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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

同じダニエルも、たった5キロでこんなに違う(ヴィスカイノス・デ・ラ・シエッラ2)

カスティーリャ・エ・レオン、その18

サン・マルティン教会Iglesia de San Martin、ヴィスカイノス・デ・ラ・シエッラViscainoz de la Sierra、続きです。外側のお楽しみです。




ここのポルティカーダは、この直前に訪ねた、より山奥のハラミリョの教会に比べると、かなり地味ですね。あちらの方がより高度もある山奥であることを考えると、この、クローズ感が強い、開口部が少ないスタイルが、こちらにあるのが、ちょっぴり不思議。

まずは、ポルティカーダの下に隠された、本堂への扉口。




重なりの数はすごいですが、アーキボルトの装飾は、ゼロです。すっきり。側柱柱頭には、彫り物が見られますが、結構地味で、時代も下っていて、あまり私の好みではなかったです。




ポルティカーダの柱頭彫り物についても、一部、若干ゴシック・テイストが感じられましたね。でも、保存状態、なのかまたは修復状態が、大変良いです。石色も、興味深いです。




この、小さなアーチを支える、うにょっとしたスタイルの二人、いや、二匹?二頭?うにょっとしたポーズで向き合ってるのが、かなり好き。




そして、軒送りの観察にうつります。




うわ~、なんか、いきなりやばい人に会った、みたいな。




ひゃぁ、こっちも!なんか、そこはかとなく、現代美術の巨匠カッタランの、不気味な作品を髣髴とさせるフィギュア。引きこもり的な?




弓矢で、一瞬、得意のケンタウロスかと思ったら、普通に人だったフィギュア。




動物フィギュアも、独特の表現力。豚かな、イノシシかな。背中にずっと、鬣みたいのが見えるから、野生っぽくて、やっぱりイノシシ系かな。ポーズが、何とも楽しいよね。




後陣の方は、顔というか、頭部が多くて、ケルトの影響とかある?と思ったり。




で、この、地味構造な中の、地味つけ柱の上の柱頭に注目。




ダニエルらしき姿がいるんですよ。




すっごく力強いダニエル!せっかくのスペースを使いきれていないなってのは、あるんだけど、この、ふむっ!みたいな力のこもった顔つきと言い、踏ん張っている足といい、身体に比べると、かなりでかい手で、むんずとつかんだ綱で、力いっぱいライオンを押さえつけているポーズと言い、これほど、力強いダニエルって、そう、いない気がします。

でも、スペースを使いきれていない、全体のデザインとしてどうよ、という技量的には、先のハラミリョの石工さんと、五十歩百歩的な部分もあるのかも。




これが、ハラミリョのダニエル。
こうやって見ると、構造は一緒でも、熱が違うねって感じ?技量なのか、スタイルなのかはわからないけど…。

ハラミリョとこのヴィスカイノスの距離は、車で10分。えっと、5キロもないくらいだと思います。だから、どう考えても、同じ工房かどうかはわからないけれど、石工同士は知り合いであったはずなんだよね~。どういう感じで、彫ってたのかな、お互い。
「俺はスタイリッシュに行くぜ」ってハラミリョの人は言いそうだし、ヴィスカイノスの人は「彫ってみなきゃわからんぜ」とか思いつつ、黙って彫る、みたいなスタイルかな。

そんなことを想像すると楽しい。何を鑑賞してるんだか、ですが。

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  1. 2016/09/18(日) 06:25:49|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

No title

古の情景を想像するひと時が、推理ロマンの楽しみですね!
  1. 2016/09/17(土) 22:51:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
特に、後日写真を眺めていると、いろんなことを思ったり発見したり、でブログに書き飛ばしてしまいます。現場での実物見学、後日の写真見直し、そして、最近は全然できてないんですけど、最後にサイトにきちんと整理するときの、データや歴史の整理。その時々で、いろいろな視点を持つことになりますので、このブログの意義、自分にとって大きいです。ちょっと真面目なコメントになりました~!
  1. 2016/09/18(日) 22:19:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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