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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

アップだともっさりなのに、遠目にはすっきりのイスラム風クーポラ(アルマサン1)

カスティーリャ・エ・レオン、その32

ソリアの東方面を訪ねた後は、ソリアをかすって、南方向へ向かいます。本来は、到着の日に、訪ねるべきロケーションだったのですが、他との兼ね合いで、端折ることになった村、アルマサンAlmazan。




ここは、事前にグーグルで状況を確認しておいたので、駐車もスムーズにできました。旧市街は、高台となっているので、その周囲の道路脇が駐車場となっています。ちょうど、教会を見上げる位置に駐車できました。

今は、全体にずいぶんと整備されていて、すっきりとした斜面となっていますが、本来は、旧市街は、ぐるりと壁に取り囲まれていたはずで、その壁の下は、急斜面で、外敵を防いでいた険しい風景だったのではないかと思います。
今でも、このあたりの斜面はかなり激しく、下を見下ろすようにして、展望台などが作られています。




こうやって見ると、たいしたことない感じですが、実際にこの展望台の先っぽの方に行くと、高所恐怖症ではない私でも、ちょっと足がすくむ構造です。アパートのテラスなども同様ですが、支えのないこういう突き出し構造って、何か信用できないものがあって、高所恐怖症の人の気持ちも、ちょっとわかる気がします。

教会を大きく回り込むような感じで、旧市街に入ります。中央は大きく開けた、その名もマジョール広場。その一角に、広場全体を睥睨するような感じで、目的の教会、サン・ミゲールIglesia de San Miguelが。




塔など、一部新しくなっているものの、たたずまいは素敵。なにより、広場を前面においているロケーションがすがすがしい教会です。

到着したのは、正午にならんかという時間で、鉄扉も含めて、扉はぴったりと閉ざされておりました。この日は月曜日で、そして事前に調べた際、月曜日は休み、となっていたので、まったく期待しないで訪ねており、残念ながらやっぱりクローズか、と納得はしました。しかし、同じ広場の一角にツーリスト・インフォメーションを発見したので、一応確認してみることにしました。

地域のロマネスクについて尋ねた後(紙の情報はわずかでした)、サン・ミゲールは、今日は開かないのですね、と確認したところ、「あら、今から開けますよ」と、サプライズ。
私の前にも、訪ねてきている人が数人おり、隣室で観光案内のビデオか何かを見ていたようでした。
もともと正午が、ガイド・ツアーとなっていた様子で、では行きますよ、とインフォメーションの方に先導されて、ほとんど無駄な時間もなく、教会に入ることができました。

これはついていましたねぇ。ここは、外から見るだけでも、それなりに得るものがある教会ですが、中を見られるかどうかによって、印象はずいぶんと変わるからです。




移動中や、中に入ってから、意外と人々が集まり、最終的には十人以上のツアーとなりました。しかし、スペイン語オンリーでしたので、私はほとんど最初から最後まで、ガイドを無視して、勝手に動き回っていました。

この教会での、最も重要な見どころは、クーポラの構造です。




パッと見もそうですし、実際イスラムの影響があるようです。ここだけは、一所懸命ガイドを聞いてみたんですが、このような構造は、スペイン全土で四つ。
ここと、去年訪ねながらも中に入れなかった、ナヴァラにあるトッレ・デル・リオTorre del Rio、サラマンカ、そしてもう一つは、残念ながら聞き逃しました。トッレ・デル・リオは、外観をじっくりと見学したので、想像がつきます。こんなことなら、やはり昼休みの終わるのを待って、中に入るべきだったなぁ、と一年遅れの後悔をした次第。




なんだろう。すっきり作りたい意図が感じられるんだけど、どうしてもごつごつしちゃう、みたいな?すごくどっさり感があります。でも、ちょっと引いて、周囲と一緒になると、どっさり感が薄れて、全体の調和が美しいの。




どうですか?どっさり感を生み出しているリブ構造的なものが、デザイン的なアクセントになるんです。ただ何もないクーポラだと、たぶんクーポラ構造の面白さはあまりないはず。面白いなぁ。

何か構造的に、あれ?と思わされたのが、説明版を読んでわかりました。後陣と身廊部分が、ねじれているんです。




これは、教会の置かれた位置の問題で、こうなったようです。つまり、旧市街を取り巻く壁の位置との関係により、こういうねじれた構造にならざるを得なかったということらしいんです。広場の形状にもよったようです。なら、もうちょっと内側に作ればよかったようなものなのに、と思いますが、ここでしかダメ、というもともとの建てるべき場所だったんでしょうねぇ。

構造的には、極狭の側廊も、面白かったです。




ヒト一人がやっと通り抜けられるような狭さです。ちょっとおデブだと、つっかえてしまいそうな。

あまり多くの写真はアップしませんが、いくつか見ていただいて、気付いたことがありませんか?
アーチの形が、実に様々なんですよ。完全な半円アーチ、先端のとがった尖頭アーチ、馬蹄形っぽいアーチ…。普通は、一つの場所では、その建設当時の様式のアーチしか見られないものだし、たまに混じっていても、これほど多様にまじりあっていることはあまりないような気がしたんです。
自分のあまりにつたないスペイン語で、わかってもらえるかどうか自信がなかったのですが、思い切って、ガイドの方に尋ねてみると、よくぞ聞いてくれました!と、嬉しそうに説明してくれました。
そして、同時代に、多くの様式のアーチが混生しているのが、まさにこの地域この時代の特徴なんだというんです。それが、最もよくわかるのが、ソリアのサン・ファン・デ・ドゥエロだから、あそこはぜひ訪ねてほしい、と。

時間的に難しいし、パスしようかとも考えていたサン・ファン・デ・ドゥエロ、そういうわけで、この翌日、どうしても訪ねよう、という気持ちになったというわけです。少し前に記事にしていますので、よろしかったら、多様なアーチ、改めて確認してみてくださいね。

中央身廊部分では、とがったアーチ。




この写真だと、後陣が曲がっている様子がわかると思います。

柱頭装飾も面白いのですが、次回に続きます。

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  1. 2016/10/26(水) 05:51:38|
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