガー・ビコッカHangar Bicocca、ピレリ財団の持つ、現代美術向けの美術館。我が家からだと、車で10分弱という近さで、その上入場料無料ですから、折に触れて、立ち寄ります。
前回、11月のときは、常設のキーファーを記事にしただけで、結局展覧会の記事は書けないまま、展覧会は終了してしまって、残念でした。あれは本当に面白かったんですけれど。

最近、展覧会といえば、年に一度ベネチア詣でをするくらいに成り下がってしまった情けないわたくしにとって、この、近所の美術館というのは、とてもありがたいものです。お買い物のついでに最新現代美術のインスタレーションに、気軽に触れることが出来るって、なんかいいですよ。しつこいですが、ただですから、本当に気軽なんです。

さて、今回は、コソボ出身アーティストの、イタリア初の展覧会をやっていました。




Space Shuttle in the Gardenというタイトルで、アーティストは、Petrit Halilajという方。1986年コソボ生まれということなので、若手です。コソボ、イタリア、ドイツを活動の拠点としているということです。

この、木製の宇宙船状の物体、土の上に建てられていますけれど、反対側から見ると、実は鳥小屋。後ろ側に並んでいるレンガ積みの建物が、美術館本体になりますが、このスペースシャトルの後ろにある扉は開いていて、鶏がうろうろしています。

They are Lucky to be Bourgeois Hensというのが、鶏たちも含んだ作品名。
60年代の終わりに、イタリアを中心に流行ったアルテ・ポーヴェラArte poveraにインスピレーションを受けたオブジェクト。
オリジナルのシャトルは、内部がクライン・ブルーに塗られていて、実際に鶏が入ることも出来るようになっていたらしいです。こちらは、そういう仕掛けはなし。ブルジョワな鶏でよかったね~、というタイトルですが、「誰でもアクセスできるアート」みたいなコンセプトがあったみたいです。一木一草、みな平等ですっていう、仏教的な?

建物の中には、本当に立派な鶏が何羽かうろうろしていて、時々雄鶏が時を告げるのが、面白かったです。




過去に、ベルリンのビエンナーレに出展されたときは、実際に会場に鶏が放し飼いになっていたとありました。今回は、金網の中。係員さんが、今朝は臭かったから、扉をいくつか開けたのよ、と言ってました。生き物を作品の中に置くことが結構多い作家さんらしいので、美術館も大変です。

会場のほとんどのスペースを占めるのは、家の骨組み。




コソボ紛争時に、家族で住んでいた家が破壊されてしまったことに、インスパイアされているインスタレーション。

The Place I'm looking for, my dear, are utopian places, they are boring and I don't know how to make them real, 2010-2015

先述したように、ベルリン・ビエンナーレの出展地は、地面から二階建ての家のようになっていて、そこに鶏が放し飼いにされていたということですが、ハンガーでは、宙に浮いた構造になっています。鶏を放し飼いにすることに、再生や再建という意図をこめたらしいですが、今回の構造では、下部にレンガを使うことで、建設を牛耳るマフィアの世界を表現するなど、当時との違いを打ち出しています。うう。よくわからない。

現代美術の解説って、実はあまり興味ありません。勝手に感じたい方です。

これまた、変なもの。




薪によさそうな木がぎっしりしたもの、反対側に回ると、これ。




農作業で使うようなものとか、生活品的なものが、ケースに収められています。
26 Objects

作家さんのおじいさんが使っていたもののレプリカだって。土や木や使い古しの金属など、このアーティストが好んで使うマテリアルを象徴した作品とか何とか。
この作品を作ったとき、彼は既にコソボの家族と離れて、ベルリンに暮らしていて、その距離をあえて形にしたと。ふーん。なんかちょっとわかるような。手紙っぽいの。パタンって閉じそうだし、このケース。

これは、なんか好きだった。




ぱっと見、なんだかわからないんだけど、全体を見ると、イヤリング!巨大!100倍サイズだそうです。
こっちはネックレス。




ちょっとわかりにくいけど。
奥にあるのは、腕輪。

どれも、メタルに砂が載ってる。




砂や炭。




もともと住んでいた家がだめになるとき、お母さんが、宝石やアクセサリー、子供の絵なんかを土に埋めたんだそうだ。結局失われちゃったみたいなんだけど。そのイメージを形にしたってことらしい。自分の中では、100倍にも膨らんじゃったイメージ。

コソボって、ひどい紛争があったところ。それも最近のことだから、86年生まれの彼は、もろに影響受けちゃってるって言うか、戦争状態の中で育っているのかな。それってすごいことだと思います。

ビデオ作品がありました。




Who does the earth belong to while painting the wind?

