サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その21
ドリアノーヴァDoglianovaで出会ったガイドさんに勧められ、もう終了したかった一日が、さらに延びてしまいました。向かったのは、セルディアーナSerdianaです。地図で見るとわかるのですが、この二つの町は、とっても近いんです。
普通に行けば、多分車で15分くらいの道のりだと思います。
実際、ナビに従って走っていたら、あっという間に町にはたどり着いたのです。その上、ありがたいことに、町に入ってすぐ教会の表示があったので、それに従って進んで、あと数分、というところまで超順調。でも、わたしのことですから、それで終わるわけもなく、いきなり不具合発生!
まっすぐ進みたいのに、なぜか警官が、わたしの行きたい道を封鎖していたんですよ~。ちくしょ~、と思いましたが仕方ありません。日暮れも近く、とにかく時間がないので、理由を聞いている暇もないんです。
で、左折して、そのまま大回りすれば、元の道の先に出るだろうと思ったのに、町が小さいので、外に出てしまい、幹線を走る羽目に。
なんとか路肩に停止して、旅のお供であるメモ帳を取り出し、事前に調べたデータをひっくり返して、目標となる道をナビに入力。
多分、5分程度のうろうろだったと思いますが、日暮れがひたひた近寄ってくるのが肌でわかる時間ですから、焦っていて、感覚的には30分も迷っていたような気分でした。
幸いにも、なんとかまた、教会の表示に出会い、道なりに進むと、あっという間に町を出て、オリーブ畑に突入です。もう17時近く。日暮れたら、灯りひとつない真っ暗闇になりそうな道です。
実は、この前日、宿に向かう道が真っ暗闇となってしまい、それなのに、おそらく地元民の車にばんばんにパッシングされて、とても怖い思いをしたものですから、日暮れが非常に怖かったんですよね。大体、ミラノに暮らしていると、いくら遅くなっても、灯りひとつない真っ暗闇の道を走るなんて事はないですからね~!
しかし、一本道ですから、そこを進むしかありません。ひたすら進む。ひたすらオリーブ畑。入り口に、教会の表示があったのですから、間違えであるわけはないのですが、5分も走ると不安になります。もう少し、もう少し、と祈るような気持ちで進んでいくと、やっと、視界が開け、それらしい場所にたどり着けました。
こんなそっけない表示が、地獄に仏状態、後光がさしているような…。大げさでもなかったです、このときは。
そんな必死の思いでたどり着いたのは、サンタ・マリア・ディ・シビオラ教会Chiesa di Santa Maria di Sibiolaです。
表示のある場所に車を置いて、小走りで駆けつけました。
当然のようにクローズですが、もう出会えたことが嬉しくて、開いてようが閉まってようが、そんなことは二の次です。
ぜいぜいしながら、改めて、ファサード。
か、かわいい!
なんでしょう、このかわいさ。
何で水色の石なんかがはめ込まれているんでしょう。レンガ色の入り方も、妙に現代アートっぽくて、おしゃれだし!本来なら、イスラム世界からたどり着いたお皿がはめ込まれていただろう穴ぼこすら、お皿はなくなっているのに、いいアクセントになっています。
それにしても、よく見ると不思議な。ほぼ真四角状態のファサードで、でも、シンメトリーな構造じゃない。
二つある扉は、大きさが違うし、扉上の窓も、一連と二連。
唐突な感じではめ込まれた石のはめ込み細工的な装飾。
後付なのかなぁ。でもこの花モチーフは、最近訪ねたモンテピサーノのピサ様式教会で多く見られたもので、ピサっぽいのかと思えます。
遠目では水色に見えた石色が、結構黒い御影石みたいな石であることもわかりますね。
気持ちは焦っているのですが、とにかく最低限の時間で、余すところなく見なければ、と落ち着こう落ち着こう、と言い聞かせながら、周囲を観察です。
左に回りこむと。
ファサードとは違う石なのか、または処理が違うのか。サイズが小さいから、違うものになっちゃうんですかね。
そして、壁にくっついて、小人用みたいな小さい階段が!
これは、登りたかったです!柵も何もないし、気持ち次第でした。でも、とにかくまずは全体を見ないといけないし、時間がないんです~!もう17時ですから~!そして、この教会を取り囲む、灯りひとつないオリーブ畑を、結構な時間走らないと、幹線に乗れないんですから~!
