カスティーリャ・エ・レオン、その21
ソリアSoria、続きです。
サント・ドミンゴ教会あたりから始まる旧市街に、足を踏み入れます。
地図を見ていても距離感がわからなかったのですが、この辺で、町の大きさがわかってきました。
商店街を横切って、いきなり開けた広場の中心に、思いがけず、もう一つの教会がありました。
サン・ファン・デ・ラバネラ教会Iglesia de San Juan de Rabaneraです。
この日は日曜日だったので、こうやって、広場然としていますが、教会前の、柵で区切られた広場の周囲は、車道ですから、平日は、結構な交通量になる場所(と思います)。
そこに、こうやって佇んでいるロマネスク教会、というのもなんだか不思議な感じ。
歴史も何も、きちんと調べていない状態なので、完全な推測ですが、おそらく、過去とは、町のあり方が変わってしまったのではないか、と。
ホテルのある場所から比べると、標高(と言うほどではないにしろ)は下がりますが、でも、こうやって見ても、高低差がありますよね。この教会の裏の方から、ホテルの先の展望台からも見えたドゥエロ川に向かう道は、緩やかな下りになっており、細い道が続きます。明らかに下る手前に、やはり広場があるのですが、どっちかというと、そっち方面が、昔は栄えていたのではないか、と思うわけです。
この教会の名前となっているラバネラは、地域の名前とも民族の名前とも言われているようで、12世紀ごろに、この地域に移り住んできた人々を表すものらしいです。ということは、やはりそのころ、このあたりには何もなかったということなのでしょうね。彼らが定住したことで、ソリアの町が拡大した模様です。
それにしても、そういう場所にありながら、いや、だからこそ、教会としての機能を保って、ここまで来たのですかね。後代の手が入っているとはいえ、全体がよく残っているな、と感心する姿です。
ここも、最初に見るべきは、ファサードの入り口周りの装飾。
残念ながら、扉回り以外は、面白みのないスタイルになっちゃってます。
タンパンにしっかりとした彫り物があるだけで、アーキボルトはすっきり。
わたし的には、こういうすっきり系の方が好みかな。あんまりごちゃごちゃしていると、どうも、気が散ってしまうし、疲れます。
衣の彫り方など、サント・ドミンゴに共通する手を感じますね。テーマは、現地の看板にあった簡単な説明によれば、司教サン・ニコラス、とあります。現地で、解説本を買えなかったのは、返す返すも悔しいです。
なぜサン・ニコラなのかと言えば、もともとこの地にあった教会が、サン・ニコラにささげられたものであり、その名残が、これらの彫刻らしいのです。今、教会はサン・ファンにささげられているのに、正面にはサン・ニコラス。仲良く共存。
側柱には、立派な柱頭彫刻があり、一方がキリストの、他方がサン・ニコラスの人生を表す内容になっているとあります。
たぶん、左側がキリストのパート。
とすると、右側がサン・ニコラスになります。
サン・ニコラスって、バーリのサン・ニコラと同一人物ですかね。でも、バーリのサン・ニコラは、今のトルコあたりの出身で、その人生はあまり知られていなかったような。ということは、違う二コラさん?
摩耗も激しくて、エピソードをたどるのは、至難の業です。
写真を改めて見ていて、目に留まったのが、これ。
衣、というか、マント?スっごく細かい。そして、杖を持つ手が、がっしりと、すっごく高くて、写実的。
12世紀よりはずいぶん前の彫り物のはずなのに、なんか、超しっかりしてる。
扉の上の方には、おなじみの軒送り彫刻。ここは、いかにもロマネスクらしい、例によって変なものがたくさん。
これなんかは、まぁまぁありがちな、「愛らしい」と言えないこともないタイプですが、こっちなんかは、相当やばい!
でも好き~!
左側、つまり教会北側の方に回り込むと、後陣側は、古い構造が残っているのがわかります。翼廊の壁みたいな面。
小さな開口部の、柱頭が、棕櫚の葉っぱモチーフなのか、ただのギザギザ幾何学モチーフなのかわかりませんが、結構好み。
そして、後陣。ファサード側と違って、かなりオリジナル構造そのままなので、びっくりしました。これ、サント・ドミンゴと逆パターンです。
こちら側は、高低差がある場所なので、ファサード側よりも、地面が低くなっている分、地面から見上げる高さがあり、迫力です。それでいて、とっても優美な姿。
窓の部分は、ビザンチン風と言われています。
横から見ると、こんな感じで、さほどの高さを感じませんよね。この位置から、右側、後陣の真後ろに向かって、ぐっと下がっているのです。
ビザンチン風とされる窓の装飾。確かに、こういうのって、見たことないかも。それがビザンチン風と言われても、そうなんですか?と思うだけなんですが。
軒送り彫刻は、かなり遠いのですが、ちょっと面白いもの、あります。
傷んでいるものも多いのですが、土台が大きい割に、置かれた彫刻がやけにこじんまりしていて、変に目立っているというか。上の方につけられた帯の模様も、装飾的で好き。
ほら、変な姿の動物も、変に小さい。
この教会では、変な出会いがあり、ちょっと面白かったので、記しておきたいと思います。ということで、もう一回、続きます。
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- 2016/09/21(水) 06:12:55|
- カスティーリャ・エ・レオン
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