ミラノ・フオリサローネ2016その7
前回記事のバガッティ・ヴァルセッキ美術館は、ミラノのファッション・ディストリクトであるブレラ地区のど真ん中というロケーションでした。この地区も、いつの頃からか、フオリサローネに注力するようになり、狭い地域に多くの展示がひしめいています。 まずは、このところ毎回訪ねている、こちら、ブレラ植物園。
Interni Open Borders - Orto Botanico di Brera My Equilibria, The Wellness Park with Metalco Active design Vito Di Bari
ちょうど、緑が一番美しい季節であることも、この会場を使う意義がばっちりという感じで、毎度、展示と同時に、というか、多くの場合、展示以上に、都会の中のオアシスとなっている緑や、植物園ならでは花に感動してしまいます。
今回も、ブレラ美術学校の建物の裏手を覆うように育っている黄色の蔓バラや、ちょうど満開状態の藤の香りに嬉しくなりました。
展示はというと、上記タイトルにもあるように、運動系っていうか、事務系。すごく当たり前のジムが、植物園の中に設置されていて、時々パフォーマンス的にインストラクターが運動していました。
多分、こういう環境においても、周りを邪魔しない、それでいて機能的なデザインのマシン、みたいなことなんでしょうけれど、「健康のためならランチも抜きでジムに通う」(そういう人、ミラノにはたくさんいるんです。特に、高学歴な専門職系の人たちに多いような気がします)というミラネーゼには訴えても、わたしのように、とりあえず、何かやらないと、と家の前の公園をぐるぐるジョギングしているだけの人には、コンセプト的には、あまりぴんと来ませんでしたね~。
とはいいながら、確かにこんなに緑満載の場所でやる腹筋は、自宅で寝転がるのとは違う喜びがあるかもしれない、とは思いました。
今回は、緑の美しさが、完全に勝ちでした。 植物園から、そのまま、ブレラ美術館、というより、ブレラ美術学校の展示へ移動します。
こちらの大学は、古い建物を使いまわしていることが多く、このブレラもまた、いかにも古い構造の建物です。 こういう建物、企業が購入して事務所にするなどの経緯があると、構造のみ古い状態で維持して、建物内部はすっかり現代的な内装を施すので、現代風なのに歴史を感じさせる、過去と未来が融合した建造物となるのですが、学校や役所など公共建築の場合、どうしても予算に限りがありますから、必要に応じた改築や増築を、最低限レベルで繰り返していて、ちょっと見ただけでも、いかにも使い勝手の悪そうな、隙間風だらけそうな、そういう状態であることが多く、このブレラも、その例に漏れないのですが、この中庭の様子は、ぱっと見には、かっこいいですよねぇ。 こういう構造物の中で美術を勉強する、ということが、やはり感性を高めるのか、とか思っちゃいますよねぇ。 でも、使い勝手は悪いし、古いし、暗いんですよね。感性も半端に育っちゃいそうな。
XXI Triennale di Milano Internazional Exshibition Accademia di Belle Arti di Brera
若手中心に、建築家やデザイナーの作品をセレクトして展示しているものだったようです。
ペットボトルにかぶせて、花瓶のようにできるエコのゴム素材みたいな飾り。これはスポンサーがつけば、すぐにも商品化されそうな代物ですね。こういうかなり実用化されやすそうな小物がいくつか。 回廊上部には、おそらくその後有名になった建築家やデザイナさんの、過去に商品化された品が並んでいました。
びっくりしたのは、なんでもない台車。
だって、ガエ・アウレンティって、イタリアでは知らない人のないほどの建築家ですから、まさかこんな地味な台車をデザインしてたなんて、驚きました。何かが画期的だったんだろうか?どうみても、ただの台車…。いや、これ既にアートだった?どうだろう。
日本の方々の作品も、いくつか並んでいました。 数年前から、サローネ出ずっぱり状態のNendo。
Cappelliniというメーカーで商品化されたようです。こんな普通のなんでもない家具をやっているんですねぇ。こういうのみると、工業デザインの世界は、やはり基本、技術であり、実用であり、地味であるな、と実感できますね。
と、地味系展示の中、今回ブレラで最も楽しかったのは、こちらです!
