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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

真っ黒な絵葉書…。ボルッタ。

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その12

どうも完全に怠け癖がついてしまって、ブログのアップデートも滞りがち。気持ち的には、ちゃんちゃんとアップしたいのに、どうしても身体がいうことを利かない、みたいな…。いや、ただの怠け癖なんですが。
今回のお休みは、一応それらしい言い訳があって、ちょっと仕事が忙しくて気力が萎えていたのと、同時に、イースター休暇の超プチ修行の準備…。実際は、ただの怠けで、毎晩、ボーっとテレビやビデオを見ていたに過ぎないんですが…。

でも、あまり怠けていると、誰も来てくれなくなりそうなので、がんばって復帰したいと思います。続き、行きます!

ボルッタBorutta、サン・ピエトロ・ディ・ソッレス教会Chiesa di San Pietro di Sorres。




お天気がよくて、暖かくて、つい季節を忘れそうになるのですが、旅したのは12月ですから、日は相当短いのです。ランチを取ったポルト・トッレスで、予期せず長時間滞在となってしまいましたし、そこから宿までは結構な道のりがあるので、もう打ち止めかとも思ったのですが、せめて通り道にある一箇所くらいは、と、まずは、ポルト・トッレスとサッサリの間にあるはずの、プライナウPlainauという村のサン・ミケーレ教会Chiesa di San Micheleを目指しました。

この教会の場所は、今回の目的地の中では、わかりやすい内のひとつ、と思い込んでいました。というのも、道沿いにありそうな様子でしたから、村を目指せば、サルヴァネロのように、目に付くはず、と。
ところが!
道路が一部工事中だったり、おそらくこの数年内に様子が変わっているようで、わたしの古いナビが「(幹線を)出ろ」という場所には、出口がありません!仕方なく先に進み、やっと出たのですが、道の反対側にどうしても行けず、また戻り、また同じことを繰り返し…。
こんなことをしていたら、少ない時間がもったいない、と気持ちを切り替えて、結局、先述のボルッタまで、一気に南下することとなりました。

簡単そうな場所ほど、侮ってはいけない、ということなんですかね~。いや、ナビはアップデートしないと意味がない、ということですね。いやはや。
というわけで、実はイースターの旅、また夏の旅のことを考えて、新しいナビを購入したんですが、すっごく使い勝手が悪い上に、なんと、既にして、古い…。フィレンツェとボローニャの高速の拡張すらフォローしてない…。唖然…。

それはともかく、ボルッタ。
何とか17時前に到着しましたが、既に黄昏始まっています。村にあるのかと思いきや、ひたすらアップダウンの細道の連続で、結局ついたのは、村を見下ろす高台に、一人佇む教会でした。教会のファサード側から、見えるのが、おそらくボルッタの村。




教会の前にごろごろしているのは、おそらく先史時代の遺跡ではないかと思うのですが、詳細は不明。教会と、先史時代の遺跡の組み合わせは、サルデーニャでは割とありがち。きっと神聖な場所は古代から同じだから、そういう遺跡があるのじゃないかと思います。

教会の建つ丘は、かつて火山活動で隆起した土地なんだそうです。黒っぽい石は、火山岩系の石らしいです。一帯がでこぼこの土地なのも、そういう土地だったからなのですね。そういうすっごく古い火山系の土地って、ヨーロッパには、時々ありますね。日本は、火山系の土地のほとんどで、まだ火山が生きているから、地球的には新しい土地ということになるのかな。

例によって、立派な駐車場に車を放り出し、小走りで教会へ。




美しいピサ様式のファサード。このはめ込み石の装飾は、本当に好きです。ここのはまた、下部は白だけ、上部に薄めのグレーの縞々、と洗練されています。




アップにすると、かなり細かい部分まで、作りこんでいる装飾の様子がわかると思います。こうなると、好き嫌いが出てくるかな。この隙間のない作りこみの感覚は、ちょっとアラブっぽいのですが、同時に、余白を残しているのがいい感じで、わたしは好きなんですよねぇ。
特に、ひし形(Losanghe=ひし形)と呼ばれる四角や丸を使った幾何学系の装飾は、とってもデザイン的で、モダンな感じがして、楽しいんです。




