久しぶりのヴェローナ・バッサその1
前回、ヴェローナ近郊での素敵なお食事を記事にしましたが、ヴェローナに滞在した主目的は、ロマネスク巡りです。今回は、私が勝手に師と仰ぐ方とご一緒だったので、一人で回るのとは違った楽しさがありましたが、やはり若干修行が入っていたかな。
師匠のサイトは、以下となります(うまくリンクが貼れてなかったらごめんなさい)。
ヴェローナ・バッサ地域は、数年に一度ペースで、少しずつ回っているのですが、いまだちゃんとページにまとめていない、つまりきちんと勉強していないこともあって、記憶からいろいろ抜け落ちてしまっていましたので、今回、ちょうどよい復習のチャンスとなりました。
最初に訪ねたのは、後陣の美しいこちらです。
サン・ボニファチオの、サン・ピエトロ・ディ・ヴィッラノーヴァ教会San Pietro di Villanova di San Bonifacio。 高速降りてすぐ、という立地にも関わらず、まるで何もない草原に佇むような雰囲気ですが、これ、後陣側に広がっている、この緑のスペースのおかげで、周囲は、高速に通じる幹線道路が走っているので、全然孤高でもなんでもないんですよねぇ。 以前訪ねたのは、5年ほど前のことですが、この教会については、ロケーション、そして、この印象的にでかい塔が、よく記憶にありました。
ファサードは、この地域によくある、白い石とレンガの縞々模様となっています。
これまた、この地域ではありがちですが、いろいろと後代に付け足された装飾がごちゃごちゃとしていて、パッと見、ロマネスクのテイストが薄まっているんですよね。 そしてまた、どこもその傾向が強いんですが、石とレンガの組み合わせが、微妙にきっちりとシンメトリックじゃないのは、果たしてどうしてなのか、不明です。
結婚式の準備中で、歌のリハーサルなどもしていたので、人の出入りが激しく、おかげさまで気楽に観光できました。後から気づいたのですが、撮影禁止だったようなのですが、まったく気にせずに、撮影しまくり。 ちなみにこの内装。オリジナルの建物は、イタリアらしい木製の天井だったのを、後代に、このようにヴォルトとして、漆喰を塗りまくったようです。今でも、高い部分で、オリジナルの木組み屋根を見ることができる場所があるとのことです。
高い内陣を見て、すぐ気づかれると思いますが、クリプタがあり、ロマネスク的には、この教会で最も素敵なスペースとなっています。
修復もされていますが、構造はオリジナルのまま、美しいクリプタです。 そして、ここには、私の大好きな、あれが…。
初めて訪ねた時、このロンドバルド彫り物については道だったので、出会ったときは興奮しました。やはりかわいいですよ。そして、非常によく残っています。なんとも言えない素朴なぐるぐる、クジャクも、足がおかしいのがまた、愛らしいです。 最近はまっている、消しゴムハンコのモチーフに最適です。
この祭壇わきに、かわいらしい紙製のハトがおかれていました。
これ作った人、すごいですね。めちゃめちゃかわいい! 本堂をじっくり見た後、教会右手の扉を出ると、そこはかつての回廊部分。この場所は、以前来たときは気づかなかったので、おそらくクローズされていたんだと思います。
回廊の、柱頭部分は、壁に埋め込まれて、建物の壁となっていますが、埋め込まれた柱を露出させているのが、面白いですね。
柱の部分は、きっと後付けでそこだけ見せるようにしたんだと思いますが、それにしても、柱をそのままに壁にするっていう発想は、乱暴というか、すごいです。確かに壊して作るより、簡単だし、強度も保てるみたいな合理性があるんでしょうけれど。
かつての修道院の雰囲気を生かして、ここは薬草園となっています。
おばさんが熱心に世話をしていました。どの株も小さいし、おそらく、比較的最近、こういう形にしたんだと思います。かわいいですし、様々なハーブを実際に見られるのは、楽しい。
すると、奥から出てきたおじさんが、せっかくだから、博物館も見ていきなさい、といきなりガイド・ツアーが始まりました。やはり、一人より三人でいる方が、向こうにもインパクトがあるのでしょうねぇ。
連れて行ってくれたのは、かつてあった修道院の、居住部分です。
おじさん、かなりの速足ですたすたと先導。撮影しながらの我々は、つい遅れがちで、慌ててついていかねばなりませんでした。 この廊下、木製天井には、びっしりと絵がありますが、相当傷んでいます。
もちろん、ロマネスクよりはずいぶん後の時代のもの。修復するべきだけど、お金がない、ということでした。 一方、台所だった場所の壁には、美しいフレスコ画が残されています。14世紀ごろのものらしいですが、漆喰に覆われていたために、このように美しい色のまま、残っているようです。
かつての、修道士たちのドミトリーでは、床の一部と、壁にくりぬかれたランプ用の棚だけがオリジナルということで、少し床フェチのケがある私としては、床。
古いといっても、14,5世紀でしょうかね。レンガなんですよ。この地域は、レンガ生産が盛んだったんでしょうね。
歩きながらいろいろと説明してくださるのですが、どうにも速足で、自分の説明が終わると、すぐに電気をぱちぱちと消して回って、どんどん先に進まれるので、ちょっと大変でした。 これが、かつての姿。
ここまでは、教会に関するスペースで、ありがたいと思ったのですが、最後に、いよいよ、ここが博物館だから、と鍵で開けていざなわれたスペースは、なんと、
化石の博物館でした! イタリアのあちらこちらで発掘された化石が、ずらずらとガラスケースの中に並べられていて、しかし、それが、なんだかすごいんで、あきれながらも、食いついちゃいました。おそらく、地域に研究者がいらして、コレクションが寄付されたとかそういうことなんでしょうけれど、それにしても、この巨大まき貝らしい化石は、どうですか?? こんなの初めて見ました。50センチくらい巻いているんですよ。
こっちは、葉っぱの化石。
これなんか、1.5メートルくらい?びっくりですよ。
いやはや、ロマネスクを見に行って、化石に終わるっていうのは、初めての経験でした。先史時代の遺跡ものまでは、結構ありますけれどもね。
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2016/07/10(日) 23:35:20 |
ヴェネト・ロマネスク
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| コメント:4
おはようございます
貝や葉っぱがこのサイズでしたら、恐竜たちだってバランス取れますね
(時代考証無視の発言です、許して)
紙のはと可愛いですねーーーー試してみたくなりますね
2016/07/11(月) 02:30:00 |
URL |
poetryfish9 #79D/WHSg
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> poetryfish9さん
やはり、そこに注目されましたか!笑。
紙のハト、どういう風になっていたのか、気になっているんです。実に愛らしいですよね。
2016/07/12(火) 21:15:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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山下さん
ロンゴバルドは、ローマの後、イタリアをほぼ統一した北方系の人たちで、その人たちの彫り物、私大好きなんです。スペインだとゴート族の彫り物が、やはり同時代で、やはりかわいいんで、当時、北方系の人たちに共通する何かがあったんでしょうねぇ。
修復は、お金と直結しているので、いろいろ大変なんでしょうね。本当にだめになる前に、何とかなるといいんですが。
2016/07/12(火) 21:17:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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