2016ベネチア建築ビエンナーレ、その5
アルセナーレArsenaleに移動します。
こちらの会場に向かう途中で、チケットをなくしたことに気付き、短い道中、友人とのおしゃべりもそこそこ、ずっとカバンを探っていました。
落ち着いて探せば、きっとある、ということで、今年から新設となった会場脇のチケット売り場兼お休憩所、というようなスペースで、リュックの荷物を全部引っ張り出して、カバンも全部ひっくり返して探したのですが、やはりなくて、意気消沈しながら、再度買う羽目になったわけです。はぁあ。
ま、仕方ありません。ということで、気を取り直して、サクサクと見学!
ここは、入場してすぐのスペースが、全体のイメージを代弁することが多くて、ここでの印象がいいと、全体に楽しいことが多いので、私にとっては、重要な場所。
おお!
非常に、プリミティブなマテリアルが、本来の姿から逸脱して、素敵な展示になっています。
これは、幸先いい感じで、実際、今回のアルセナーレは、結構好きでした。この時点で、チケットを失くしたこと、ダブルで買わざるを得なかった痛さが、かなり軽減されました。だって、二倍払って、面白そうじゃないじゃん…、と思ったとしたら、本当に痛手ですもんねぇ。
THE WORK OF AL BORDE ARQUITECTOS IN ECUADOR
Architecture against all odds.
エクアドルのアル・ボルデという方の作品のようです。
戦いに勝つために必要なのは、お金だけじゃなくて、モチベーションや、やる気、組織力だぜ、というのが、テーマの作品らしいのですが、あれ、なんか、コンセプトが、建築というよりもアートっていうか、哲学っていうか。
解説は、必ずしも全部見たわけじゃなく、ほとんどは、見て感じたまま、という状態で、見学していました。例によって、です。
結構好きなマテリアル展示。
竹という素材のバリエーション。
竹のパルケ(フローリング材)なんて、ちょっと面白い!
竹ってことは、きっと、アジアのどこぞのものでしょうねぇ。
こちらは、瓦だったか、タイルだったかの釉薬の色見本だと思います。
これも、とてもアジア的。それにしても、色の種類、多様でびっくりしますね。
家を買ったとき、内装を全部やり直したのですが、とにかく時間がなかったし、同時に資金も不足していたので、内装業者の勧めるままにやるしかなかったんですが、それでも、パルケ材やタイルは、業者向けのお店(と言っても、倉庫のようなところ)に行って、制約のある中で、一応選ばせてはもらいました。もっといろいろな余裕があれば、こういう素敵な内装材も含めて、吟味することができて、きっと内装工事も、もっと楽しかっただろうなぁ、なんて、思わず通り目をしながら歩いた一角。
パオっていうんですっけ、遊牧民の大きなテントみたいな家。これも竹?
上に、皮なのか、羊毛なのかをかぶせれば、こんな立派なおうちスペース誕生。
今ってGPSでモバイルだし、衛星だし、もしかして、遊牧民も本当にこんなビデオ生活してたり?しようと思えばできるよね?
ずらずらっといきます。
アルセナーレは、空間が特殊なので、どんなものが置いてあっても、まるでアートになっちゃうのが、何とも非日常スペースで、ただぶらぶらしているだけで、面白いんです。
お、好物のジオラマ系。
都市計画的なものを、大雑把に作っているジオラマだから、細部を見る面白さはないけれど、つい見ちゃうんだよね~。
本日最後は、アーチ構造建造物。
メーキング・オブ・アーチとでもいったようなビデオ作品も流れていて、中世建築で常にアーチに親しんでいる身としては、かなり面白かったです。
The Tentativo di Ochsendorf, block e dejong di risparmiare materiale ed energia realizzando strutture solo in compressione
La guerra alla curvatura
イタリア語の説明版しか撮影してこなかったのですが、「圧力だけをもってなしうる構造を作ることで、マテリアルとエネルギーを節約する素材でのトライアル―カーブとの闘い」とでもいった意味になりましょうか。
「現代建築を考える時に人がイメージするのは、四角い箱、まっすぐな線を持った立方体で、水平と垂直からなる図形だ。実際、我々は歩くためには平らな床が必要だし、よりシンプルな部屋スペースが必要なので、それも当然ではある。そうはいっても、建物の梁は、カーブせざるを得ないのが現実であり、平らな面の陰には、カーブが常に見え隠れしている云々」と言ったことが書かれていました。
この夏、スペインはセゴビアを、何円ぶりかで訪ねまして、目的とは外れるのですが、有名なローマの水道橋を、端っこから見学するチャンスを得ました。高低差を見事に活用した、その技術。そして何より、連続するアーチの美しさに、感心するとともに、改めて、アーチ、つまりカーブ構造の堅牢さに、驚いたものです。
実際、天井が落ちた中世建築は結構あるのですが、多くの場合、アーチ構造はそのまま残っていたりしますね。アーチ構造って、圧力の賜物なわけですが、実に堅牢なこと、常に実感として見ておりますので、この展示、面白かったんです。
ローマ人は、水道橋にこのアーチ構造を使いまくりますが、神殿等の巨大建築には、水平垂直構造を前面にした構造を使っていますね。もともと美術史も建築史も勉強していない人間ですから、体系的な知識がない分、ある日突然、あれ?と思って、いろいろ考えちゃうんですけれど、この夏のスペインでは、まさにアーチ構造について、いろいろ考えていたわけです。
薄いレンガでアーチを作るビデオ、じっくり見ちゃいました。まさに職人技。面白かった~!
続きます。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2016/10/12(水) 05:41:58|
- ヴェネチア・ビエンナーレ
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| コメント:2
ああ、お家は購入されたんですね~思い切りましたね。
最近日本人とイギリス人との比較をした本を数冊購入しましたが日本人は土地や年齢、職業にとらわれやすいために60過ぎたら人生真っ暗くらいになりやすいんですって。イギリス人はどう生きるのかで生活の拠点もどんどん切り替えるし不動産を売るのもそんなに日本人ほどは躊躇しないんだとか。
兄もそういえば買わないですね、不動産を。
日本人くらいだと、単身赴任が多いのも。旦那より生活環境が変わるのを嫌うのはヨーロッパ人は理解できないそうです。
内装もまたその気になれば変更できるし良い展示に出会いましたね!
チケット、残念でしたが楽しめて良かった!
- 2016/10/12(水) 01:35:00 |
- URL |
- まーたん #79D/WHSg
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まーたん
イタリアでは、賃貸専門のマンションとかないんで、長く住もうと思ったら、買うしかないんですよ。私も、大家から、この家売りたいから、と言われたのがきっかけ。ローンなんて、絶対に背負いたくなかったし、持ち家願望なんてなかったけど、選択肢なし。
イタリア人は、不動産というよりも、自分の出身地には縛られますね。北で働いていても、いつかは出身地の南に帰りたい、と考えている人はいまだに多いし。そして、とにかく少しでも早く年金生活に入りたい人が圧倒的なのも、日本とは違うかもね。生活のための仕事は、少しでも早く辞めたい、とそういうところは、シンパシー感じてます。笑。でも、年金年齢は、どんどん上がって、もはや70歳くらいにならないと、ダメみたいで、最近、がっくりしています。
- 2016/10/12(水) 22:49:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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