粘着質系ファサード(ソリア2) カスティーリャ・エ・レオン、その20
ソリアSoriaの旧市街で、最初に訪ねた教会は、サント・ドミンゴ教会Iglesia de Santo Domingoです。
宿泊したホテルから、最も近い場所、つまり、旧市街の北のはずれにある教会です。オリジナルは、サン・トメにささげられた、今よりはずいぶんとこじんまりした教会だったそうですが、12世紀終わり頃に、全体が拡大されて、ほぼ今ある姿になったようです。 サン・トメの名残は、教会のある通りの名前に残っています(Calle de San Tome'=サン・トメ通り)。
今のところ、歴史などはきちんと調べていませんが、どうやら、もともとそれなりの規模であったソリアの町が、さらに繁栄をした時期に当たるのではないかと考えられます。
実は、後陣側からアクセスしたのですが、こちら側は、すでにロマネスクを通り越した時代のスタイルとなっています。
そのため、いきなり期待感が萎えたのですが、ファサード側に回り、ちょっとびっくりしました。
スタイルとしては、ロマネスク的というよりは、ゴシックへの移行期であることも感じられるような構造と思うのですが、連続したブラインド・アーチや柱頭など、ディテールは、完全にロマネスク。 この、正面扉の、タンパンとそれを幾重にも取り囲むアーキボルトの、執拗なまでの彫刻、すごい粘着質~!
テイストとしてはゴシック臭も強いのですが、これだけびっしりしていると、つい宝探し的に見てしまう面白さ、あります。 中央部に置かれたアーモンドの中の、あれ?普通は、キリストが祝福している姿なのに、ここでは父子なんですね。変わってる~。
それも、なんか両側頭の変な怪物、たぶんドラゴンの上に、どっしりと腰かけています!
普通だったら、アーモンドを支えるポーズの天使も、なんか変な怪物を抱えているように見えます。 あ、よく見たら、右側の天使も、どっかりと狛犬状の怪物の上に座ってる~!狛犬系ドラゴン~!
なんだろう~? 最初のアーキボルトには、黙示録の老人が並んでいるような気もするので、黙示録的な?こういう時、知識が薄いもんで、想像の範囲が狭くて、情けないですねぇ。
そうそう、ソリアはこんなにたくさん見どころがあるのに、残念ながら、現地で何らの本もゲットできなかったんで、今更残念になります。
それにしても、どの人も、衣のひだひだの細かい彫り、すごいですね。
両脇柱頭には、聖書エピソード満載です。
左側。
そして、右側。遠目にも、なんとなくお話が見えてくるようなわかりやすさです。
無知な私にでも容易にわかるいくつか。 アダムからイブが作られたとこ。ちょっと出産状態に見えますけど。
アダムとイブが、リンゴをいただいちゃってるとこ。
顔は、どっちかというと不細工なんだけど、足が長くて、やけにスタイルがいい、イケてる二人。
それにしても、一見もろそうにも見えるこの石で、よくこれだけ残ったものだと感心します。そして、一体何人の石工さんがかかわっていたんだろうかと、気が遠くなるような。 実際、ここを訪問したとき、夕方5時過ぎなんですが、スペインの夏の夕方5時って、まだ真昼間の日差しで、とにかく暑くて、あっという間に集中力が溶け去っていくような状況で、また、日差しがまぶしくて、細かいところまでよく見えない状態だったので、こんなにすごいのに、あまり写真が撮れてないんです。その時は精一杯だったのですが、今、見ていると、ちょっと惜しい。
アーキボルトの、内側から三つ。 ちなみに、一番外側のアーキボルトには、網がかぶせられているので、よく見えません。
やっぱり、一番内側は、黙示録みたい。二番目は、聖書かな。幼児虐殺みたいな感じ?子供、突き刺しちゃってるよね。ひえ~。どうやら、基本は、聖書エピソードらしい。字を読めない人にも、こうやって展示されれば、わかりやすかったんだろうね。
テイストとしては、なんか、インドとかカンボジアの、彫り物びっしりにも通じるものがあるっていうか。本当に語りたかったのね、だれか。
立派なバラ窓の方も、かなり粘着質的に、装飾が激しいです。
周りをぐるりと取り巻いている帯に、面白そうなフィギュアがぎっしり並んでいるのですが、ここも、網がかぶせられているので、詳細がよく見えません。ハト除け、ですかね。
とってもプリミティブな植物モチーフの、このあたり、好みです。
すべて、ねちねちした彫りかと思うと、ちょっと隠れた目立たない場所には、こんなのもあって。
私は、こんなのの方が好み。これは、古い時代のものが残されているということなのかな。
この教会は、外側をじっくり堪能すれば十分ですが、一応中も。
彫りの細かい柱頭もありますが、目新しさはなく、ロマネスク的な面白さがあるものもなく、というところです。 つまり、中に入れなくても、特にがっかりすることもないんですが、そういう教会に限って、昼休みもなく、8時から21時まで開いています。
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2016/09/20(火) 06:12:35 |
カスティーリャ・エ・レオン
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| コメント:2
今回のブログ、見る人が見ると色んな見方が在る物だとつくづく思いました。
興味の無い私等は「凄いな!」で終わりで、余り眼にも留めずに入り口を入る。何が凄いのか判らないが・・・・・
多分、彫刻をノートルダム寺院などと比べて見ての感想だろうと思うのだが・・・・・
私の場合は多分、興味のあるステンドグラスのバラ窓の写真を反対側から写真に撮って居るかもね?
2016/09/20(火) 03:25:00 |
URL |
古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
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山下さん
考えたら、バラ窓は、どちらかと言えば、中から鑑賞するものですねえ。しかし、中からの写真、一枚もないんですよ、なぜか。夕方に訪ねていますから、日は、バラ窓のある方からさして来ていたはずなのですが、ステンドグラス風の色とりどりの光も写ってなくて、?です。
実は、アイテム的には、バラ窓はあまり興味がないわけで、こういうことになっちゃうんですが、この教会に関しては、他のディテールがありすぎたせいもあるかと。
さすがに残念な気持ちになりました。今更…。
2016/09/20(火) 22:22:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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