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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

もしかして、ローマ人の浴場への執着がこんなところに?ボナルカード。

サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その24

次に向かったのは、ボナルカードBonarcadoのサンタ・マリア教会Chiesa di Santa Mariaです。このあたりも、かなり狭い地域に、ロマネスク教会がたくさんあります。このボナルカードは、その中心的な教会で、サルデーニャ・ロマネスクを語る際、必ず取り上げられているようだったので、期待度は高かったのです。

それにしても、山、までは行かないまでも、坂道の連続で、町も全部坂道。特にこの教会は、町の高い場所にあるので、馬力のない自分の車だったら、たどり着く前にやめていたか、または町の低地に駐車して、歩いてアクセスしたかも。

そうやって苦労してたどり着いた教会ではありますが、第一印象は、結構ながっかり感。




こうして写真を見ると、立派だし、なかなかに美しいたたずまいではあるんですが、現場では、地味な色合い、地味な建築、苦労したのにこれかよ~!何で、そんなに評価高いんだよ~!という気持ちでした。

入り口のある南側も、なんだかとっても地味。




山が迫っていて、スペースに余裕のないファサード側。




この辺から、若干風向きが変わります。
微妙な色合いの石積みが、ちょっと魅力的だし、単純明快なアーチ使い。上部に行くにつれて切石の大きさが変わる工夫。これは、建築上の工夫である可能性が高いと思いますが、見た目の面白さや美しさもありますよね。
そして、北側の壁。




南側に比べると、ごつごつしていて、素朴さが際立ちます。そして、レンガではめ込まれた大きなアーチ。なんだろう、これ?修復の印でしょうか?
むくむく興味が湧いてきます。
で、入場。




あ、やっぱりめちゃめちゃ地味だった~!
天井が木製のままなのが、往時の雰囲気をよく残していますが。

気が付いたのが、構造の不思議なこと。側廊がありそうなのに、後陣側だけあって、ファサード側は、ないんですよねぇ。上の写真でも、手前は、アーチが壁で閉ざされているのがわかると思います。
後陣からファサード方向を見ると、ほら、右側、壁になっています。




これが、外の、埋め込みレンガアーチと呼応しているのかな。
後陣側は、普通に三身廊が期待される構造で、確かに内部もそうなのですが、ファサード側は、側廊がカットされているという構造なんですね。




こんなの、珍しいですね。
今更、現場に建てられた説明版を読んでいると、この教会、元は修道院の教会で、12世紀なったばかりの頃の創建ですが、今の形になったのは、13世紀のこと。このときに、ファサードと反対側が伸ばされたので、今ある後陣は、13世紀のものなのだそうです。元の教会は、おそらく手前側の、つまり三身廊になる手前だけの小さなものだったらしい。よく見ると、石も全然違うんですよ。13世紀部分は、より黒っぽい石で、それ以前はピンクとか強いんです。なるほど~。

一帯の、全体構造は、こういう感じ。




教会の上に描かれえた四角部分に、修道士たちの生活場があったようです。今でも一部残っているらしいですが、わからなかったです。って言うか、気にしてなかったんですけど。右側の方にある小さいのは、この後、紹介します。

こういうこと、ちゃんと現場で読めば、もっときちんと写真も撮れるのに、どうも、現場でじっくり落ち着いて読むことが出来ない…。これは改めないと、損しますよねぇ。

さて、その小さい構造物。これはかわいらしかったです。




ボナルカードのサンタ・マリア礼拝堂Santuario della Madonna di Bonarcado。
オリジナルは、真ん中の十字型部分で、6世紀の建物です。もともと、2/4世紀、ローマ時代の浴場のあった上に建てられた礼拝堂で、そのあとが、今の後陣部分に当たるようです。8/9世紀に、既に崩壊しつつあったその構造物が、他構造をくっつけられて、屋根もつけられて、再使用されるようになり、最終的には、お隣の教会と同じ13世紀に今の形になった模様です。

頭をどっかに打ち付けないように、身を縮めるようにして、中に入りました。
中央部のクーポラ。




小さいけれど、ちゃんとクーポラ構造で、とてもかわいらしいです。石色もきれいです。
こちらが、後陣的な場所となるのかな。




解説に寄れば、おそらく、ローマ時代熱い湯が満たされた浴槽。
なんとも不思議な構造物。浴場があったというけど、浴場、すごく小さかったんですかね。いや、こんな丘の中腹みたいな場所に、わざわざ平地があるのは、もしかすると、ローマ人が浴場を作ったからかも?だって、この教会の敷地以外は、相当の坂道なんです。ここだけ、こんな平地があるって、勿論自然じゃなくて、切り開いているはずなんです。
テルマエ・ロマエじゃないですが、あの人たちの浴場への執着は半端ないですからねぇ。




屋根に使われているのは、サン・ジョバンニ・ディ・シニス同様、ピンクのパステルみたいな素材ですね。

実際の位置関係は、こんな感じです。




手前の樹木の陰に見えているのが、礼拝堂の入り口となります。

修道院があって、その教会が独立して、それよりずっと以前からある建物が礼拝堂になって。つまり、神聖な場所だったりするし、水が沸いていたということでもありますね。神聖は場所って、そういえば、水がある場所なんですよね。なるほどなぁ。

などと妄想しながら、ボーっとしていたら、地元の小学生または中学生くらいの女の子がやってきて、通りがけに礼拝堂に一礼して、ちょっと中に入って、すぐに出てきて、もともと向かったであろう方向に去っていきました。
なんか、ドラマみたいでした。近所のお地蔵様やお社に、挨拶するのが日々の習慣みたいな?すっごく古い時代みたいな?そういえば、わたしに気付いて、はにかんだ笑顔で挨拶してくれて、あ、日本の田舎も昔はこんなじゃなかったかな~(田舎は今でもそうかな~)なんて、微笑ましい気持ちになりました。

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  1. 2016/05/17(火) 04:19:48|
  2. サルデーニャ・ロマネスク
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