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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

誰も見てくれないけど、(たぶん)ダニエル共演中(アルマサン2)

カスティーリャ・エ・レオン、その33

アルマサンAlmazanのサン・ミゲールIglesia de San Miguel教会、続きとなります。
内部で、最も重要なクーポラを堪能した後は、柱頭をチェック。




素敵な植物モチーフ。彫りも細かいしなかなかのレベルだと思うのですが、ガイドさんから手渡された説明版には、柱頭に関する記述は一切なし。クーポラ以外は、後代の構造物や彫刻などについてばかりで、ちょっと寂しかったです。つまり、どっちかというと、中世以降のものを観光資源とみなしているわけで。なんでかなぁ。

おなじみのスタイルのフィギュアもあるのに。




いや、おなじみというか。これ、一見グリーンマンのバリエかと思ったのですが、よく見ると、もしかするとダニエルさんだったりするのかな。だとすると、お座りスタイルのライオンも新鮮だし、グリーンマン状態または楳図かずお的に糸はいているようなダニエルさん、新しい!

ダニエルさん的には、やっぱりこっちか?




かなり素朴な葉っぱモチーフも、愛らしいです。これは、古そうな感じ。




話題にはならないけど、でもいいですよね。

ということで、半時間ばかりのガイド・ツアー、言葉には不自由したものの、有益な情報もいただけて、楽しかったです。なにより、開いているはずがなかった教会に、ほとんど時間に無駄なく入れた、という事実だけで、非常に嬉しかったです。

外観を、改めて見学。




後陣はロマネスクのスタイルですが、塔は、しっかりとムデハル様式ですね。
でも、そのロマネスクらしい後陣も、やっぱり装飾は違っていて。




これって、イスラム風な感じがしますけれど、どうでしょうか。




こんなのがこっそりあるところを見ると、もとは、ロマネスク的に軒持ち送りの彫り物が並んでいたのではないか、と疑っています。だとしたら、ロマネスク・ラバーとしては、残念なイスラム風軒送りかな。遠目には、デザイン的できれいですけれど。

開口部も、スタイルはすっかりとロマネスクですが、アーキボルトに施されたモチーフは、イスラム風です。




何はともあれ、見学終了。




アルマサンには、この他、二つの教会をチェックしていました。割とどうでもいい感じもあったのですが、小さな町だし、地図もらったし、せっかくなので、と訪ねてみることにします。

街はずれにあったのは、ヌエストラ・セニョーラ・デ・カンパナリオ教会Iglesia de Nuestra Senora de Campanario。




日差しを遮るものもない住宅地の坂道を、えっちらおっちらと歩いて、たどり着いた高台にあったこの教会。正直、がっかりの状態ではありました。全体は、かなりのっぺらぼう状態になっていて、ロマネスクの魅力は極薄。
こりゃいかん、とこの後陣が見えるベンチに腰かけて一休みしながら眺めていると、幸いにも、軒送りが。




すべてのモチーフが非常に記号的だったので、地味で、最初気が付かなかったほど。これだけ記号的なものばかり並べているのは、ある種の主張があるんだろうと思います。いや、石工さんが、こういうシンプルなものしか彫れなかった、という可能性もゼロではないですが。




いやいや、これだけ記号だと、やはり何かあるはず。でも、何かはわかりませんが。こういうマイナーな教会の情報を探すのは、結構難しいでしょうねぇ。

もう一つは、町中、サン・ミゲールにも近く、住宅地に埋もれていました。




サン・ヴィセンテ教会Iglesia de San Vicente。
今は、市のカルチャーセンターとして使われているようです。

後陣と、南側の扉周りだけ残して、ほとんど新しい建造物になってしまっています。




寂しいけれど、こういう形で再生されているのは、半壊していたり、放棄されてしまう教会より、建築としてはラッキーなのかとも思います。
しかし、教会は小さくても、これだけ立派なアーキボルトを持つ扉があるということは、往時は、中にも立派な柱頭があったことだと思われ、残念ではありますね(今、どうなっているのかは、中に入れなかったので不明ですが、説明版には、後陣と扉口のこと以外は言及されていませんでした)。




というわけで、駆け足ながら、三つの教会を訪問して、アルマサン中世見学、終了です。
次の町に向かいます。

おなじみのロマネスクは、こちらへどうぞ。
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  1. 2016/10/28(金) 05:52:03|
  2. カスティーリャ・エ・レオン
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

No title

さすがです。長いロマネスク歴だからこその読みの確からしさを感じます。私だとグリーンマンともダニエルさんとも思わないで素通りしてしまいそう。やはりたくさんの場数を経てこその薀蓄なんでしょうなあ。パチパチパチ
  1. 2016/10/28(金) 00:40:00 |
  2. URL |
  3. otebox #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

文章を読んでいて、私が趣味の古代遺跡巡り的な、同じ古代推理ロマンを味わって居る雰囲気を感じました。

ロマネスク・推理ロマンとでも言いましょうか?
古の人達の石工技術と信仰心が感じられますね!
  1. 2016/10/28(金) 01:10:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

oteboxさん
そんなことは全然なくて、現地では、撮影に懸命で、じっくりゆっくりと鑑賞なんて余裕はまずないのが現実なんですよ。こうやって、パソコンで改めて細部を見て、ああ、そうだったんだなぁ、と思うことの方が多いんです、寂しいけど。
ダニエルさんやサムソンさんは好きなので、現地ですっごくわかりやすい時は、本当に嬉しいですけれど、柱頭は遠くにあることも多いから、難しいですよね。クスン。
  1. 2016/11/01(火) 00:06:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん
勝手に想像妄想するのは、本当に楽しいですよね。古代同様、中世時代の造形の意図も、多くが不明になっていますから、想像力、必要ですよね。
  1. 2016/11/01(火) 00:08:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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