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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

〆は卵かけご飯。ファブリカ・デル・ヴァポーレ。

ミラノ・フオリサローネ2016その10

週末にゆっくり、と思っていた大学まで、週末を待たずに見学できてしまったので、週末はもういいかな、とも思ったのですが、いつもの「もったいない病」。結局、自宅から行きやすいファブリカ・デル・ヴァポーレFabbrica del Vaporeへ。

考えたら、自宅最寄の地下鉄5番線、当面の終点まで伸びたのに、いつも乗るのは、自宅最寄から二駅のみ。たまにはその先をお試しするのにちょうどよい機会でもあったのです。ファブリカは、以前だと、路面電車またはバスでアクセスするしかなかったのですが、今では5番線一本で、ミラノ記念墓地駅まで行き、そこから徒歩5分。我が家からdoor to doorで、30分もかからないアクセスのよさですから、車で10分足らずの現代美術館ハンガー・ビコッカといい勝負の、下駄履き訪問可能イベント・スペースとなりました。

というわけで、ファブリカでのフオリサローネ。




Fabbrica del Vapore
XXI Triennale di Milano International Exhibition
New Craft
curated by Stefano Micelli

大きな敷地内に、いくつかの展示スペースがありますが、ミラノのはずれという場所柄、訪れる人も少なく、なんとなく閑散としていて、どこからどう見たらよいのか、わからないって感じです。
でも、人がいなくて、のんびりした雰囲気は、下駄履き状態で訪ねているわたしには、結構好ましかったりします。

とっつきのスペースに並んでいたのは、ミラノおよびその周辺地域で活躍している女性デザイナーたちの作品。




確かに女性らしい、繊細なデザインの日用品的な小物が並べられています。でも、女性だけって言うジェンダー的な区切りは、いらんかな、という気がしました。
多くの世界同様、おそらく工業デザインの世界でも、女性が活躍するのは、まだ大変な部分も多いはずで、だからこそ、団結してがんばる必要とかもあるんだとは思うんだけど、でも、ジェンダーを出すのは、なんか違うような。

次のスペースの展示は、かなり政治的な思想が入っていて、面白かったけど、不思議な気もしました。




この、ネオンそれぞれの後に、小さなスペースがあって、こだわりの品が置かれ、古い電話の受話器をとると、その品にまつわるストーリーが語られるという仕掛け。

Borders
Cosa sono i confini? (境界/国境ってなんだろう?)

デザイン大学の学生さんたちの作品みたいでした。だから、理屈っぽいのか。たとえば、こちら。




なんでもないボールペンなんですが、英国だったかの刑務所で起こったデモかなんかのときに、取材した記者が、これで記事を書いたった言うようなそんな話。どっかにメモっといたんだけど、残念ながらなくしてしまいました。内容も忘れちまった~。まことしやかで、なんか、ストーリーとしては面白かったんだけど。
結局いい加減に見ているって事ですね。ちょっと情けない。
見学者が少ないから、こうやって、のんびりと体験型も体験できるっていうのは、なかなかよいのですが、体験しても忘れちゃうんじゃ、どうしようもないです…。

メイン会場。




工場跡地で、建物も、基本的に工場跡を再利用しているので、全体に巨大です。




お、かっこいい!
ニュークラフト。要は、新しい工芸品。いろんな人や会社の、様々な工芸品が、ずらずらと、それなりに工夫を凝らして、展示されています。ここは、こういう展示が多いですね。
アクセサリーとか、布とか、食器とか、そういうもの。

素材にこだわりがありそうな品物から、




イメージを前面に押し出す作品まで。




この巨大洗濯ばさみは、木工系の品物を作っている会社の展示だったと思います。




実に多様なものが並んでいて、どれも実用品と紙一重的なものなので、面白いんだけど、ま、インパクトは薄いです。

新旧取り混ぜて展示されていた自転車。




自転車も、ひどく工業作品なんだなぁ、と新鮮でした。特定の自転車にはまる人がいるのがよくわかるような、楽しいモデルがたくさんで、また自転車ライフに戻りたいようなきになりましたよ。

今の家に移る前は、不便な場所だったんで、自転車なしでは生活できない状態で、通勤も買い物も映画に行くのも、市内の生活は基本が自転車でした。今の家に引っ越したとき、自転車も持ってきたのですが、そういえば、裏庭に放置したまま、とうとう一回も使うことなく、既に6年?朽ちてるんでしょうねぇ。いつか、アパートの人に、放置状態を起こられるのじゃないか、と時々思うのですが、結局いつも忘れてそのまま…。

