アルト・アディジェ、春のグラッパ合宿その3
ドロミティの懐に入り込んだのは、この蒸留所を訪ねるためでした。
Zu Plun
St.Valentin 9, Kastelruth
www.zuplun.it
ドロミティはシウジの、素晴らしい山が見晴らせる、実に絶好のロケーションに、自宅(たぶん)兼蒸留所がありました。
建物も、昔ながらの木造建築で、結構時代が入っています。
倉庫みたいな蒸留所は、妙にオサレ空間。
ご当主がお留守ということにも関わらず、門は快く開けてくださったのですが、驚くことに、接客に出てきてくれたのは、息子さん。
あろうことか、現役高校生、17歳!それも、かわいい!
しかし、しかしですよ、アルコールを摂取してはいけない年齢の子供に、グラッパの説明をされるとは~!許されるのか?
それはともかくとして、そういうサプライズも含めなんだかちぐはぐな蒸留所ではありました。
この蒸留所、蒸留所近くでホテルを経営しているということで、実はそれを知って、わざわざそのホテルを予約していた我々。喜ぶかと思い、早速、今夜はホテルに泊まられてもらいます、と言ったところ、「あれは、2年前に売却して、今は、もともと父親が趣味でやっていた蒸留一本です」と。ガーン。
そのホテル、高かったんですよ。でも、蒸留所のホテルなら、食事もよいだろうとか、いろいろ特典もあろう、とか、そういうことを考えたりして予約したのに、端から無意味に!
その上、なんだって?趣味でやってた蒸留所を、それだけで食べていこうと?
うーん、なんだか胡散臭いんじゃないか?
とにかく試飲だ、試飲。
ということで、他の蒸留所同様に、地域のブドウ種によるビアンカから、バリックしたリゼルバまで、一通り、飲ませてもらいました。
しかし、どれをいただいても、アルコール度40度とか信じられないくらいにがつん!と来るのでびっくり。製法として、「砂糖を使わない、混ざりけなしで作る」、ということを自慢していたんですが、砂糖は、アルコール感を和らげて、飲みやすくする作用を担っているようなんですよね。この前に訪ねた蒸留所でも、砂糖はできる限り少量しか使用しないとおっしゃっていましたが、その少量が、味わいを、気が遠くなるくらい違うものにするらしいです。
ということが、わかりましたね。
グラッパは、ワインなどに比べると、製法の規制がゆるゆるですが、数少ない規制の一つとして、砂糖は、20グラムまで使うことができるというものがあるそうなんです。何リットルに対して20グラムだったのか、忘れちゃいましたけど、笑、この前に訪ねたPilzerでは、3グラム使うとおっしゃっていましたね。
使え、どんどん使ってくれたまえ、と思ってしまいました。
口に含んだ時、まずアルコールがつんでは、ブドウの味わいや香りを感じることもできないです。まぁ、これも好みということなんでしょうか。
ここの製品は、その上に、お値段も高めで、ちょっといただく気になれず、1本も購入できず。唯一いいと思ったのが、上の写真の左端に写っている黄色いやつ。
これ、ウィリアムズと、なんだったかなぁ、レモンか?柔らかくて飲みやすくて、これはいけましたが、まだ製品化していないということでした。製品化するとしたら、30ユーロくらい、と言っていたので、いずれにしても、購入は見送ったかも、だけど、アフターに残る香りが、とてもよかったです。
お父さんが趣味で始めたという割に、このぼくちゃんは、かなりやる気みたいで、将来は期待できるかもね。農業高校に通っていて、跡継ぎ意識、すごかったです。若いのに、すごいなぁ。
もひとつは、メラノ近郊となるマルレンゴにある、おなじみの蒸留所です。
住宅地にある蒸留所。
Distilleria Unterthurner Srl
Via Anselm Pattis / Anselm Pattis Strasse 14, Marlengo/Marling (Merano/Meran)
www.unterthurner.it info-dist@unterthurner.it
おなじみといっても、昨年初めて訪ねたんですけれど。
昨年は、クローズ直前に滑り込みだったんで、それでも親切なお店の人は、嫌がりもせず試飲はさせてくれたんだけど、やはり気がせくし、申し訳ないしで、結局落ち着かないままに1本だけ買って帰ったのです。
今回は、昼前の余裕の時間でしたから、まずはゆっくりと店内を見る時間もありました。
品ぞろえは豊富です。グラッパのほかに、瓶詰の食品も、結構いろいろ並んでいるお店です。
去年もお世話になった女性が、早速試飲を用意してくださいました。
ここでは、迷わず果実を所望しました。この店、果実のアクアヴィテの種類が、半端ないんです。おすすめ通りに試飲します。右から、野生のプルーン、Gewurtraminerのグラッパ、野生マルメロ、野生の梨。すべてビアンカです。そして、正直、すべておいしい…!