とは言え、この写真を見ると、改めて、残念だったと思います。
アーチの根元には、地味ながらフィギュア装飾が彫られています。
これも、じっくり見ている暇ないので、一通り撮影しただけです。
そして、後陣。
そりゃ、ファサードに二つ扉だから、論理的ですが、それにしても二つ後陣とは、珍しいですよねぇ。
ファサードでは、向かって右側の扉が大きかったのと呼応して、大きい扉側の後陣が、若干大きいですね。内部は、二身廊になっているんでしょうかね。見たかったな。
現在は、ファサードの扉ではなく、南側にある扉が、使われているようでした。
そこに、簡単な説明版が置かれていて、構造がわかるようになっていました。確かに二身廊です。
ちなみにこの教会の最寄は、セルディアーナという町ですが、教会の名前は、シビオラのサンタ・マリア教会。この教会創建当時は、実際にシビオラという町があったそうなのですよ。今はオリーブ畑だけで、町があったという痕跡は、この教会だけ、というあまりにきれいさっぱり状態。サルデーニャは、特集の最初の頃にちょっと触れましたが、本当の中世時代とは異なり、小国が群雄割拠ではなく、島全体が、比較的大きな州のような地域に分割され統治されていたので、たとえばドリアノーヴァとセルディアーナが戦う、というような構造ではなかったと思うのですが、ではなぜ、ひとつの町が、教会だけを残して、痕跡ひとつなく失われてしまったのか。ちょっと興味深いものがありますね。
自然災害なども、ありそうもない土地ですよ。
不思議な気持ちになりますね。
夢の跡的に、豊かな緑に囲まれて、一人ぽつんと建つ教会。
12世紀からずっと、ただ一人、地域の歴史を見てきたのですね。うっとりします。
ロマネスクが好きな理由は、一杯ありますが、古木を愛でるような、千年前に、あなたは既にそこにいたのね、歴史をずっと見ていたのね、という視点への憧れみたいなものも、そのひとつです。
先史時代や古代は遠すぎて、わたしの貧しい想像力ではついていけないところがあるのですが、今の時代にもつながるものが多くある中世くらいって、教会を取り巻く環境というのも含めて、ちょっとは想像しやすい分、うっとりできるというか。
まぁ、そんなわけで、非常によい教会、そしてロケーションで、今からなら間に合うから、とにかく急いで行きなさい、と勧めてくれたガイドさんに大感謝、ということとなりました。
幸い、幹線道路にたどり着くまで、日は続き、暗闇のオリーブ畑ドライブは避けることが出来ましたが、宿に戻りついたのは前日同様で、またもや暗闇の田舎道を恐る恐る辿ることとなってしまいました。
冬の旅は厳しいですね~。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/05/13(金) 06:07:05|
- サルデーニャ・ロマネスク
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| コメント:6
遺跡好きな人の「古代への浪漫への想い!」は同じなんだなぁ~
と、思いながら・・・・・読ませて戴きました。
夏の日照時間を知って居るだけに、冬場の日没の速さは・・・・
日本からの観光旅行は夏場がお勧めですね!
外階段!
何とも言えない良さが在りますね。
毎度の事ですが・・・・・
昔の石積みは、石好きには堪りませんね?
- 2016/05/13(金) 02:50:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
- [ 編集 ]
山下さん
浪漫、それはありますよね。
わたし、現場ではうっとりするだけで、深く考えている余裕はないんですが、後から写真を見ていると、次々、いろんなことを知りたくなります。
そのためにも、こうやって、振り返って記録することは、色々考えるよすがとなりますね。
結局、ちゃんと調べないまま終わることの方が多くても…。
- 2016/05/13(金) 22:34:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
- [ 編集 ]
私もこの階段、登るなあ…(=゚ω゚)ノ。
パステルカラーのレンガが素敵です。
本当にポツンとありますね。ガイドさんから話を聞かなければいかなかった場所だから導かれて日本にも紹介されて不思議なご縁ですね。
- 2016/05/13(金) 22:50:00 |
- URL |
- まーたん #79D/WHSg
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まーたんさん、そうですよね。
登れなかったのが、すっごく残念。本来の気持ちでは登りたいけど、とにかくあの暗闇の怖さは…って言うところ。自分、暗闇、ほんとに苦手みたいで。
- 2016/05/15(日) 22:43:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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こんばんは、相変らず魅力的な記事が並んでいますね
今夜はお写真を中心に拝見しましたが(文章は後日拝読させていただきます)、この階段気に入りますよね
・・・・・なんともチャーミング
それにしても、滑りそうですし、実際はもっと危険な感じかしら
高所恐怖症気味の私でも、頑張りたかっただろうなぁ・・・と思います
全体のかたちも物語が詰まった小さな館のようです
- 2016/05/25(水) 15:10:00 |
- URL |
- poetryfish9 #79D/WHSg
- [ 編集 ]
> poetryfish9さん
こんばんは、ご無沙汰です~!
お忙しい中訪問いただき、コメントまで、ありがとうございます!
あの、階段。本当に心残り…。また行くチャンスはあると思うのですが、次に行ったときは、もう鎖とかでクローズされていることもあり得ると思うんですよね。やはり、早いうちに、もう一度、行かないといけません。
物語が詰まった館。素敵な表現です。イタリア語で小さな宝箱のことをスクリーニョというのですが、まさにスクリーニョっていう感じの建物です。ああ、中も見たかったなぁ。
- 2016/05/25(水) 22:05:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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