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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

少年の言葉を信じて、ひたすら待つという修行。ポルト・トッレス。

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その11

ポルト・トッレスPorto Torresのサン・ガヴィーノ教会Chiesa di San Gavino、続きです。




まずは、北側の壁にある扉の装飾。この面には、扉が二つありますが、西南側の方。ぱっと見は、超シンプル。




細部を見ると、えっ?と戸惑うほどかわいい!




側柱の柱頭部分に、童子が下ります。上が右側。そして、下が左側。




特に左側のヤツ、やられた~!持って帰りたい!って思いました。広げた両手の先で、右手は、どう見ても犬だけど、おそらくライオンのつもりのフィギュアの前足をつかみ、左手は、カラスにしか見えないけど、もしかしたら鷲のつもりのくちばしにつままれているんです。

動物のフィギュアも、とってもかわいいですよねぇ。




クローバー型の尻尾の先っちょは、よくグリフィンなんかで使われる表現ですが、大好物。前足をつかむって、珍しいような気がするんですけど、どうでしょうか。

ライオンと人のフィギュアでは、おなじみのスタイルが、扉の上の方、アーチに近い場所に、置かれています。上の扉全体の写真で、位置がわかると思います。




これは相当朽ちてしまっていますけれど、このフィギュアと、柱頭の、童子の方が動物に勝っているフィギュアとの関連性は?
鷲についても、入り口に向いた部分に、よりしっかり鷲とわかるフィギュアが置かれています。




しっかり、とは言っても、すっごく丸々していて、なんだろう、精悍さゼロの鷲。

それにしても、こういうの見ると、しみじみ、ロマネスクって研究したくなるよなぁ、と思ってしまいます。同地域に同じようなフィギュアが同じように施されているケースと、一つ一つが異なって、関連性や意味があるんだろうけれども明確にわからないようなそういうケースと、どれひとつとっても、それぞれで研究が成り立ちそうな、そういう感じ。

でも、わたしは勉強が好きじゃないので、ただ、すべすべのお腹がかわいい~!とか言ってるだけですが。

もうひとつの扉口は、装飾から13世紀以降のものと思われ、南側のメイン扉と同様です。そして、メインよりケアされていなかったせいか、朽ちています。




その、メインの扉口。




スタイルも装飾も新しくて、好みではありません。でも、ケアされていて、彫刻も、もしかしたら再建ですが、しっかり。




さて、やけにゆっくりじっくり見学しているのは、実は、なかなか開かなかったからなんです。15時にオープンすると期待して、10分前には戻ってきたのですが、開く気配ゼロ。
周囲をうろうろしつつ、人の気配を逃さないように、扉口を目から離さないようにしていたのですが、仕舞には疲れて、メイン扉前のベンチでボーっと待ちました。
訪問客は、ちらほらと来るのですが、閉まっている扉を見て、みな、あっさりと帰っていきます。
15時15分頃、サッカーに興じている子供に、尋ねて見ると、「15時に開くことになってるけど、大体いつも遅れるよ。15分とか30分とか…。でも、そろそろ来ると思うよ」と。

あきらめようかとも思ったのですが、そう言われては、動けません。
そして、15時半、とうとうそれらしい人が!
でも、後陣近くの扉を開けて、すばやく滑り込んでしまって、ベンチであたふたとしているわたしがたどり着いたときには、既に扉はまた閉まっています。ええ~!と泣きそうな気持ちでノックをしていると、メインの扉の方が開けられて、こっちこっちと手招きされました。やれやれ…。




おお~!
すごく期待して入った割りに、実に地味でシンプル~!
期待感のやり場がないような気持ちに一瞬襲われたのですが、反対側を見て、おっ、と。




全体、円柱も柱頭も再利用なんですね。どれも違うスタイルなのに、それを見事に調和させているんです。溝ありタイプ、滑らかタイプ、色もグレーだったり、ピンク系とか緑系とか。柱頭もコリントやドーリア、アーカンサス・モチーフまで、実に多様。
高さも違うはずなので、基部の下駄履きも様々です。




どうやら、ローマ時代やロンゴバルド時代のもの等が混じっているようでした。こういう建築的な歴史を目の当たりにすると、結構感じてしまうんですよね。自分の感じるつぼというのが、いまだによくわかってないんですけれど、再利用ものが、うまい具合に調和して、一堂に会している、というのは、どうやらかなり好きみたいです。




大変残念だったのは、クリプタへの訪問がかなわなかったことです。冬季は、事前予約が必要ということらしく、その旨、入った場所に書かれていました。いずれにしても、一人では相手にしてもらえないはずなので、かえって予約制度は知らなくてよかったかも。すっぱい葡萄系ですが、納得。
ひとつの教会のために、ひとつの場所にこんなに滞在することはめったにないことなので、かなりお腹一杯状態で、あっさり納得できたんだと思います。あ、実際お腹一杯で、気持ちに余裕があったのかもしれませんね。

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  1. 2016/03/20(日) 19:59:14|
  2. サルデーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

素敵な写真ですね!
  1. 2016/03/20(日) 13:06:00 |
  2. URL |
  3. - #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Miamiさん
素晴らしいお写真メインの貴サイト、拝見させていただきました!その上で、いただきましたコメントには、赤面の至りですよ~!
サブジェクトが偏っていることだけが、ある意味、救いかも!?
よろしかったら、また遊びに来てくださいね。返信遅れてスミマセンでした。
  1. 2016/03/27(日) 22:57:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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