ピサ様式のこのあたりを担っていた石工さんたちは、独特の技術を持っていたはずだし、数学的な知識も半端なかったのではないかと思うのです。柱頭の変な生き物を彫りこんでいた石工さんたちとは、ずいぶん方向性が違いますよね。

この、トップに置かれた十字架なんかも、緻密な計算が感じられます。




ところで、驚くことに、ちゃんと開いていました、この教会。
でも、中入ったら…。




昔、○○(観光地の名前)in nightだけ書いてある、真っ黒な絵葉書をよく目にしましたが、まさにそれ状態です。

告解室らしき場所で、関係者がなにやら作業をしていて、その一角だけに、煌々と明かりが当てられていました。




すごく真剣に話したり作業をしているので、どうにも邪魔できず…。
明かりはあると思うのですが、結構観光客が出入りしているのにつけないということは、つけてくれないということなんだろうなぁ、とも思ってしまったし。一日の終わりで、疲れているし、たどり着いただけで満足していたわたしは、お願いする気力もなく、しばらく暗がりをうろうろして、見学を終えることとしました。
まぁ、内部は、外部と違って、はっきりとした白黒の派手縞々であることがわかっただけでも、いいか、と。




告解室の前にあった聖水盤。古そうです。
そして、これはどこだったか。入り口にあったのかもしれません。




大司教の杖ですよね。司教座だったのかな、ここ。

この教会の装飾で、最も好きだったのは、意外な場所のこの子達。




なんだと思いますか。
実はこれ。




アーチの内側に、それぞれ幾何学模様がはめ込まれているんです。
これはかわいいです。他では見たことないと思うな~。
北壁も南壁も同様に。




モチーフがすごく多様なのもいいし、上部にある連続三角の帯もいいですねぇ。うっとり。
ピサ様式は、外観の見学だけでも、かなり満腹感あります。ここなんかは、まさにそんな感じ。
ただし、あとから気づいたのですが、後陣、外側から、見たかった!
正面左側、つまり北側の方から、後ろにまわりこめるようになっているのですが、鍵のかかった立派な鉄柵で閉ざされています。頼んで、入れてもらえた人もいるようなので、思いつかなかったのが、とても残念。中よりも、そちらが見たかった、けど、現場では、閉ざされた鉄柵を見ただけで、頼むことすら思いつきませんでした。人もいたのにねぇ。疲れているときは、思考の幅が狭くなってだめです。

でも、日暮れも近くなって来ているので、早々に引き上げる必要もありました。暮れなずむ中でのたたずまいは、本当に美しくて、後ろ髪を引かれる気持ちで一杯でした。




次回は、もっと日の高いうちに来て、そして、必ず、後陣を拝む!
そういうやり残し、見残しはあった方が、次回につながるので、それはそれでよいのです。

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  1. 2016/03/28(月) 23:18:20|
  2. サルデーニャ・ロマネスク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5
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コメント

No title

こんばんは

そしておはようございます
昨夜は寝る前に泳ぎに行ったので、10時には起きてしまいました

充実したご説明で、教会の装飾を楽しみました。
お写真も素敵です。ナイス!
  1. 2016/03/28(月) 19:31:00 |
  2. URL |
  3. poetryfish9 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

10時には眠ってしまいましたの・・・・間違いでした
  1. 2016/03/28(月) 19:32:00 |
  2. URL |
  3. poetryfish9 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

私も古いAAの地図を使って居ましたから・・・・

田舎の道路事情が変わって居る事は、多々出合いました。
安い物なのですが、毎年道路地図を買う気には何故か為れないんですよね?

私も同じ様な経験がありますよ!
  1. 2016/03/29(火) 01:17:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> poetryfish9さん
訪問いただき、有難うございます。
現代美術も含め、造詣が深くていらっしゃるのですね。楽しんでいただければ、幸いです~。
  1. 2016/03/31(木) 20:56:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
最近、いきなり新しい高速に出会うことが多くて、びっくりの連続です。イタリアは、地下鉄や列車の新設は非常に遅いのですが、道は結構出来ますね~。さすが車社会です。さすがに紙の地図も、そろそろ新調しようと思っています。15年物ではね~笑。
  1. 2016/03/31(木) 20:58:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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