カスティーリャ・エ・レオン、その5
カルトハールCaltojal、サン・ミゲル・アルカンヘル教会Iglesia de San Miguel Arcangel、続きです。 教会のカギを求めて、教会の扉からすぐのところにあるバールをのぞいてみました。おやじ二人ばかりが、バールの人と談笑しておりました。ランチ前のひと時、きっといつもの習慣なんでしょうね。
鍵のありかを訪ねると、バールのおやじは、にっこりして、カウンターから出てきたので、てっきり彼が管理していると思いました。しかし、お客さんに何か言うと、バールを出ていきます。 わざわざ、開けに行ってくれるんだな、悪いな、と慌てて追いかけると、教会の前の階段下で立ち止まり、「あそこの家が、カギを持っているから、訪ねなさい」と、教会に向かって左側の家を指示したんです。 びっくりの親切さです。
今後行かれる方の情報として、きちんと記しますと、上の写真の場所から、左方面へ。
突き当りにあるこげ茶色の扉の家です。扉と、教会ファサードが、ちょうど向かい合っている位置関係となります。
扉、と言っても、すだれが下がっているだけだったので、声をかけると、すぐおばあさんが出てきました。鍵をお願いすると、見学は、一人1ユーロだと言います。何人か尋ねられたので、一人なんだけど、と遠慮がちに答えると、彼女は、さらに遠慮がちに、じゃぁ1ユーロいいかしら、と言うのです。 時として、たった一人じゃ開けられない、ということもあるため、もしかしてそういうことかしら、と勘繰って、つたない言葉で、もし一人じゃダメだったら、最低限の人数分払うというようなことを言ったつもりでしたが、彼女の遠慮深さは、1ユーロ求めることに対して、悪いわね、というような気持だったようでした。
1ユーロ払うと、チケットの半券をくれました。 そういえば、今回ほかの場所でも、有料無料はいろいろですが、チケットで管理している場所がいくつかありました。訪問者の把握をするには、よいシステムですね。でも、それを、扉などに書いといてほしいですよねぇ。
すぐ行くから、先に行ってて、ということで、扉口で待っていると、鍵を持ってきてくださいました。
ワクワクする瞬間です。 それにしても、立派な扉です。
内部は、かなり美しく修復されております。祭壇は、スペインお得意の、黄金に輝くレタブロ。
ほとんどの教会がこれで、がっくりしちゃいますね。近世になって、中世の姿を取り戻すため、内陣のレタブロを別に移すなどした教会もありますが、ほとんどは、そのままなので、せっかくの窓装飾など、見ることができないのは、大変残念です。しかし、多くの町村では、このレタブロこそが、自慢の品、とされることも多いので、これまた辛かったりします。
全体の雰囲気は、ちょっとフランス風というか、修復やりすぎちゃったんじゃない、という感じも無きにしも非ずではあるのですが、柱頭はしっかりと残されているし、なかなかよかったです。
しかし、困惑したことが一つ。入ってすぐに、撮影禁止の張り紙に気付いちゃったんですよね。でも、気付かぬふりをして、撮影をしても、カギのおばあさんは気にする風もなし。とはいっても、そういう状況で、人として、どうもバチバチ撮影する気にはなれず、かなり遠慮がちになってしまいました。だから、あまりいい写真は撮れてません。
まずはこれを見なさい、とおばあさんが示してくれた洗礼盤。
ブレブレです。笑。
そして、柱頭は、幾何学的、デザイン的。
これは興味深かったです。
フィギュアがうまくデザイン的にまとめられているっていう感じ。
単純に、ここを担当した石工さんが、人物像などを彫る技術がなかったためかもしれないんですが、でも、今の目で見ると、これはこれでとても面白いし、珍しいようにも感じられてしまいます。
そして、気になっていた説教壇。
おばあさんとお話しながら、遠慮しつつ撮影しているので、どうも、わかりにくい絵になってしまいましたが、面白いものでした。 柱の一つに巻き付くように作られたものですが、大きな一つの岩から彫りだされたものだというようなことを、彼女は言っておりました。 そのためか、高さは、あまりありません。
ここでも、モチーフは連続的なデザイン系。それも、彩色されていたのが明らかです。オリジナルは、プレロマネスクの教会的な派手な色だったのでしょうか。興味深いですよ。
他とのバランスを考えても、色付きだと、その装飾性は相当派手だったはず。うーん、どういう感じだったのか、想像つきにくいものです。
トータルすると、内部の見学は15分程度でした。ありがたかった。 クルマに戻りながら、改めて後陣を見上げて。
軒送りのスタイルは、ロマネスクじゃないなぁ、と思いながら、次の目的地へ出発です。もう昼も回って、じりじりと暑かったです。
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2016/08/06(土) 23:14:49 |
カスティーリャ・エ・レオン
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石彫りのデザイン、彩色されている物が在ると今回知り、驚きを感じて居ます。
彩色不要の為の「デザイン彫り!」だと思って居ました。
また一つ、勉強に為りました。
2016/08/07(日) 01:18:00 |
URL |
古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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山下さん、中世、特に初期のものは、大いに彩色されていたようなんですよ。色が残っているケースは少ないのですが、再現的にライトで色を投影したりして、想像することができるような場所もありますし、フランスの多くのロマネスク教会では、再建も含めて、今でも結構派手な彩色を保っている柱頭、たくさんあるんです。
どこまで彩色されていたかは、議論の的というか、本当にはわかっていないのですが。
彩色されていると、まったく印象が異なりますし、個人的には、色はいらないって思うんですけどね、笑。
2016/08/07(日) 16:08:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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