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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

冬の寒さに負けた中世の扉の巻(カルトハール)

カスティーリャ・エ・レオン、その4

未舗装の道を避けたために、3倍くらいの時間、約40分ほどかけて、たどり着いたのは、カルトハールCaltojalの村。
一見普通に平地にある感じだったのですが、村に入ると、結構な小路続きの上、アップダウンが激しく、立ち往生すること数回。
風景の中に見え隠れする鐘楼を目指して、何とかたどり着きました。




サン・ミゲル・アルカンヘル教会Iglesia de San Miguel Arcangel。時代的には、ロマネスク後期の建造となる教会です。
クルマでたどり着いた後陣側が、村の広場となっています。というわけで、まずはその堂々とした大きな後陣干渉となりました。全体に、教会に向かって緩やかな坂となっていて、教会そのものは、さらに高台にあるので、大きさ以上に堂々とそびえたっている感じです。

ここにはポルティカーダはありませんが、教会のスタイルとしては、ポルティカーダのある教会同様に、南側の側壁に扉が設けられているスタイルで、本来のファサード側には、入り口がありません。




そして、一番の目的は、その扉です。これ!




アーキボルトのギザギザ装飾が、とっても好きです。
わたしは、後陣の方にあった階段を上って、回り込んでアクセスしてしまいましたが、扉へのアプローチも、なかなか素敵。




いまある塀は、後代のものだと思いますが、段差を考えると、階段は必至ですから、このアプローチ構造は、オリジナルもこうだったと思います。それにしても、ポルティカーダのケース同様、階段と扉を結ぶ線は、微妙に斜めっていますね。

扉に戻ります。

中央部に掲げられたフィギュアは、やはり、教会が捧げられている大天使ミカエルでしょうね。




とってもデザイン的で、まるで現代彫刻のようでもあります。でも、スペースにピッタリだし、やはり当時の作品なんでしょうね。こういうのを見ると、本当にびっくりします。

ギザギザを見上げます。




装飾的なリピート帯モチーフとして、最も好きなのはチェッカー市松模様なのですが、こういう大胆なギザギザは、かなり好み。ピサ様式が好きなのは、きっと、幾何学模様っていうのが好物なんですよね。

全体に地味ではありますが、とてもスタイリッシュでおしゃれな、もしかすると都会的な?そういうテイストの石工さんがかかわっていたような。




側柱の間の部分には、かなり浅い彫り物が施され、柱頭はどれも同じ植物モチーフで統一です。左右ともに。ちょっとアップにしてみます。




ファサード、上述したように、扉もないただの壁状態です。




バラ窓も、パッと見、かなり地味なんですが、実は、よく見ると、円のところにぐるりと浅浮彫が施されているんですよ。扉口は、後代の再建とかありえますけれど、このバラ窓は、それはないと思うので、当時の石工さん作のはず。
やっぱりおしゃれな石工さんだよ~。




そして、反対側の壁にも回り込んてみると、なんと、扉の跡が。




実は、後からわかるんですが、この扉、比較的最近、閉ざされたらしいんですよ。スタイル的には、こちらの扉口の方が、時代が古いように思われますが、「ここは、冬になると寒いからね」という理由で、閉ざされたという説明を受けました。うーん。




事前の情報では、内部の柱頭もいいこと、説教壇があることなど得ていましたので、ちょっと入りたいと思っていました。
教会には、何の張り紙もないけれど、すぐ近くにバールがあることに気付いていたので、ちょっと聞いてみることにしました。

びっくりするくらい、親切な村でしたよ。
続きます。

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  1. 2016/08/05(金) 05:43:14|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

No title

薔薇窓、私結構見ているのですよ!

シャルトルの大聖堂、ノートルダムと観光地の物だけですが・・・・・

大きいのが当たり前と思って居ましたが、私が見たのは大きい物だったのですね?

ステンドガラスの美しさに眼を奪われて・・・・・
大きさの事は気が付きませんでした。
  1. 2016/08/07(日) 01:10:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ステンドグラスは、あまり得意ではないのですが、しかし、日が差して、ガラスの色が、床にうつったりすると、その美しさにはうっとりすることがありますね。
ロマネスクの時代は、そんな立派なものは、ありませんけれど。
  1. 2016/08/07(日) 16:10:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

「ここは、冬になると寒いからね」という理由で、閉ざされたという説明を受けました。

これには、苦笑するしかありませんね
今も使っていられるのでしょうか、建築時のレベルの石工さんがいればまた別な表現かもしれませんね

素敵な大天使ですね
  1. 2016/08/09(火) 23:22:00 |
  2. URL |
  3. poetryfish9 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> poetryfish9さん
おばさんの感覚では、寒いんだから、しめちゃった方がまし、というようなことだったんでしょうけども、真ぁ実際、その程度のことで、結構無茶な工事が実施されたりしてますけどもね。
本当のところは、どうなのかな。北側の入り口というのは、いずれにしても変則なので、扉があったのがちょっと不思議な気もするんですよね。
  1. 2016/08/10(水) 20:40:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

遅まきながら追っかけて拝見してます。さてこの町ですが、corsaさん、スペルがどうも違うようです。「Cantojal」となっていますがグーグルでは「caltojal」でないと見つかりませんでした。マーク付けして候補にしてるから見つけられたのですけど。つまり、それだけ参考にしておりますので。悪しからず。
  1. 2016/08/11(木) 10:59:00 |
  2. URL |
  3. chr***** #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

クリスさん
ご指摘ありがとうございます。日本語が正しくて、確かにカルトハールです。早速修正しときました。
現地語表記をチェックしているということは、次回はスペインを計画されているということですね?
このあたり、ありすぎて、行程作るの、大変ですよね?
教会のピックアップはすごくしましたが、やはり行ける数は限られますし、どこを絶対に見るべきなのか、難しいところです。
今回、セゴビア県では、素晴らしい本を買えたのですが、ソリアでは、残念ながら、一冊も買えず。ソリアで本屋を探さなかったことを後悔しています。
  1. 2016/08/11(木) 22:42:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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