2015.07.スペインの旅、アラゴン編、その4
ロアーレ城を訪ねた日は、ふもとの村アジェルベAyerbeに泊まりました。ここはその昔訪ねた時、お茶をしたバールで、日本語で話しかけられてびっくりした記憶があります。でも、宿泊もしなかったので、記憶は相当薄く、夕食に出た際に、ちょっと歩いてみましたが、どのバールだったか、定かではありませんでした。
この街には、明らかな中世の名残は見つけにくいのですが、住宅街に埋もれるようにして、ロマネスク時代の塔がありました。
サン・ペドロ参事会教会Colegiata de San Pedroという教会があったようですが、教会は、後代に住宅に飲み込まれるようにしてその姿すら消してしまい、今は、この塔だけが残っているということらしいのです。 そういう中で、よくこれだけでも残ったものよ、とは思いますが、近づいてみると、修復も激しく、往時の雰囲気を感じるのは難しかったです。
それでも、ちゃんと説明版があるのは、村としては、大切にしている、ということなのでしょうが、それにしても妙におかしかったのは、説明版の位置。
きっと、車の通行なども考慮して、なるべく余計なスペースを取らないように、ということなんでしょうが、結構なサイズの説明版なのに、壁との距離が近くて、大変不具合でした。
眠るためだけに宿泊したような町で、ホテルもしょぼかったのですが、ラッキーだったのは、ホテルの方が、ロマネスクに詳しかったんです。 さび付いたスペイン語ではありますが、それでも何とか頑張って、いろいろとお話を聞くことができました。 そのおかげで、翌日、立ち寄ることができたのが、近所にある、こちらの教会。
サンタ・マリア・デ・コンシリオ教会Iglesia de Santa Maria de Concilio。
北に向かう国道沿いの、左側の谷を下りたところにコンシリオの村があり、反対側の高台に、この小さな教会が佇んでいます。 早朝だったので、朝日がサンサンで、道側からは、完全な逆光写真になってしまいました(道の反対側、つまり教会の北側からは、撮影場所がなかったのです)。
コンシリオの村は、今ではたったの7世帯だそうですが、かつては、もっと大きな町だったのが、火災か何かがあった結果、そういう風になってしまったとかいう話だったと思います。 村のおじさんが、朝のお掃除中だったので、また、お話を聞くことができた上に、こんな田舎の小さな教会なので、開いていることは全く期待していなかったのですが、ちゃんと中に入れたんです。
と言っても、アーチ構造が残されているものの、漆喰ぬりぬりなので、閉まっていたとしても、後悔するほどではなかったのですが、でも、見られないと、そういうこともわかりませんからね。 とはいえ、実はここ、フレスコ画があったんです。新旧聖書の物語が、信者に対して教育的に描かれていたそうですが、スペインありがちのパターン。美術館展示に持っていかれちまったと。
で、後日、その本物に、ハカJacaで御目文字かないました!
ちょっとわかりにくいですね。1300年ごろのものということなので、私の好みの時代よりはずいぶん後です。
ロマネスク的には、外観に注目です。
やけにすっきりした後陣ですが、スペイン・ロマネスク好きなあなたなら、もう予想しているでしょうね。そう!おなじみの軒持ち送りCanecillosです。
数は少ないし、サイズは小さめですが、かなりよく残っています。 上は、あえて小さめサイズでアップしますが、エロティック系ではないかと思います。
好みの変な動物の変な形も。
こちらは、頭180度ぐるりの不思議な姿勢の、変な奴。お尻の感じは、やはりエロスを示唆しているんでしょうかねぇ。
なんか、どれも愛らしいとは言いにくいんだけど、石工さん、表現力あるなぁ、と思わされる作品ばかり。手が似ていますから、同じ棟梁が彫ったものだと思います。やはり当時の彫師は、モチーフを考えてなんぼっていうとこもありますねぇ。簡単じゃないと思うんです、こういう限られたスペースで、いろんなフィギュアを多種作り出すのって。
というわけで、幸先の良いスタート。 この後も、次々と見ごたえのあるロマネスクに出会って、場所が場所だけに予期はしていましたけれど、それにしても、という忘れがたい日となります。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2016/07/05(火) 06:48:34 |
アラゴン・ロマネスク
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