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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

粗面岩だけど、つるつるすべすべねっとり系。サンタンティオコ・ディ・ビサルチョ。

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その5

次に向かったのは、アンタンティオコ・ディ・ビサルチョ教会Basilica di Sant'Antioco di Bisarcio。びっくりしたのですが、ここは、この教会名を入力すると、ナビが認識してくれました。
オスキリ郊外のノストラ・シニョーラからは、ほんの20分ほどの道のり。快適なドライブをしていると、開けた土地の前方に、はっきりと認められますので、間違いようがありません。




あまり印象的だったので、道端に停車して、撮影しました。

これから行くかもしれない方のために記しておきますが、この場所に続く一本道の突き当たりに、無人の集落があります。集会所のようなものとか、公衆トイレなどあったので、教会関係の合宿的な集まりに使われる場所なのかな。

で、突き当たると、「右に行くと教会」、というような表示があるので、素直に従ったのですが、もうほとんど羊道(?)のような、対向車が来たらおしまい、というような狭い道なんです。その上、両側石垣。たいした距離じゃないけれど、はらはらしました。
実は、無人の集落に車を停めて、ちょっとした散歩道のようになっている場所を徒歩でアクセスした方が、圧倒的に合理的であること、帰りにわかりました。

まぁ、車で回ったおかげで、いかにもサルデーニャらしい風景にも合えましたし、対向車は来なかったので、よし、ですけれど。




緑はともかくとしても、石垣があちこちにあったり、かなり平地で、このあたりの風景って、ちょっとアイルランドを想起させます。

入り口には、結構車が止まっているし、教会の前に、人がたくさんいました。




皆さん、立ち話しているし、ガイドツアーでもあるのかと思い、尋ねてみると、これからミサだと。どひゃ~!
慌てて、内部を見てしまおうと思ったら、見透かされたように、もう見学は出来ませんよ、とやんわりと言われてしまいました。

そんな風に言われてしまうと、ちょっと入れなくなってしまいます。とは言え、まだミサは始まっていないわけだし、と入り口に近寄り、中をのぞいてみました。




お、すっきりしたきれいなスタイルです。
どっしりとした円柱、意外と狭い身廊幅。
円柱は、地元産の粗面岩という石で出来たもの。珍しく、他からの流用じゃないんですね。粗面岩という石の種類は初めて目にしましたが、字面から言えば、表面が粗い石って思うのですが、とてもすべすべな様子ですね。ちなみに、漢字は入力一発変換なので、日本でもおなじみの石なんでしょうか。




ほら。ちょっとアンキモ系の色で、粗いどころか、ねっとりしたような吸い付くような、そういう印象の石です。仕上げ仕事が丁寧なのかも。

まだ、着席している人も少ないし、普段だったら、ずかずか入るところですが、やはり入れず。見たところ、装飾もないし、いいかな、と思ったこともあり、内部の見学はあっという間に終了。
より興味深い外観見学に移ります。
と言っても、上の写真でわかるように、ファサードの半分は、修復工事中で、覆われてしまっていますので、ファサード側の見学は、これまたほとんど見るところ少ないんです。




この、ファサードの装飾は、フランス風、とされています。フランスから職人さんが来ていたのかもしれないですね。または、フランスで活躍した石工さんがいたのかもしれないし。
この教会、100年ほどの長い時間をかけて、この形になったもの。
建造には、少なくとも、三つの異なる段階があったとされています。最初が、1090年以前。二番目が1150/1160年、そして三番目が1170/1190年。11世紀に、火事で損壊したことを受けて、12世紀にこうして作られた建物が、今残っているものということです。火事の前は、村の教会的な小さな建物があったのかもしれませんね。

この、ファサードの前につけられたポルティコは、最後の建築段階のときのもの。後陣側は、完璧なピサ様式ですが、こちらは、ずいぶんとイメージが異なります。違う石工、職人、マエストロたちがかかわったのかな。

