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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

どうしても自慢したかった12世紀の石工さん(ベルフィーレ)

久しぶりのヴェローナ・バッサその2

訪ねるルートも、5年前と、ほぼ同じだったかもしれません。次は、ベルフィオーレですが、しかし、ここにはびっくり。記憶が完全に欠落していたんです!
こんなに美しくて印象的な教会だというのに。




ベルフィオーレのサン・ミケーレ教会San Michele di Belfiore。

この後陣側にある駐車にちょうど良いスペースとか、全体のロケーションにかかわる部分が、きっと当時と変わっているに違いない、とすがるように、5年前の写真を見たのですが、違いは見当たらず…。本当に、ただ忘れ去っただけのようです。
もしかすると、すごく簡単にするするとアクセスできちゃったとか、そういうことですかねぇ。

ま、何はともあれ、美しいたたずまいの教会であるうえに、全体が、とても清潔にケアされているんです。

ここもまた、塔の縮尺が、本堂と比べると、おかしいくらいに大きいですが、その塔の右側が、入り口となっています。こういう風に鉄柵で囲われていると、開いてない場合、悲惨なことになるっていう典型的なたたずまい。開いててよかった!

北側壁に、入り口があったので、すぐ入場します。




すっきりと地味な本堂。やはり清潔感がびんびんです。お、柱頭が、ヴィッラノーバのクリプタと同じモチーフです。




ヴィッラノーヴァの方でも、オリジナルと再建が混じっていたように思いますが、こちらも同様です。これは、再建でも比較的簡単そう。
それにしても、この、ラングドシャっていうか、リングア・ディ・ガットというか、サヴォイアルディっていうか、その種のビスケットの縦置き並べ。
これは、他で見た記憶がないんですが、何を基にしたモチーフなんですかねぇ。イタリアだし、やはりサヴォイアルディ…のわけないか。

ちなみに、柱に刻まれた碑文、これは、覚えていました。




なんでこんなに忘れちゃったかというと、やはり、他の場所と違って、ヴェローナおよびその周辺部は、いまだにきちんとサイトにまとめていない、つまり、後付けで勉強していないせいもあるかと思います。もう半分すぎちゃったけど、今年の目標にします。

この碑文は、石工さんが、自分の仕事が相当誇らしかったのか、名前入りで刻んでしまったものらしい、12世紀のもの。もとは、彫ってはみたけれど、ちゃんと、漆喰で塗りこめたりしたのかもしれませんね。というのも、ここの柱には、フレスコ画が施されているので、本人が塗りこめなくても、塗りこめられちゃった可能性大。
いや、まさか、内陣に最も近い柱に、こんなもん、残せるわけないですよね。

フレスコ画は、ちょっと時代が下りますが、一部きれいに修復されていて、かわいいです。




こういった修復のお金も集めて、キチンと再建や修復をするだけあって、この教会って、地域で愛されているんだと思うんです。
実は、我々が見学している最中に、一人、ふらりと入ってきて、しばらく隅の方の椅子に腰かけて、頭を垂れている男性がおりました。比較的若い方でした。それで、思い出したのは、5年前に訪ねた際にも、見学中に、一人、二人と、信者さんがふらりとやってきては、頭を垂れて祈っていく姿を見ていたのです。

教会って、夏は涼しいから、もしかして、ジョギング最中に一休み、程度のことだったかもしれないんですが、実際に、そういうスタイルでしたし。でもそれでも、一休みに教会に立ち寄るっていうことが、生きている教会ということですよね。
そういう立ち位置の教会って、いいなって思います。

いきなり教会の本質と関係ないところに話が言ってしまうんですが、一つ、前回は確実に気づかなかった、またはなかったものがありました。ファサード脇、一段下がった場所です。




まさか開いてないよね?と扉を押すと、きちんと開いているうえに、トイレも、手前にある洗面所も、汚れ一つないピカピカの清潔ぶりで、手拭き用のペーパータオルまで完備!
愛される教会ならではの設備ですよ。
これには、本当にびっくりしました。こんな教会、めったにないです。

さて、本題に戻りまして、ファサード。




例によって、城石とレンガの縞々。
ここでもやはり、微妙にシンメトリーを崩している部分があるんですよねぇ。
以前は、修復しすぎ感が強くて、どうもな、と思ったんですが、全体にこういうのがこのあたりのスタイルだと思うと、これはこれかな、という風に、受け止め方もこなれてきました。
よく見ると、細部には、かわいいものもあるし。
ファサードのトップ。




やんちゃ坊主みたいな顔がポツン。
下に開けられた丸は、お皿がはめ込まれていたっぽいですね。ヴェローナらしくない装飾と言いながら、結構あちこちにあるということは、この装飾が流行った時代があったのかしらん。

縁取りになっている、三角の石を置いた帯が、好みです。光の陰影とかで、面白い効果を出すし、モダンですよね。

内陣近くの柱に、堂々と「俺が彫ったもんね!」と刻んだ石工さんの作品もあるのかと思うと、ちょっとにんまりしちゃいます。




鉄柵で囲われている中は、きれいに芝生。




午前中なので、ファサード側は逆光になってしまいます。午後の方が、きれいなはず。
それにしても、縞々のずれ、なんででしょうねぇ。単にそこまで神経質に計算してないのか、それとも、若干の高低差とかのずれがあるのを、わからなくするためとか。さて。

それにしても、やはりきれいでいい教会だなぁ、とすっかり満足して、改めて後陣。




やっぱり、塔、でかいですね。
そういえば、この石積み部分がオリジナルで、上の方は、相当再建が入っているという話だったような気がします。

ということは、塔の方が、オリジナルの姿で残っているということ。平地だから、物見の役目も担っていた塔なのかもしれません。

どっから見ても美しい後陣。




左側の、無粋なコンクリートの部分が邪魔ですが、これはトイレのお掃除とかしてくれる教会関係者の住まいと思うので、仕方ありません。祭具室とかを拡大した結果なのでしょうが、ちょっと無粋です、確かに。

すっかり満足して、次に向かう途上、果物畑の向こうに佇む姿を車窓から。




今でこそ、畑や人家が点在する土地ですが、当時は、本当に何もないところにぽつりとあったのでしょうね。ヴァルポリチェッラに続く山を背景に、美しい土地、そして愛される教会。優しい気持ちになれます。

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  1. 2016/07/13(水) 05:11:51|
  2. ヴェネト・ロマネスク
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