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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

究極のピサ様式かも。サッカルジア。

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その9

前回のサルヴェネロから、もう目と鼻の先に、サルデーニャ・ロマネスクといえばここ、というような、シンボル的な教会があります。
サルデーニャ、ちょっと行ってみたいな、とロマネスク病の人が、思ってしまう要因のひとつが、この教会の特別なファサードの姿ではないか、と思うのですが、いかがでしょうか。




プロアゲという地域にある、サンティ・トリニタ・ディ・サッカルジア教会Chiesa di SS Trinita' di Saccargia。
何もない草原にすっくと建っているんですね~。
だから、近づくにつれて全容が目視できて、アクセスはドラマチックです。わたしは、オルビアの方、つまり、東側から来たので、最初に見えるのは塔と、後陣側の姿ですが、サッサリの方面から近づくと、この特徴的なファサードが最初に見えるはず。その方が、さらにドラマチックです。

勿論、後陣も、美しいです。




幹線から入り込むような小道がありますので、この後陣の姿を眺めながら、奥まった場所にある駐車場に進みます。
冬季はクローズという情報を得ていたので、期待もせずに入り込んだのですが、駐車場のところには、バールがあり、人の姿も見えましたから、もしかして、もしかするかも、と大いに期待しつつも、まずは車を置いて、教会に近づきました。

実は、一部修復中で、オレンジのフェンス網などが散らばっていて、全体を眺めたときは、ちょっとがっかりしました。




そして、期待値がすごく高かっただけに、意外と、こんなもんか、的な気持ちもありつつ、近づきました。
せめて、このオレンジがなければ、ずいぶんと気持ちも高揚したと思うんですけれど。周囲は、緑も含めて、とても美しく整備されていますしね。12月だというのに、花なんかも咲いちゃって、一帯、本当にのどかな風景なんです。




周囲は、教会修復工事の人はいなかったのですが、樹木の伐採の人はいて、地味に整備をしている感じ。このさりげない草原も、そういう地道なメンテナンスの賜物なのだと思われます。

工事の様子は無視して、最大目的のファサードへ回り込みます。




工事のオレンジがどうしても気になりますが、このファサードは、やはりすごい!
しましまが若干うるさいんですが、ピストイア様式のような白と緑のコントラストに比べると、白黒で、ずいぶん落ち着いているし、全体が古びですすけているのも、多分、今どき、好まれやすそうな風合いを醸し出しているんです。

そして、何より、ピサ風の、アーチと、そこに配置された石のはめ込み装飾が、実に独特で繊細で、好き~!




かわいいですよ~、実に!
写真をみると、改めて思うのですが、実物の愛らしさ美しさは、やはり現場で見ないとわからないかも。自分の写真の腕はおいといても。
写真で見ると、うるささが気になるっていうか、装飾過多、としか見えない傾向が強くなるように思います。実際は、意外とそうでもないんですよ。

横っちょから撮影。




このアーチと小円柱の凹凸、そしてまたはめ込み装飾も、陥没部分を作り出すことで、奥行きとかそういうものを産み出しているんでしょうね。
ピサ様式の派生系はたくさんありますが、いろんなものが混じったサルデーニャに根付いたピサ様式が、一番わたしの好みかも。

お皿装飾も、それをメインにするのではなくて、アクセント的に使っています。




この白黒の中で、小さい丸の鮮やかなエナメル・カラーは、全体を引き締めるポイントになっていますよね。にっくいな~。

側壁は、ピストイアもびっくりの強烈な縞縞ですが、やはり色が抑え気味です。




ファサード側には、彫り物もあります。




ポルティコになっている部分の、柱頭や、角の角柱の柱頭風に、動物植物モチーフの浮き彫り。でも、これは、時代が下って、若干小ざかしい表現になっているので、わたし的には、今ひとつでした。




アーキボルト部分、上下から押しつぶされたような狭いスペースに無理やり押し込まれたこいつらが、一番好きだったかな。




こういう、無理な場所で無理な体勢している奴ら、建物を一体化して苦しみをものともせずに先年のときを過ごしている奴ら、いとおしくなります~!




残念ながらクローズでしたが、中には、こんなフレスコ画があるようですね。




好物の時代よりは後になるみたいですが、でも、相当保存状態がよさそうだし、いつか一度は見てみたいです。イースター以降、10月までは、一日中ノン・ストップで開いているようです。

細部を眺めたあとで、全体を再び眺めると、何か見え方が変わるような気がします。大切なものは目に見えないという星の王子様に出てくる言葉がありますが、根っこは同じというか、ぱっと見見えない、認識できないものでも、そこにあることを知っているだけで、深みが出るみたいな、そういう、見てないものも含めて見てたりするんかな、と。物理的に見るというだけじゃなくて、メンタルにみるって事なのかな。

どうでしょうか。




丹念に見学したあと、駐車場のあるバールに戻り、カフェをいただきつつ、ダメ押しと思いながら、やはりクローズなんですかね、とバールの女の子に聞いてみると、「あ、この人、教会関係者なんだけど」一瞬、色めきたちました!しかし、よろよろしたオヤジとぼそぼそっと言葉を交わしたあと、「土曜は16時半、日曜は18時からミサがあり、その前には見学できますよ」だって。がっかり。教会関係者ってことは、鍵、持ってるんじゃんかよ!開けてくれよ~!

この時点で12時半過ぎ。この日は土曜日だったので、他を見学して、戻ってくることは可能と思いましたが、結局、間に合わずだったのは、残念でした。仕方ないです。
実は、ランチの時間にちょうどよかったので、ここで何かいただけたら、と期待したのですが、本当にただのバールだし、鍵を持っているはずなのに開けてくれない教会守がいるのも癪に障ったので、次に向かうこととしました。

きっと、昔だったら、これほどシステマティックではなく、来る人も少なくて、こういう場面だったら、きっと開けてくれたんじゃないかと思います。わたしが、最初に学生として住んだ時代。
なんか、色々懐かしくなってくるな~。

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  1. 2016/03/17(木) 07:01:16|
  2. サルデーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

折角来て居るのだから・・・・

見せて下さいよ!

と、関係者の方に言いたいですね?
  1. 2016/03/17(木) 02:01:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
本当にそうなんですよ。バールでカフェを飲んでおしゃべりしていた教会守の人、鍵くらい貸してくれよーと思いました。昔比べて、寛容じゃなくなりました。仕方ないところもあるとは思うんですけどね。
  1. 2016/03/17(木) 23:21:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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