ミラノ・フオリサローネ2016その6
フオリサローネでは、美術館や博物館のスペースを使った展示も多数あり、普段は非公開のスペースや、有料でしか入れないスペースを垣間見ることが出来るのも楽しみ。
最初に訪ねた美術館は、ちょうど訪ねた時間に、招待客限定のカクテル・パーティで入れませんでした。
Museo Diocesano
この美術館は、めったに来ないので、楽しみにしていただけに、残念でしたが、仕方ありません。
「ちなみに、フオリサローネはだめだけど、美術館は開いてるよ」と一人が言ってくれたところ、コンビのもう一人が、「お前アホか?フオリサローネを見に来た人が、美術館のオープン云々なんか、興味あるわけなかろう?」と、掛け合い漫才みたいだったのが、笑えました。
美術館に興味がないわけではないですが(というか、無料で入れるなら、ちょっと見たかったのも本音ですが、美術館だけではね)。
いずれにしても、めったに来ない、古いミラノの姿を見ることが出来る、素敵な場所でもあります。
時間の制限があるので、すぐにプランBへと予定を変え、ドゥオモ脇の王宮美術館へ向かいました。
それにしてもびっくりしたのは、ドゥオモに入場するのに、長い行列が出来ていたことです。
サローネ関連で、この時期はミラノ中のホテルが、ほぼ100%の稼働率となるほど人々が押し寄せるわけですから、観光要素も盛況になるということなのでしょうけれど、それにしても、こんな行列初めて見ました!
それはそれとして、王宮美術館へ。
Milan Pavilion
Every work has its sound
in collaboration with Kartell
いきなり、人工的な色彩にびっくりです。くすんだ建造物の中で、このように鮮やかな色彩が挿入される驚き。ビデオが流れ、音が流れ、という仕掛けはともかく(実はたいした効果を感じなかったのですが)、仕掛けとして、アートなんですよね~。
ちなみにこの展示は、9月12日まであるようなので、機会があれば、是非、訪ねてみてください。
さて、目的は、美術館の中にあります。
Hyper Planes of Simultaneity
Fabio Giampietro, Alessio de Vecchi
ミラノ出身の二人のアーティストのコラボ作品。
上の、薄暗い中に展示された絵が、ファビオさんの作品ですが、びっくりする仕掛けがあるんです。
絵の前に、柵が置かれています。なんだろうと思いますよね。
都会の摩天楼を描いた鳥瞰図の絵だけでも、結構な迫力なんですが、この柵につかまって、さらに、ヘルメットをかぶります。
なんと!目の前に、絵に描かれた風景が、3Dで、360度展開されるんです!
これは、残念ながら、体験する以外に、説明の使用もありませんが、もしかすると、こういうアートをやっている人は、他にもいるでしょうね。
絵の中の一点が、自分の視点となっていて、ぐるぐる回ると、その場所から見えるだろう風景が展開されるんです。摩天楼の屋上の一角が視点になっていたりするので、落ちそうになったりして、だから、柵。
最初は、訳がわからなかったのですが、見終わったあとに、ほら、視点はここでしたよ、と教えてくれるコンパニオンさん。
これは、面白かったです!
幸いにも人が少なかったので、二点ある絵を、両方とも存分に楽しめました。説明する人たちも、体験する人の驚きを確信して、「すごいぞ、すごいぞ、ほ~ら、すごいでしょう」といったようなウキウキ感が楽しそうで、それもよかったです。
目のところにスマホを使っているんですね。そういえば、こういうのって、去年のミラノ万博でもあったかもしれないなぁ。技術的にどうなっているのか、まったくわかりませんが、とにかく老若男女、楽しめること疑いなし。あ、高所恐怖症の人は、めまいがするかもしれませんが。
プランBだったにもかかわらず、興奮して、次に移動です。
向かう途中、ミラノのファッション・ディストリクトを通過しますが、どのウィンドウも、この時期に合わせて、いつも以上にアート的というか、サローネ的です。
こちらの、ス・ミズーラ(オーダーメード)を表すウィンドウ、好きでした。
デザイン画をバックにした、巨大ステーショナリー。
さて、向かったのは、バガッティ・ヴァルセッキ美術館Museo Bagatti Valsecchiです。
Museo Bagatti Valsecchi
Curiosity - Mondo Parallele
Installation of Gwenael Nicolas
二年前、この美術館での展示が、非常に面白かったので、今回も楽しみ行ったのですが、使用スペースは、ほんの一部分で、展示規模が小さくて、ちょいとがっかりでした。
相当暗いこともあり、いい写真が撮れませんでした。
このデザインなーさんは、長く日本に暮らして活動されている方で、日本の、布団文化みたいなものに触発された作品であるようなことを、コンパニオンさんが説明してくださいました。
部屋の真ん中に、ソファとテーブルなどが置かれている状態だったのを、では、同じ家具の形を変えて見ましょう、と下はその作業中です。
だから何、ということもないんですが、居間が寝室に変わっちゃうその省エネ発想に、本当にびっくりしたんでしょうかねぇ。ヨーロッパでは、寝室はあくまで寝室で、寝るための機能しかないわけで、せいぜいが、お客さん用にソファベッドを居間に置く、という発想がやっと。
