サルデーニャ、ミニミニ修行旅、その27
シラヌスSilanusでは、再び石垣をよじ登って無事車に戻り、空腹ではありましたが、今更、町を訪ねる気もなくなったので、次の目的地に移動することとしました。 向かったのは、今回の短い旅の、最後のハイライトとなるべき町、オッターナOttanaです。
サン・ニコラ教会Chiesa di San Nicola。 事前に、町の中心の丘にそびえる教会、とあったので、坂道だったらやだなぁ、と相当ドキドキと用心して町に入ったのですが、実物を目にして、気が抜けました。 というのも、確かに町の、というより、村、といった方がよいような規模の集落ですが、その中心がちょっとした丘になっていて、その天辺にあるのですが、その丘はとっても小さくて、村のレベルから歩いても1分程度のものだったんです。 気が抜けると同時に、ほっとしました。
到着したのは、14時ごろ。当然という感じで、扉は固く閉ざされていました。 事前調査時に、関連の電話番号を控えてあったので、電話してみると、毎日午後は、15時半から開きます、今日も同様です、ということだったので、心穏やかに、まずは腹ごしらえに出かけました。 ランチについては、別途番外編に書くことにします。
のんびりと戻って、まずは外観をチェック。 ここは、本当に楽しみにしていた教会ですが、確かに美しいです。
丘の上にあるため、見た目がかっこいい!ファサードも、地味ながら、ロケーションにピッタリな印象的な作りです。特に、石色の並びがいい感じです。
ピサ様式のバリエーション。アーチの感じも、陶器のお皿がはまっていたであろう穴も、ひし形も、ばっちりあるべきようにあるっていう感じ。そして、こういう色石の使い方は、このときは、まさにサルデーニャの特色、と思っていましたが、実は、春先に訪ねたピサ近郊のモンテピサーノ地域でも、同様に、色石を多用している教会を多数目にして、大きな枠組みで、ピサ様式の特色なのだと理解しています。 おそらく、ピサ地域では、石の種類が豊富なんでしょうね。大理石のカッラーラCarraraもあることだし、火山岩やらなにやら、地質学的に、面白い土地なのだと想像します。
グレーっぽい石中心のベースに、オレンジやピンク系の石が、ちょん、ちょん、とアクセントのようにはめ込まれて。なんとも言えないセンスを感じますね~!
北側の壁。
大好きなつけ柱がありますが、ここでは、つけ柱よりも、石に目が奪われます。装飾的な要素は、ほとんどないのに、華やかです。 南側には、不思議な構造物が付いていました。
壁の奥の方(後陣側)ですが、つけ柱があったであろう場所が、変に凸凹しています。
後付けの構造物が崩れたのでしょうか。不明です。 それよりも何よりも、閉ざされている南側の扉に、野良猫がのんびりとくつろいでいるのが、目に留まりました。
いやん、かわいい! 気づくと、教会周りの塀のところにも。
こちらに、積極的に寄っては来ないので、人に慣れた家猫というわけではないと思うのですが、逃げることもないので、村の人々と付かず離れず、共存している半野良半家猫というところでしょうか。ランチの後、くつろいでいる感がありました。 そういえば、どこでも結構猫を見たように思います。ロマネスク教会には、猫が似合いますね~!
15時半には開くということだったのですが、結局鍵の人が来たのは、16時半ごろ。ミサのために開ける、ということだったようで、三々五々、村の人々も集まってきました。慌てて、内部に突入です。
外部構造そのままに、一身廊背高縦長構造です。
かなり地味ですが、目的は、右側にある説教台。
近づいても、やはり地味です。よーく見ると、柱頭に、かなり稚拙、といってよい、このような彫り物はありましたけれど…。
見逃しがないように、一応指さし点検しましたが、ミサの準備も始まっているし、何となし落ち着かないので、早々に退散。もう一度外部をぐるりと点検。 見ても見ても地味ですが、やはり、ここは、構造や石の美しさを楽しむ教会なのだと実感。
地味なりに、ピサ様式の良さが迫ってきませんか。
とてもいい建築だと思います。 とにかく、ロケーションが素晴らしいですからね。そして、こういったディテールのち密さが、全体の完璧なプロポーションになっているんだと思うのです。
いくら見ても、なお後ろ髪を引かれる思いですが、そろそろ先に進まないと、という時間になりました。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2016/05/26(木) 05:57:23 |
サルデーニャ・ロマネスク
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