fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

待ってました!ロサマリおばさん(アンダルス)

カスティーリャ・エ・レオン、その7

このあたり一帯、驚くほどにロマネスク教会が集中していますので、行き先を選ぶのに困惑するほどですが、初めて訪れる場所での鉄則は、有名著名な場所を優先する、ということ。
走りながら、ここにもあったようなぁ、と思いながらも、断腸の思いで、先に進むということが、数多くありました。時間には限りがありますし、特にこの日は、結構距離を進まないといけないこと、その先に、見たいものが複数あったことから、初日にも関わらず、相当端折らざるを得ませんでした。

そういう状態で、次にどうしても行きたかったのが、ここです。




アンダルスAndaluzのサン・ミゲル・アルカンヘル教会Iglesia de San Miguel Arcangel。

小さな村の、ちょっとした高台にあり、駐車場所に一瞬迷いましたが、低地にある農道の端っこに止めて、100メートルほど歩いてアクセスしました。歩いてアクセスする良さは、こういうアプローチの美しさを堪能できるところですね。

ここも、ポルティカーダが有名な教会です。

実に美しいたたずまいです。




ちょっとずんぐりと背の低い円柱、その上に、その円柱とプロポーションのとれた、かなりでかい柱頭がどっかりと載っています。




これは、かなりの迫力です。
扉口のある東側、正面になりますが、ずらりと並んだ植物モチーフ大迫力。残念ながら、傷みは結構激しいのですが、それでも、風雨にさらされていたことを思えば、ずいぶんとよく残っているとも言えましょう。




植物モチーフ、単純だけど、どれも異なり、どれもオリジナリティあふれるデザインです。




脇の方に、私好みのフィギュア系もありましたよ。




デザイン性の高い植物モチーフに比べると、子供のお絵かき状態のフィギュア。




手が違うのか、または植物系は得意だけど、フィギュア系は…、という石工さんだったのかな。いずれにしても、こういうのは、大好物。ウキウキします。

扉口にも、愛らしい彫り物がありますよ。




何重にもなったアーキボルト。それでいて、装飾はシンプルなので、しつこさのない美しさですね。ここも、若干背が低いです。教会が小さいわけではないので、ちょっと不思議なプロポーションだな~。
側柱の柱頭と、扉口の上部に、私の好物がおります。

上部左側に、マルコらしいライオンと、その下に碑文。




そして、右の方は、ルカでしょうか。




この、アーキボルトを装飾するチェッカー市松模様が、私の好物の一つであること、もうご存知の方も多いですよね。

側柱柱頭は、ロマネスクらしいデザインフィギュアもの。




こちらは、それなりにフィギュア彫技術を持った石工さんですね。足も、それなりにカベスタニー的に、凝ったスタイルになっていたように思われます。




ただ、残念ながら、傷みがかなり激しいです。

さて、建物には、もう一つ小さな扉がありまして、そこに、堂々と張り紙がありました。




教会を訪ねたい方は、ロサマリに電話して、聞いてみて、とあります。ここまで堂々と掲げられていると、電話しないわけにはいかない。
ためらうことなく、電話しました。
なんと、待ってました、というようなタイミングで対応があり、「今どこ?教会にいるの?ちょっと待っててよ」。びっくりでした。
そして、本当に5分もしないうちに、当のロサマリさん、登場したんです!

続きます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

過去のロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト



  1. 2016/08/11(木) 04:32:57|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<なんと、人口5人の村だった(アンダルス2) | ホーム | 感動に目がくらむ体験(サン・バウデリオ)>>

コメント

No title

ロマネスクらしいデザインフィギュアもの痛みの原因は経年劣化の風化による物なのでしょうか?

地方の小さな教会の彫刻は、劣化防止の修復は難しい様ですね?

せめて記録的な写真で残すしか方法が無い様ですね。

貴重な資料的写真に為りそうですね?
  1. 2016/08/11(木) 03:47:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
千年から、風雨にさらされていますから、劣化は当然ですけれどね。写真が普及したころには、もう劣化してたんでしょうよね。
修復されると、よみがえったりしますが、時として、修復を超えた再建になってしまっているケースも多いような気がします。そういう意味でも、こういう劣化した状態の写真を撮っておくと、数年後、数十年後に、もしかしたら、全然違うものになっているかも、と思ったりしました。
確かに、貴重な写真になる可能性もあります。スペインは、近代、かなり思い切った再建まがいの修復をお得意としていますしね。
  1. 2016/08/11(木) 22:45:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ライオンの下に刻んである碑文には、建立年(1114年)と工匠の名前らしきものがラテン語で彫りこんであるんだそうですね。いくら目をこらしてみても私には読めませんが、大事な箇所を見事に記録に収められましたね。続きのロサマリさんの話といい、読んでいて触発されることの多かった、楽しい記事でした。
  1. 2017/11/26(日) 04:24:00 |
  2. URL |
  3. Surdepirineos #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> Surdepirineosさん
私も、年代は識別できないですね。結構わかりやすい碑文のような気もするのに、皆目わからないって、なんだか寂しいもんです。
ロサマリさんがお元気なうちに、Surdepirineosさんも訪問がかなうとよいのですが。
  1. 2017/11/27(月) 22:46:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1613-d0544e86
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)