押入れから布団を出すと、何もないところが寝室になる、ベッドという家具に捉われない寝室というのは、思いもつかない発想なんだと思います。
フランス出身のデザイナーさんですが、東京にその名もCuriosityというデザイン・スタジオを持っているそうです。おそらく、いろんなものを作っちゃってるみたいで、こんな小物も展示されていました。
なんだと思います?下のくぼんでいるところにお箸を入れときます。
そして、横に倒すと。
お寿司向きのお皿になります。
ってさ、握り寿司を想定しているらしいんだけど、握り寿司は、家庭では、あまりつくりませんよ~。そういう日常に根ざした現実は、なかなか伝わりませんよね。でも、この人住んでいるはずなのになぁ。やはりフランス人だし、日常は、フランス式どっぷりでやってるのかもしれないですよねぇ。
他の展示は、普段通りですが、めったに行くこともないので、一通り見学しました。
なんと今回、詳細な解説書に、日本語版が加わっていたのが、驚きでした。それも、さすがミラノで、ちゃんとした日本語!
部屋ごとにあるので、暇なときだったら、じっくり読んでしまいそうでした。いや、今回も、特に以前気になっていた浴室のことなどは、結構しっかりと読みましたが。
それにしても、おされ感度の高い人々が集まる場所なのに、美術館はすいています。中庭にあるカフェは超満員でしたが。
やはり、人が集中するのは、トルトーナ地区で、そのほかはこういう感じ。なので、素人俄か家具ファンも、こういう場所なら、のんびりと見学も出来て、大変よろしいですね。っていうか、せっかく素晴らしい展示があるのに、こんなに人が来ないのは、残念な気がしました。
美術館めぐり、もう少し続きますよ。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/04/27(水) 06:28:03|
- ミラノ・フオリサローネ
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| コメント:7
おはようございます
本日も興味深く拝読いたしました
お鮨のお皿は・・・・・使いません・・・と思います。
海外では、使われるかもしれないですね、ソースの無いお料理ですと何があるだろう・・・と考えちゃいましたが
趣味ではありません・・・念のため
- 2016/04/26(火) 23:42:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
- [ 編集 ]
追伸、ファビオGiampietroさんとアレッシオ・デ・ベッキさんの作品は
日本に来ないかなぁ・・・
面白そうですね
- 2016/04/26(火) 23:51:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
- [ 編集 ]
日本では民泊と言って空き家を宿泊施設として貸し出す法律ができました。
空き家でも昔ながらの古民家で布団で眠れる施設は高くても人気です。
ヨーロッパである「B&B」とはまた違いまして所有しているマンション空室部分を貸し出し、食事は各自でとなりますが、割安で寝れればいいというバックパッカーには人気です。
空き家がどんどん潰されて行く古い日本家屋、外国人には魅力満載なんで壊されるたびにため息が出ます。
椅子が面白い~(≧∇≦)!
- 2016/04/27(水) 00:38:00 |
- URL |
- まーたん #79D/WHSg
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> poetryfish9さん
いつも有難うございます!
わたしも、あのお皿はいらん、と思いますよ~笑。日本に長年住んでいて、インスピレーションを得るのはわかるのですが、それがこの結果では、ちょっとどうよ!、という気がしました、本当のところ…。
- 2016/04/28(木) 22:17:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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まーたんさん
民泊、すごいですよね。欧州での、昔のB&Bですよね。朝ごはんはないのか。
最近は、外国人も日本通が増えているから、お布団でも平気、って言うか、かえってそういうもんを求めてくる人も多いかも、ですね。昔の、いわゆる民宿とか、風情ありましたよね。
墨田区とか下町の方に、そういう旅館、今でもありますよね。そういうとこ、大事にしてかないとね。
- 2016/04/28(木) 22:19:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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山下さん
浮遊感というより、本当に絵の中にいるんです。ひとつの絵では、高層ビルの屋上の端っこ、というのが位置だったので、相当やばい感じで、思わず柵を握る、みたいな。ブランコの子供が目の前に迫ってきて、すごい迫力でした。
- 2016/04/28(木) 22:20:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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