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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

お盆でも活気のある町(リヴォルタ・ダッダ)

昨日のヴァプリオに続き、ご近所再訪シリーズで、今日は、ヴァプリオから、アッダ川を南に下った場所にあるリヴォルタ・ダッダRivolta d'Addaです。

ヴァプリオは6年ぶりの訪問でしたが、こちらは、ちょうど10年ぶりになるようです。10年前というのは、まだロマネスク探訪を初めて間もないころで、どこに行けばいいのかもよくわからない中、手探りで教会を探しては、訪ねてみるというような状態でした。
当時はナビもなく、紙の地図と教会の名前だけが頼りだったので、迷子になることも多く、一度でたどり着けないことも多々ありました。
この、アッダ川沿いにある二つの町は、そういう中では、比較的アクセスしやすく、教会の場所もわかりやすかったのですが、だからと言ってすいすい行けたわけではなく、また、まだ数を見ていない時期であったこともあり、どちらも印象深かったのです。
なので、10年が過ぎたとは思えないほどに、記憶が鮮明(わたしにしては、ですけれど)。

町に入り、このあたりに駐車したらいいんだったな、ということまで、しっかり覚えておりました。そして、目的の教会は、町の真ん中にあることは、もちろん。




サン・シジスモンド教会Basilica di San Sigismondo。
素晴らしいたたずまいです。こういう、町の中心広場に、生活建物に取り囲まれた形で建つ教会というのは、昔からあった町村の姿そのまま、という感じがして、私はとても好きです。




日本でいうお盆週間で、イタリアの都市からイタリア人が最も少なくなる、そんな時期の日曜日にも関わらず、この町の活気には、びっくりしました。
教会のある広場には、カフェがいくつもあるのですが、どのカフェにも人がびっしりで、それぞれ、新聞を読んだり、仲間や家族で談笑したり、普段の週末に繰り広げられるだろう風景が、当たり前のようにありました。
こういう町村の人たちは、バカンス時期でも、特にどこに行くわけでもなく、ただ、仕事がお休み、というだけで、普通の生活をする人が多いのかもしれません。せいぜい、近所のアッダ川に泳ぎに行ったり?もしかすると、川があるから、子供や孫が遊びに来たり、ということもあるのかもしれません。決して、リゾート地ではないですけれどね。

到着したとき、ちょうどミサが始まったばかりで、中には入れなかったのですが、ちょいとのぞくと、ミサも、かなり盛況でした。




さて、この教会、ファサードの姿を見れば、明らかですが、かなりの部分、再建されているようです。ただし、再建が、いやらしくなくて、実にうまくやったな、という感じっていうか。
オリジナルもあるようなのですが、再建と混じって、うまく共存しているんです。

この、脇扉の装飾彫り物は、ほとんど再建、つまり近代の作だと思うんですが、しっくりなじんでいます。




わざとヘタウマにしたり、変に近代的だったり、そういういやらしさがないんです。
そして、細かいレンガが、実に美しい。




これは、側壁の上の方ですが、アーチ部分も含めて、異なる色合いのレンガをうまく配分して、それだけで素晴らしい装飾になっていると思います。これは、新旧、修復や再建も含めて、いろんな時代のものが混じっていると思うんです。石も、一部混じっているようです。

後陣。




美しい姿です。全体のたたずまいが、ベネチアのムラノ島の教会を髣髴とさせます。こういう凝った後陣を持ち、凝った装飾までしっかりと保たれている教会というのは、意外と少ないせいでしょうか。後陣のギャラリー構造は、いずれにしても、少ないですね。

とっても繊細な柱。小さな柱頭への彫り物は、最低限のシンプルなものですが、レンガの遊びや、重ねたアーチ、軒送りの帯浮彫など、多様な装飾があるので、それで十分ですね。




実際に円柱で支えられたアーチと、その上に置かれたブラインド・アーチ、非常に印象的です。
そして、レンガの効果が、何とも好き。
レンガ装飾は、ポンポーザや、ボローニャの教会に見られますが、ロンバルディアでも、レンガ積みは結構多いですね。そういえば、南の方では、見ないように思います。

外をしばらくうろうろしているうちに、ミサが終わったので、早速入場です。

柱頭が、かなり低い位置にあり、でかいので、迫力です。




内部の彫り物も、多く再建が混ざっていますが、やはりかわいいです。そして、ロンゴバルド系の文様が多用されていますので、そういうオリジンがあったのだろうと考えられますね。
10年前の訪問時に、サイト(ロマネスクのおと)でまとめてますが、当時は、知識も浅薄で、調べるものも限られていたので、非常に薄っぺらな内容のことしか書けてないんですよね。初期キリスト教やロンゴバルドなどの知識も、ないも同然だったし。やはり、もっとちゃんと調べてみたいと思います。いつか…。

内陣近くの壁付け柱に彫られたこの子たち。




完全にロンゴバルド・モチーフ。それにしても、これ、唐突です。石工さんの修作かしら?




神の子羊のはずが、子犬にしか見えないんですけど、いずれにしても、めっちゃかわいい!

男の子みたいな二股人魚のぷっくりさが、これまた異常にかわいい。




二股の下に、蛇が向かい合っているのも、独創的~!全部まとめて誘惑かね。

どこをとっても、背景に、くっきりと壁フレスコ画写ってしまいます。どれも、近代に描かれたもので、こういうのって、ちょっと苦手だったりするんですが、この教会、町の雰囲気とか、人々に大切にされている空気とかと相まって、このキラキラの壁画すら、愛らしく感じられるんだから、不思議なものです。

いいなぁ、とため息をつきながら柱頭を眺めていたら、もう閉めるから、と追い出されてしまいました。12時。まさかミサの後、そんなにすぐ閉めるものとは思わず、あまり撮影していませんでした~!14時から、また開けるから、と言われても、もちろん、そんなにここにとどまるつもりもなく…。

まぁ、ミラノからは40分程度の場所なので、またいつでも戻ってくればいいんですけどね。

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  1. 2016/08/16(火) 00:37:08|
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