かつての家のあった場所を、虫くらいの視線でずっとカメラが走る。映像も、ちょっとぼやけてて、虫が花を探してとまろうとしてる的な、そういう感じになってます。間に、自身の子供のときの映像があります。確かにここに住んでたけど、今は草と花と虫と蝶しかいないよねって。
これは、なんか、うんうんって感じだった。

大きなアクセサリー、巨人だな、何倍くらいの背の人になるかな、なんて漠然と考えたりしてたけど、なんか、そういう縮尺にした気持ちがわかるっていうか。

全然よくわからないんだけど、やっぱり現代美術って、感じる。意図や意味を考えるっていうより、感じるから考えるって感じかな。

この美術館は、無料にもかかわらず、必ず詳細解説冊子を用意してくれていますので、あとからざっと読んで、なるほどって思うことも出来て、それもまた楽しい。
まったく自分とは宴もゆかりもない事柄を、純粋に考えるって、いいですよね。日常ではなかなか出来ないことです。
また行こうっと。

Petrit Halilaj
Space Shuttle in the Garden
Pirelli Hangar Bicocca - Via Chiese 2, Milano
until 13/03/2016

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  1. 2016/02/21(日) 03:15:59|
  2. アートの旅
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

No title

チェチェン紛争を題材にした「あの日の声を探して」や女性戦場カメラマンの苦悩を描いた「おやすみなさいを言いたくて」、「サラエボの花」などの映画、日本ではあまり人気はありません。でも、今だからこそ必ず見た方が良いと思います。戦争が起きたらどうなるか、どんなことがどの国で起きたのか、日本人には対岸の火事みたいな状態で報道もありません。毎日地球の何処かで悲しいことがあったとしても殆ど報道されません。この方の作品、日本にもきて欲しいです。
  1. 2016/02/20(土) 22:50:00 |
  2. URL |
  3. はなさん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ご近所に無料の博物館が在ると言うのは良いですね!

感じる物!

同感です。
芸術と言われる物は個人で感じる感覚が違うと思うので・・・・

巨大イアリングが、ケルト文様と言うのも良いですね!
  1. 2016/02/21(日) 02:08:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

洋吉ちゃん
そうなんですよね。近年起こっている多くの紛争や戦争って、やはり日本から遠いんだと思うんです。難民の問題にしても、遠い国の遠い話にしかなってない。
距離的な感覚っていうのは、どうしようもないんだけど、でも、だから、危機感がないんだろうなって思います。ここは、いろんな意味で、近い。だから何が出来るものでもないのが現実なんだけど、現実に、今戦争やってる土地があるって言うのは、少なくとも感じやすいです。
  1. 2016/02/21(日) 17:49:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん、さすがですね、視点がナイス!
文様に注目されましたか!
わたしも、この文様、好きでした!
  1. 2016/02/21(日) 17:50:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

家の骨組みみたいなのと、木がぎっしりしたやつは、ベルリンに旅行したときにベルリンビエンナーレで見たのを思い出しました。そのときは、よく分からないなと足早に過ぎてしまいましたが。確かに庭に鶏が飼われていました。
  1. 2016/03/12(土) 11:31:00 |
  2. URL |
  3. dkd*k00 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> dkd*k00さん
ベルリンビエンナーレ行かれたのですね。いいなぁ。
まぁ、この鶏はどうかと思いますが。相当臭くて、係員の人が、朝、匂いがこもっていて大変なんだ、とぼやいていたのがおかしかったです。そういうことも含めて、作品、なんでしょうけどね。
  1. 2016/03/13(日) 19:04:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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