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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

お役人ってどうして判で押したように不愛想なの?(サン・エステバン・デ・ゴルマス3)

カスティーリャ・エ・レオン、その44

サン・エステバン・デ・ゴルマスSan Esteban de Gormaz、サン・ミゲル教会Iglesia de San Miguel続きです。




こちらの教会は、ヌエストラ・セニョーラよりも、住宅地の中にあって、より庶民のよりどころ的なロケーションです。ポルティカーダのある南側、要は正面ですけれど、それも、住宅地の小路に向かっているんです。素敵なアプローチです。

しかし、この修復工事の激しさは、すごいものがありました。
全然近寄れないし、建物全体を激しくいじっている感じ。ただ、前回書いたように、全体には終わりが近い様子で、後は、マイナー部分の仕上げ、みたいな感じで、実際、いかにもお役所のお偉方風の人が数人、視察に来ていたようでした。




お役所風と思ったのは、愛想笑いの一つもなかったからですけれども、とにかく感じの悪いおばさん二名でした。炎天下に、どう見たって観光客の東洋人が、どう考えたって遠方から来て、遠慮がちに写真とか取ってるんだし、せめて愛想笑いくらいしてもいいだろう?と思うのは、いわゆる逆切れでしょうか?
そう思ってしまったのは、何度か迷惑そうな顔で、こっちを見たからなんですけどね。昔のイタリアやスペインだったら、必ず声をかけてくれて、場合に寄ったら、ちょっとこっち来て、近くから見ていきなさいよ、なんて感じになったであろう、というような状況だったので…。20年くらい前を知っている人なら、そう思いますよね?
文化遺産であると同時に、観光資源でもあるわけだから、こうやって遠方から観光客が来るというのは、喜ばしい話だと思うし、まぁ、一人じゃどうしようもないけどもさ!

ま、それはともかく、こちらも立派なポルティカーダです。




上部の壁は、漆喰に石を埋め込んでいて、砂色の外観は、まるでマグレブの国のイスラム建築のようにも見えますね。建築的に影響があるのかしら。これほどの建物で、上部だけが漆喰というのも、珍しい気がします。

規模は、ヌエストラ・セニョーラに比べると、ずいぶんと小さくて、全体がロマネスク時代のものとなっていますね。




創建は古く、そのために建築様式が、一部、石ではなかったのかな。
なんだか、風化も相まって、モロッコやチュニジアで出会いそうな雰囲気がありますよね。




ここも、立派な柱頭がありますが、傷みが激しいです。




モチーフもよくわからなくなってしまっていますね。
実は、現場にいる時は、修復の最終仕上げとして、この柱頭にも手を付けて、勝手に創作してしまうのでは?という風に考えたりもしたんですが、今、ヌエストラ・セニョーラ教会の写真と合わせてみると、あちらの修復も、建物で終わっていますから、ここも、柱頭に手を付けるというようなことは、しないでしょうね。
ちょっと安心しました。

ところで、上の写真で、柱頭の後ろに、本堂の南壁がちょっと見えていますが、やはり、漆喰に石埋め込み壁のようですね。下の写真でも、確認できます。




チェッカー帯も含めて、全体にプリミティブな感じですね。




扉にも、柱頭があるようですが、やはりプリミティブなフィギュアのようでした。




軒持ち送りにも、ずらりと彫刻が並んでいて、やはり面白そうなモチーフなんですが、とにかく痛みは激しく、ここもやはり修復が遅きに逸した感がありあり。




ほら、ずらりと並んでいますが、ほとんど溶けちゃっている状態です。なんでここまで放置しちゃったかなぁ。お役所のお偉いさん達よ、おい。どーしてくれるんだよ~、という気分。




でも、どうしたら、こんなにも溶けちゃう?見た目通りに、砂だったりするの?

後ろに回ってみた。工事中のため、ぐるりと遠回りしないといけません。で、この後陣あたりから、ぐっと坂道になって、村が終わって山が始める、みたいなロケーション。




こっち側の方が、溶けが少ないです。窓の部分は、なんとか装飾が装飾として生き延びてる。




柱頭に彫られているデザイン的なねじりんぼう、面白いです。他でも見たような気がする。

しかし、これだけディテールが朽ちているところで、天井とか床をピカピカにしちゃうのって、違和感あるかも。




多分、ヌエストラ・セニョーラ教会での違和感って、そういうものもあると思います。
塔なんかもさ、上の方、作っちゃってるでしょ、どうやら。




スペインの修復のやり方って、実はあまり感心しないんだよね。フレスコ画をすぐにはがして美術館ピースにしたがるのも納得できないし。修復全般やりすぎのきらいがあるっていうか。

修復が終わるころ、また訪ねてみたいです。その時は、中に入れるように、週末に。
いつ終わるのかなぁ。たまにグーグルのストリートビューで、チェックしてみようと思います。

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  1. 2016/11/14(月) 03:40:06|
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コメント

No title

この太陽の注ぎ具合は如何にも・・・・・
と、言う感じですね?

天気の良いのは歓迎ですが、連日の暑さには参りますね?
乾燥して居るから日陰は涼しく感じられますが・・・・・

教会の中はホット!しますよね?
  1. 2016/11/14(月) 02:14:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

しかし、何年ぐらいの歳月が流れると・・・・・・

これぐらいの経年劣化が進むのでしょうか?
修復時期が遅く感じられますが、資金難の為でしょうね?
  1. 2016/11/14(月) 02:18:00 |
  2. URL |
  3. 古代遺跡めぐり<山下亭> #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

山下さん、ここの劣化はすごいですよね。まさに溶けている感じで、強烈でした。
オリジナル創建からは、ちょうど千年になりますね、11世紀なので。千年たつと、石も、もろくなるのは、仕方ないですかね。
  1. 2016/11/15(火) 23:56:00 |
  2. URL |
  3. corsa #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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