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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

なぜ三組も腕を組んでいるのか。(トサルモロ1)

カスティーリャ・エ・レオン、その28

ベネチア寄り道のおかげで、かなり間が開いてしまいましたが、スペイン、カスティーリャ・エ・レオン地方のロマネスク行脚、再開します。

中世がびっしりの町ソリアで二泊する間に、町中にある教会の見学に加え、周辺部も、駆けずり回っておりました。
まずは、ソリアから東方面に向かった土地にあるいくつかの小さな村巡りです。




町を出ると、かなりすぐから田舎そのもの、という風景が広がります。牧草地なのか麦とかそういうもんの畑なのか、なだらかな農地をまっすぐに突っ切って東に向かう国道を走ります。
ソリアに最も近い村から順番に訪ねる予定にしていたのですが、道があんまり単調な上に、小さい出口表示が、突然出てくるのでわかりにくくて、最初の村は通り過ぎてしまいました。
クルマの数は少ないものの、そういう道ですから、みなかなりぶっ飛ばしてきます。そもそも、地元の人しか走っていないだろう道ですしね。だから、Uターンも厳しくて、結局、最初の村をスキップして、次の村へと進みました。




トサルモロTozalmoroの、サン・フアン・バウティスタ教会Iglesia de San Juan Bautista。

田舎の小さな村は、駐車の心配も、迷う心配もなく、ほっとします。村に乗り入れて、路肩に車を止めて、一歩歩き出したら、すぐに上の後陣が視界に入りました。




たった一つ、サイズもミクロな後陣ですが、青空に映えて、なんて美しいんでしょう。そして、遠目にも、すぐわかる軒送りの保存状態の良さ!たちまち興奮してしまいました。ソリアのいくつかの教会のように、ある程度有名であれば、事前に、若干なりと見るべきポイントを押さえているわけですが、小さくて、マイナーな教会は、わずかな情報をもとに訪ねているだけなので、ここの教会も、軒送り情報は一切なかったんです。

期待して訪ねたら、実はたいしたことなかった、というのもありますが、ここなどは、まさにその真逆。

ずらずら行きます。
まずは、つけ柱の柱頭。




なんだろう?みんなして胸のところで手をクロスさせていますね。意味深。右の角っこの人は、お隣の人の腕を抑えています。ちょこんとした足もかわいらしいですねぇ。
相当摩耗しているにも関わらず、シンプルなお顔の様子が残っているのも興味深い。そして、上部にある市松チェッカーモチーフ、大好物なので、こういう素朴な形できれいに残っていると、それだけで感動しちゃいます。

もう一つの柱頭も、まったく同様のモチーフです。




こっちは、コケ状のものが張り付いていますが、彫は、よりよく残っていますね。それにしても、なんだろうなぁ。教会が捧げられている洗礼者ヨハネにも関係なさそうだけど?

軒送りの方は、遠目にも面白そうな様子が分かったのですが、近づくと、その素朴さと変な様子には、思わずにんまり。




にょろにょろは、やはり永遠を表すシンボルなんでしょうかね。あまりに変な顔の蛇なんで、永遠、なんて高尚さとは結びつきません。
右側のリーガン的180度後ろ向きモンスターは、これまた気弱そうなお顔がねぇ。

スペインではおなじみの、エロチック系。




柔軟な体で思いっきり見せてます。右側のは、ゴシック・テイストも感じられるハーピーさんですかね。

180度首回転モンスター、バリエが豊富でした。この子は、お茶目で、気が強そうな感じ。足先もふさふさして、大きくて、末は大型犬、的な足つきです。




ハーピーの体と同じ身体つきのまるまるとした鳥は、首筋のうろこみたいなとことか、羽根の様子が、とっても丁寧に彫られています。近くから見ると、かわいいというより、若干不気味。

ヒト的なフィギュアもあります。おなじみ二股人魚。そして、右の方は、蛇を巻き付かせています。




人魚、胸はないし、変に知的な顔つきで、ちょっと変わっています。このモチーフのバリエってすごいですね。いつか、あちこちの二股人魚を並べて、ベストテンとかやってみたいもんです。




うろこの彫り方、やっぱり不気味。でも、顔だけ取り出すと、素敵な彫刻の人になる感じ。
右の人も大き目で。




これはやはり、性的なものへの戒めでしょうかね、二つ並んで。

こんな、スターウォーズに出てくる異星の人みたいなフィギュアもあります。




すごいなぁ、この想像力。
先史時代の岩絵とか、ギリシャ・ローマ時代の彫刻とか、古代の人たちは、現実を写す描写力に優れていたと思うけれど、中世の人は、想像力に優れていますよね。

で、こんだけ変なもの並べといて、窓脇の柱頭は、普通に葉っぱだったりするの。




も一つの窓の方には、柱頭と同じ、腕組みの人たち。




この人たち、足が纏足みたいに小さい!デフォルメがかわいい。
実は、この腕組みさんたちは、実は、写真を見ていて気付いたんです。ここまでしつこく彫るっていうのは、強いメッセージですよね。ちょっと調べてみよう。

続きます。

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  1. 2016/10/18(火) 06:26:54|
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