遠目には繊細さが際立ちますが、ズームアップすると、石の素朴さが印象的。




傷みも激しいので、だから修復しているのでしょうが、彫り物の技術は高いです。




裏側に回りますと、美しいピサ様式に出会えます。




これはいいですね。実に美しい、完璧なスタイル。大好きなひし形装飾、そして付け柱。うっとり。

アップにすると、ここでもまた、石色の遊びが見られます。




こういう遊びが、遠目に美しさを浮き上がらせる効果となっているのかもしれないですね。職人さんたちのセンスって言うのか、技術って言うのか、すごいもんです。

この、すーっとした付け柱、たまりません。




どうやら、これも粗面岩みたいですね。やっぱりアンキモ系。

もう一度、正面に戻って、やはり、改めて、工事中なのが、残念でした。




この、アンバランスな感じのファサードも、全体で楽しみたかったですね~!

教会の脇に、珍しくインフォメーション・センターがあり、開いていた上に、この周辺教会の冊子を、数種類販売していました。この教会のものがなかったし、他の教会のものはそれぞれ現地で買えばいいや、と無料のパンフレットだけいただいたんですが、大失敗で、ここ以外で、そういうものを販売している場所にはついぞ出会えませんでした。サルデーニャ、ロマネスク・ルートとか結構それなりに観光要素としてロマネスクを取り上げている割には、そのあたり、まだまだです。

ちなみに、この教会周辺には、先史時代の遺跡もあり、そちらも、一応発掘中というのか、調査中の様子でした。




サルデーニャは島中に先史時代の遺跡があり、実はロマネスクよりもそちらの方が有名です。気候もいいし、地中海の真ん中という地の利もあるし、古代から人々が定住していたということなんでしょうね。キリスト教的には、どうだったのか。初期キリスト教時代頃のものはほとんど残っていないように思うので、破壊されたりなんだり、というのがあったのか。ビザンチンも入っているし、そういうことなのかな。歴史、勉強しないと。

いったん、車で、先ほどの無人集落までおり、そちらからもアクセスしてみました。
実は、こっちの方が、印象的な後陣に直接近づくようになるので、絶対インパクト強いです。




ほらね。絶対こっちの方がいい!右に行けっていう車の表示、すっごく余計です。
ただし、遊歩道が整備されている左手は、羊の牧畜で、羊がたくさん、めぇめぇ鳴きながら、ご飯の時間。相当臭い香りが漂っていましたけどね。それもまたサルデーニャらしさということで。




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  1. 2016/03/07(月) 07:08:08|
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  4. | コメント:4
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コメント

No title

一枚目の写真、素敵ですね!

良い雰囲気が感じられる写真で、私好み!ですね。

先史時代の遺跡に喰い付きました!
チョイト調べて見たいと思います。
  1. 2016/03/06(日) 23:28:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

写真7枚目の 車輪、実にいいですね。それと次の太陽のようにぎざぎざが穴の周りをとりまいているのは、 もしや もとはこの穴にお皿が嵌め込まれていたのでは? ボローニャのサントステファノの壁の穴がそうであったように。後陣、美しいです。
羊、仔羊もいてかわいい! 実にいい風景ですね。
  1. 2016/03/07(月) 03:48:00 |
  2. URL |
  3. nytmoaaa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
欧州滞在時代は、サルデーニャは旅されませんでしたか。ヌラーゲという面白い遺跡がたくさんあるんですよ。メンヒルもかなりあります。と言っても、全然時間がなくて、今回はヌラーゲすら一個しか近寄れなかったんですけれど。いつか、先史時代めぐりもしてみたかったりします。
  1. 2016/03/08(火) 22:42:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ykさん
そう、お皿だと思いますね。あちこちでお皿あとは目にするのですが、どうも、数が少なかったり、すごく小さかったり、ちょっと不思議な感じなんですよよねぇ。なんでだろう。
ちょっと色をさしたいけれど、実はあまりすかれない装飾だったりしてんでしょうかねぇ。ピサ様式だと、ずらずら並べたりするじゃないですか。
調べてみたいことが、たくさんあります。
  1. 2016/03/08(火) 22:44:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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