fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ふすまに隠されたレタブロ(ヴィスカイノス・デ・ラ・シエッラ1)

カスティーリャ・エ・レオン、その17

ハラミリョの装飾にすっかり満足して、再び山を下り、直前に立ち寄っていたヴィスカイノスへと戻りました。ちょうど12時ごろにハラミリョに向かい、そちらの教会をしっかりと見学してから、再び戻ってきて、12時50分。まるで、細かく計画したかのような奇跡の時間配分で、びっくりです。




サン・マルティン教会Iglesia de San Martin、ヴィスカイノス・デ・ラ・シエッラViscainoz de la Sierra。

13時からと言われたミサの時間も近づいてきており、村の人々が、三々五々と教会周辺に集まってきています。ハラミリョでの風景のデジャヴを感じつつ、扉をのぞき込むと、開いてました!




扉の正面のこれ、実は、閉まっていた扉の鍵穴からのぞいた時、このふすま状のものが見えて、なんだろう、といぶかしい気持ちでいっぱいだったんですが、まさにふすまだったんですね~。
そして、後陣。




おなじみの黄金のレタブロもなく、すっきりして、好ましい姿です。
ミサの準備で、教会守らしい方がいらしたので、少しお話ができたのですが、実はこの教会でも、以前は、黄金の祭壇で、今の姿はなかったのですが、近年の修復で、ロマネスク当時の姿を取り戻すために、レタブロは取り除かれて、この、素朴なロマネスクらしいスタイルがよみがえったということなんです。
おそらく、そのレタブロに置かれていた像が、今は、小さなオリジナルの開口部を祭壇のようにして置かれています。




では、そのレタブロはどうなったかというと、扉入ってすぐ左側、つまり、南壁の後ろの方に、置かれています。




上部の方の壁龕が空っぽですから、今、簡易祭壇に置かれている像は、きっともともとそこにあったのでしょう。
よく、これを動かす決心をしたものですよね。スペインでは珍しいことだと思います。
内部は、壁は漆喰でぬりぬりだし、天井も床も、新しく板張りとなっていて、相当の修復をしたことが認められます。
かつて、木造だったという鐘楼へのアクセス階段も、しっかりとメタルのものに変えられています。




そういった近代化を図りつつ、肝心なところはロマネスク時代に戻す、というのは、すごいことです。

それにしても、先ほどのふすまの奥に鎮座したレタブロもあるわけですから、あれが流行った時代、17世紀あたりと思うのですが、この村には、そういうものを複数寄進するようなお金持ちがいたということなんでしょうかね。ちょっとびっくりです。だって、山の中腹にある、民家が数軒あるだけの村ですからね、今や。

ところで、この階段の下に、この教会にもまた、洗礼盤があります。




ポルティカーダのある構造だと、扉がポルティカーダのある南側壁にあり、スタンダードな教会だとあるはずの、西側扉がありません。そして、多くの教会で、その場所に、洗礼盤がおかれていることが多いですね。
ということは、まさにそこがオリジナルの洗礼スペースだったということになるのでしょう。
大胆な浅浮彫が施された、デザイン性の高いものです。




サボイアルディ状のうねうねが愛らしくて、また、下の部分まで、しっかりと帯が入っていて、完成度の高いすっきり系。
あれ、なんというお菓子でしたっけ。シャルロット?とか何とか、容器にビスケットを並べてムースを流し込むババロア系のお菓子。まるで、あの型をさかさまにしたような。

おっと、レタブロに引きずられて、いきなり後ろの方に行ってしまいましたが、ロマネスク当時の姿となってよみがえった後陣、もう一度戻ります。
先ほどのハラミリョ同様、勝利のアーチの根元に、立派な柱頭が見られます。

右側は、騎馬で剣を合わせている騎士っぽいです。




そして、左側は、これ。




巡礼を表す衣を着た人たちに見えますが、どうでしょうか。

ミサの直前で、せっせと準備をしながらも、質問に熱心に答えてくれる教会守の方のお話を聞きながらの見学だったため、実は、あまり何枚も写真を撮れなかったんですよね。
実は、窓の側柱の彫り物なども、素朴でかわいらしいものだったんですが。




ね、なんかすっごく愛らしいです。
次回、外側の愛らしいやつらを紹介します。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
ロマネスクのおと

ブログ・ランキングに参加してます。よろしかったら、ポチッとお願いします。


にほんブログ村 美術ブログへ(文字をクリック)
ブログ村美術ブログ


にほんブログ村 海外生活ブログへ(文字をクリック)

過去のロマネスク写真を徐々にアップしています。
インスタグラム
スポンサーサイト



  1. 2016/09/15(木) 05:43:07|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<同じダニエルも、たった5キロでこんなに違う(ヴィスカイノス・デ・ラ・シエッラ2) | ホーム | 禍を転じて福と為す、とか、禍福は糾える縄の如し、とか(ハラミリョ2)>>

コメント

No title

良く見られる文章の中に出て来る・・・・・
「鍵穴から中を覗く!」の文字、今回初めて覗いている姿がイメージ映像として、頭に浮かびました。

考えて見ると、「かなり怪しげな姿!」ですよね?
思わず笑いが・・・・・

柱の石彫りも年代物らしく良い味を出して居ますよね?

石工職人の技ですね。
  1. 2016/09/15(木) 01:01:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

洗礼盤、美しいですね。
ぽってりした姿が愛らしいです。
  1. 2016/09/15(木) 15:07:00 |
  2. URL |
  3. まーたん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> 山下亭さん
ふふ、おっしゃる通りです。相当怪しい人ですよ。時には、写真まで撮ってますからね~!
でも、やらずにはいられないんです。笑。
  1. 2016/09/15(木) 21:57:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

> まーたんさん
現物を見た時はそんなに感じなかったけど、写真を見たら、お菓子の型そのもので、びっくりです。かわいいよねぇ。
  1. 2016/09/15(木) 21:58:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
https://notaromanica.blog.fc2.com/tb.php/1626-6ace0bf8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)