この方が、接客をしてくれる女性。お名前は、失念してしまいましたが、とにかくエネルギッシュで、自分たちの製品を愛していて、プレゼンテーションも客あしらいも、満点です。
バリックしたプルーンと、やはりバリックしたラズベリー。ラズベリーは、口中に香りが広がって、グラッパというより、果物そのものという感じ。
ラズベリーは、違いを味わうため、あえて、ビアンカも試飲させてくれたのですが、ビアンカの方が香りは強いけれど、味わいはボケる感じで、これは、圧倒的にバリックの勝ちでした。
結局、最初に試飲させてもらったビアンカの中から、マルメロ、梨、そしてGewurztraminerのグラッパ、と3本を購入しました。どれも20ユーロ前後で、お味から行くと、お買い得感が高いです。それに、うれしいことに、ミニマムボトルを、お土産に3本もつけてくださいました。
今回の合宿から戻ってすぐ、昨年購入した1本、それはラグラインのビアンカだったのですが、すぐに開栓してしまいましたが、やはりおいしかったです!
今回、グラッパ蒸留所は、これでおしまい。最初に書いたように、途中車のトラブルに見舞われたため、時間がなくなってしまったのです。
でも、6本の購入は、半年分としては、ちょうどよい分量なので、たまには、これでよいでしょう。
ただし、おまけがあります。
Puni Distillery
Via Muhlback 2, Glorenza, Val Venosta
イタリア唯一らしい、ウィスキー蒸留所です。
木とセメントを組み合わせた不思議な建物は、ちょっと日本の建築家の作品では?と思わせるたたずまいですね。
何もない田舎に忽然とあるので、ひどく目立っています。
見学ができないことはわかっていたのですが、試飲はさせてもらえるということで、わざわざ訪ねました。スイスとの国境にもかなり近い場所で、数年前南チロルのロマネスク巡りをしたときにも、通過した場所です。
ウィスキーについては、まったくわからないのですが、なかなかおいしかったです。ただ、高すぎで、とても手が出ません。っていうか、同じ値段なら、スコッチ買うかな、ってところです。
団体客を多く受け入れているせいもあるのか、接客のお姉さんは、とっても感じがよかったです。
ドイツ語圏の人なので、イタリア語は下手でごめんなさいね、ということでした。南チロルでは毎度のことですが、ここがイタリアであることを、簡単に忘れることができます。不思議な土地ですよね。
ということで、今回の蒸留所巡りはこれでおしまいです。
収穫が少ないのは、やっぱりちょっと寂しいけれど、これまでためにためているボトルを、少しは整理できるかもしれません。
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最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/06/10(金) 06:23:45|
- グラッパ
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| コメント:4
ドロミテの山塊は素晴らしいですね!
グラッパは詳しく判りませんが・・・・・・
一度戴いた器が素晴らしいので、記念に取って在りますが・・・・
ウイスキーを入れるつもりで、ラベルを剥がしてしまいました。
- 2016/06/10(金) 06:01:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
- [ 編集 ]
山下さん
ドロミティは、本当に美しいんです。土地としても、文化はドイツ系で、いろいろ正確な上に、食事はイタリア料理という理想的な環境ですよ。
そうそう、グラッパの素敵な器、おもちでしたよね。
イタリアのウィスキー、どうなんでしょうかね。
気候も、関係ありますよね、おいしいお酒には。ウィスキーにイタリアの気候。どうでしょう。
- 2016/06/10(金) 22:00:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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> corsaさん
水清く寒冷地!と言う条件の所が蒸留所には多いようですね?
ドロミテの山麓と言う条件は、良いのではないでしょうか?
イタリア製のウイスキー、その存在すら知りませんでした。
このブログの画像のモルト・ウイスキーの文字を見て驚いたんですよ!
- 2016/06/11(土) 02:38:00 |
- URL |
- 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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山下さん
お返事遅れました。
そりゃ知らないですよ~、イタリア製ウィスキーなんて。そもそも、この蒸留所、生まれてから、たいして時間たってないので、つい最近製品が出たってとこです。
商売になるのかなぁ、と不思議ですが、ドイツ人が多く来る場所だけに、スコットランドはいけないけど、ここなら、という需要があるのかしら。見学者、かなり多かったです。
- 2016/06/15(水) 22:08:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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