Baccarat - Baccarat Lumieres Out of the Box, Thinking out of the box Design Hans van Bentem, Arik Levy, Marcel Wanders Sala Napoleonica- Accademia di Brera
あの、バカラですよ。 この地味な箱の裏側は、豪華絢爛のクリスタルの競演です!
箱状のスペースに、それぞれテーマを持ったクリスタルのシャンデリアがどかーん、どかーん、という感じで展示されているのですが、そのものの光に加えて、周囲への反射で、まさに燦然と輝いているのです。
ガラスという素材は、派手でも、何か抑えられた美、というものが備わっている感じがします。いやらしくならないっていうのかな。単にわたしが好きだから、なんでしょうか。
それにしても豪奢。バカラって、ベネチアン・グラスどころじゃないお値段ですよね。こんなどでかいシャンデリア、一帯おいくらくらいするものなのか、大体どういう人向けにこんなもん作っているんだか。まぁ、今でもお城に住むようなヤツラはいるわけだからな~、需要はあるんかな~。 あ、これはすごかった~!
手で持てるサイズのトロフィー系かと思うでしょ?どっこい! なんと2.5メートルの高さだよ!1909年に作られたもんだって。やっぱり、いまどきこんなものを発注する人はいないよなぁ。 それにしても、これって、さすがにどうすんの~?という品物ですよね。こんなでっかいバカラ持ってるんだぜ~、と言いたいだけのもののような気も…。
これらを見て、会場を出てから、はた、と気付きました。遅い! どうも、場にそぐわない、キラキラしたシャンデリアがあちこちさがっていると思ったら、全部バカラ製だったのです。 ひとつして同じものがないデザインで、色彩も微妙に違っていて、改めて回廊を一周して、全部見学しました。
赤はやはり美しいですねぇ。 黄色というか、オレンジ。
このあたり、既にかなり歩いていて、もうかなり疲れ果てているので、あの、垂れ下がっている一粒でも、千円万円単位なんだよなぁ、等と下世話なことを考えながら、眺めてしまいました。
さし色、という感じでピンクが控えめに使われていたもの。これ、一番好きだったかも。
エントランスに下げられていた、一番でっかくで豪華だったヤツ。
他のサイズの三倍くらい。黒が入ってピリッと。 いやはや、これ、デリケートだし、高いし、搬入も取り付けも、そして、展示中の警備も大変だったことでしょうねぇ。保険はどうしたのかな。 と、どうしても下世話なことばかり考えてしまう庶民です。やっぱり、ファッション・ディストリクトでは、ちょっと浮いちゃうな~。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2016/04/29(金) 06:12:26 |
ミラノ・フオリサローネ
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おはようございます
しょぼくれてきたblogの世界でこの場所は・・・・宝島の1つです
今日も堪能しました、バカラってウィスキーのグラスしか持っていませんが
素晴らしい分量ですね
日本ではお目にかかりません
クリスマスに恵比寿ガーデンプレイスでバカラのツリーだったかシャンデリアだったか見ました
装飾過多でも、完成度が高くゴージャスなものはやはり・・美しいでしょ
楽しみました。欲しかったのはやはりペットボトルカバーかしら
2016/04/28(木) 23:11:00 |
URL |
poetryfish9 #79D/WHSg
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> poetryfish9さん
過分なお言葉、有難うございます~!
確かにブログは、既に時代遅れって感じですよね。でもわたしにとっては、書きたいことをちょうどよく書ける唯一のツールです。
ペットボトルのカバー、意外といいですよね。近めだと、若干安っぽかったけど、工夫次第で、使えそうでした。
ところで、素敵なブログ、読み逃げしてました。ごめんなさい。作品、すごくゴージャスな感じです。今度、ちゃんとお邪魔しま~す。
わたしも最近、消しゴムはんこ、創作中です!笑!結構夢中です!
2016/04/30(土) 18:28:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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> あるくさん
バラがヒットしたんですね、きっと。訪問有難うございます。せっかくご訪問いただいたので、ちょっとでもご興味持てる記事なら、よかったのですが。
有難うございます。
2016/05/11(水) 22:06:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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