古い印刷機が並んでいた一角は、ちょっと目をひかれました。




まずは、スペリング、間違ってるよなぁ、というとこ(笑)。Print is deadですよねぇ?
印刷機って、お洒落。活字もかわいい。
でも、デジタルの世の中では、もはや、死物ですよね。
レコードやカセットテープはまだ生き残っているようですが、これはもう無理でしょうねぇ。
こういう器械の歴史を見るにつけ、自分の世代って、本当に驚くほど、世の中の物品に変化があったんではないか、としみじみしてしまいます。アナログを知らずに育った世代って、いるんですもんねぇ。わたしの子供時代は、ガリ版刷りとかそういう時代ですからねぇ。恐ろしいです。

いずれにしても、地味な、ある意味とてもサローネ的な展示でした。
毎年少しずつ新しくなる展示スペース。今回はお向かいのスペースも広く使って、まるで蚤の市みたいな展示になっていました。

なぜか、テーマが「磨きデザイン」。




おそらく、実際に販売もしている品物がたくさん。




この、猫のイラストが入っている大きな陶器のボールは、とってもほしかったのですが、残念ながら、作家さんも誰もいなくて、どうしようもありませんでした。作家さんの名前だけ控えて、自宅で検索したら、エミリアの方とわかり、あれよという間にフェースブックで友達になりましたとさ。いつか、アトリエに行ってみたいものです。
こういうとき、ネットの世界って、本当に便利。でも苦労しない分、情報に重みがなくなるって言う弊害もありますね。すぐ忘れちゃうし。わたしだけか。

日本からの品もありました。これは美しかったですねぇ。




シルクの織物、いや、刺繍なんですかね。繊細な布ですが、これをアクリル・グラスの間に挟んで、硝子として使うという提案をしていました。いわゆるすりガラス的に使おうという発想だと思いますが、品があって、なかなかよいマテリアルではないかと思います。引き合いがあったらよいのですけれど。

もうひとつ、日本からの品物で、すっごく驚いたもの。




かまど~?
確かにかまどだけど、こういうのって、確か。




へっつい!
商品名は、イタリア語的にこへっつぃ(Cohezzi ?)!「へ」は発音しないので、イタリア人的には、コエッツィになっちゃいそうだけど~。
いや、イタリア人どころか、へっついなんてもの、というか言葉だけでも、いまどき、知っている人は少数派なのでは?わたしは、落語好きなので、へっつい幽霊?三木助さんね~、みたいな調子で、普通な響きで受け止めちゃいますが、知らないですよねぇ。
それはともかく、ポータブルへっついなんて商品があったことに驚きましたし、それを海外に持ってこようというのは!
実際、このメーカーさん、相当力を入れていて、イタリア人の係員を置いて、パンフレットも大量においていたんです。係員の方は、イタリア人につかまり続けていて、お話を聞くことは出来なかったのが、とっても残念でした。

最後に訪ねた場所は、去年は開放されていなかったスペースでしたが、ギャラリーになっていました。
そこで、ドゥオモ脇の王宮で、3D体験をした人の絵とご対面。




おお~、あの浮遊感が蘇るような絵です。

駆け足ですが、一通り、それなりに楽しみました。
最後は、産直市場でお買い物、というおまけつき。




ここのスペースの一部で、毎週土曜日に、市場が開かれているようです。サローネだろうがなんだろうが関係なく、野菜やパンやチーズ、ワインや蜂蜜など、ミラノ近郊農家が、直接販売している市場です。




お昼に食べられそうなものを探したところ、なんと「飲める卵」発見!
つまり、生食オウケイです、という卵。養鶏農家の直売で、採れたてと言うことでした。嬉しくて四つ購入。日本では、白いご飯にかけて食べるのよ、というと、びっくりしていました。想像もつかないんでしょうね。
帰宅して、すぐご飯をたいて、何十年ぶりの卵かけご飯。美味しゅうございました。

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  1. 2016/05/04(水) 06:27:27|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

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卓上「へっつい」は在りませんが・・・・

我が家には、御飯釜は2合焚きを持って居ますよ!
  1. 2016/05/04(水) 02:12:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

卓上へっつい、どこで売ってるんでしょうねぇ?っていうか、誰が買うんでしょうねぇ?
せめて、へっつい、ご存知の方がいて、よかったです。

わたしは、鍋でご飯たいてます。結構うまいもんです。
  1. 2016/05/04(水) 22:05:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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